かまがや地域情報の窓

　新型コロナウイルス感染症の感染拡大から、長い時間がたったように感じていたけれど、わずか1年前に始まったことだった。いく度かの「緊急事態宣言」による自粛生活を経ても新型コロナウイルスは消えない。感染予防対策としての「３密」を実践していても、圧迫感や閉塞感からの「コロナ疲れ」は増すばかり。さらには、「変異株」も生じるなど、私たちの暮らしに対する最も大きな不安であることに変わりがない。

　コロナ禍のなかで、これまでの習慣や慣例は見直しが求められている。昨年に続きテレビの中で満開の桜を見ることになり。入学式や卒業式もリモートになるなど制約は続く。そんななかでも、新しい春はやってくるし、子どもたちの笑い声は響き、桜は満開の花を咲かせる。

　『浮雲柳人間世　流水桃花物外春』第19代総理大臣原敬の書。「柳の種がふわりと浮くように人の世は儚い。それでも水は流れ、春には桃の花が咲く」。大きな災禍があっても時は流れ、その歩みを止めることはない。柳が風に揺れるようにしなやかな心で受け止めて、泰然自若と日々を過ごしていくことができるといいのだが。

　新入学の子どもたちは、希望を抱えて新しい世界に飛び込んでいく。『名前書く白くきれいな教科書にキュキュッと音がする春のよろこび』第30回東洋大学現代学生百人一首の入選作で田代麻華さんの一首。キュッと緊張しながら新しい人生のページを開いていく。はにかみと喜びの笑顔を満開の桜の下で見せてくれる。

桜の開花
子供たちの入学式
梨の花の開花

　コロナ禍にあって様々な我慢を強いられている若い世代に向けて、デンマークのフレデリクセン首相はこんなメッセージを贈っている。『あなたたちの姿が、私たちを安心させてくれます。私たちの社会には若い世代がいるのだということ、誠実に責任をはたす若い世代が。このことが私たちみんなの将来に希望を与えていると思っています。』

　人類史上でも稀な未曽有の事態のなかで、さまざまな葛藤を抱えながら暮らしている若い世代の人たち。昨年の入学式以来、クラスメートとの面談もできず。友人とのコミュニケーションもままならない。学資のためのアルバイトも無くなる。そんななかで我慢を重ねている若者たち。入学式や卒業式は、人生の節目にある大切で「唯一」のもの。巡り合わせで、この事態に遭遇してしまった子どもたち。きっといつの日か「あの時は大変だったんだよ」と言える日が来る。

うむっさん