4月26日、国立社会保障・人口問題研究所は、2070年までの日本の将来推計人口を総人口8700万人と公表した。将来推計人口は、出生、死亡、国際人口移動について実績値の動向をもとに仮定を設け推計されたもの。推計では、将来人口の変化について一定の幅があり、総人口8700万人は出生・死亡ともに中位推計としている。
未来・将来の日本の人口推移グラフ
GraphToChart. 「グラフで見る日本の人口推移(過去と未来・将来の推測まで)と一覧表」. 最終更新:2020-08-30. https://graphtochart.com/population/japan-transition.php,(参照日時:2023-07-30)
国連の資料(World Population Prospects 2022)によると、長期的(2050年)な人口な増減では、インド16億6800万人。米国3億7500万人。中国13億1600万人。韓国 4500万人。ドイツ7900万人。日本1億400万人。と推計される。インドは長期的にも人口増加が続く。英国、豪州、米国は大きな増減がなく推移していく。減少に転じる国は、中国・韓国・ドイツとなっている。
推計による世界的な人口構成では、65 歳以上人口の割合(高齢化率)は、2020 年の 28.6%から 2070 年には 38.7%へと上昇していく。高齢者人口割合(2018年値)上位の国は、日本28.1、イタリア23.3、ドイツ21.7となっている。日本の高齢化の速度を、高齢化率7%から14%までの所要年数で比較すると、アメリカ72年、英国46年、ドイツ40年とゆっくりと高齢化に向っていくが、日本は、24年間で14%を超えた。日本を超える速度で高齢化が進むと見込まれているのは、韓国18年、シンガポール17年などとなっている。
在留外国人の推移
出入国管理庁ホームページより引用
総人口が減少することによる経済や社会への影響にどう対処していくのか。IT技術や人工知能の活用などによって生産性を向上させ、国際競争力を強化していく。あるいは、持続可能な発展のためにスローダウンした社会経済のありように変えていこうといった議論がある。
数年後には労働人口の減少による経済社会の低迷はさらに深刻なものとなっていくのだろう。生産年齢人口の減少による労働力不足を補うためには、少子化対策をすすめ労働人口を増加させる。日本で働く外国人人口を増やす。という方策になるのだろう。
日本で働く外国人を受け入れる制度として「外国人技能実習制度」がある。しかし、この制度にはいくつかの制約が指摘されている。また、一部では、技能実習とは名ばかりの低賃金労働といった問題も散見される。さらに、昨今の日本の社会・経済状況では働く場所としての魅力に陰りがさしている。
高齢化は、余命が伸びることで私たちの持ち時間が増加するということも意味する。年金など社会保障制度によって支えられる生活基盤の安定によって、高齢者の持ち時間の増加を活用していくという施策をさらに進める視点も必要だろう。
高齢になると、チャレンジしていくよりも、安定志向が強くなり変化に臆病になるという側面があるだろう。それでも、これまで培ってきた技能や多くの知識は有用であることは間違いない。高齢者の持つ技能伝承のための支援、さらにはスモールビジネスや社会的起業のための支援などといった方策を社会全体として進めていくことも大切ではないだろうか。
うむっさん