今年1月に中国の湖北省武漢市を発生源とした新型コロナウイルスの世界的なパンデミックス発症へのリスクについて、最近の新聞報道など情報を基に素人なりに考察をしてみたい。
中国の湖北省武漢市が発症元といわれる新型コロナウイルスが医療機関により確認され、中国当局は1月24日国内で死者が25名、発症者は800人を超えたと発表した。新型コロナウイルスの治療法やワクチン開発が進まない中、中国国内で感染者が急激に拡散増加し現時点(2月25日)で感染者77600人強、死亡者2600名強。中国国内の感染拡大を防ぐため、中国政府は2月強制的に武漢市の交通(鉄道・バス・交通)を運行停止させ、市民は外出を控え自宅にとどまる様に指示された。
一方、わが国では既に中国からの観光客が1月の春節時期に多くの中国からの観光客が来日しており、その中に武漢からの観光客にも既に症状は表れていないが、感染している人がいてもおかしくない。また湖北省及び武漢市には多くの日本企業が進出し工場を稼働させている。当然両国間をビジネスで行き来する日本人や中国の人も多数おられる。 武漢市内の新型コロナウイルス発症が激増する中で、日本政府も湖北省や武漢市からの人の往来を制限した。その為日本から現地に出ている技術者やその家族等多くの方が、自宅で日本政府のチャーター機が迎えに来るのを待つしかなかった。政府はチャーター便の第1便から第5便まで合計830名近くの方を中国から帰国させ、機上で発熱など検査を行い、発症の恐れのあるかたは政府の指定した隔離施設で2週間ほど発症の経過観察を行った。
当初は日本政府も、水際作戦で海外から入国する邦人や外国人から新型コロナウイルスの持ち込みが増加しないように、検疫を強化していたが、その後、日本に来航した大型クルーズ船の「ダイヤモンド・プリンセス」乗船客と乗務員の3700名から横浜港に停泊中に、下船の為の検疫を行ったところ、発熱などの症状が乗客に診られた為、下船を制限し船内で待機(2週間ほど)させ、その間に船内で発熱が生じた乗船客について、ウイルス検査を行い発症が確認された乗客は、日本政府が用意をした病院施設に治療の為搬送した。2月19日迄乗船客の下船による感染拡大を防ぐため2月5日以降は乗船客間の感染予防のため、自室で待機を指示された。
その間、外国政府より乗船客(50数か国の国籍)の早期帰国を許可するよう、アメリカ、オーストラリヤ、カナダ、イスラエル、台湾、香港など多数の国から帰国のためのチャーター便受け入れの要請があった。中には乗船客を長期に渡り船内にとどめておくのは人権問題に係わるとの指摘もあった。しかし、この「ダイヤモンド・プリンセス」は英国船籍であり、クルーズを運営する船会社は米国の会社である。本来はクルーズ船の寄港を断っても良い状況にあるにも係わらず、乗船客の1/3程度が日本人乗船客がいる事から、日本政府も放置できずに下船を許可せず、船内で検疫実施を行い、症状のある乗客の隔離下船と、それ以外の乗客については潜伏期間(2週間)中の発症経過観察を続け19日から順次発熱や発症の無い日本人乗客は、公共交通機関を利用して自宅への帰宅を許可した。その後も外国のクルーズ船が日本への寄港を要請したが新型肺炎発祥のリスクを懸念して船舶の寄港を断っている。
20日にチャーター便で帰国した米国の乗船客やオーストラリヤの乗船客の中にも、帰国後更に2週間の発症経過観測の為、政府の指定した施設で滞在を求められているが、すでにその中からもその後発症や死亡した方も複数名出ていると報道があった。
一方、国内ではマスコミ各社より政府の新型コロナウイルスに対する対応への批判が相次いでいる。 一つは、外国のクルーズ船が寄港した沖縄に於いて、下船した観光客をタクシーに乗せた運転手がその後、感染して発症したことであり、それ以外にも外国に旅行し帰国した日本人を乗せた運転手の方が発症を起こすなど、徐々に感染者が増加している事にある。 既に、感染者数は国内で200名弱、死亡者数も2名ほど。感染者が認められた国内の地域は東京、千葉、愛知県名古屋市、大阪、和歌山県、沖縄、北海道、長野県、熊本市、石川健、徳島県と感染者が地方に拡大をしている。(25日現在)また、これだけ感染者が増えると、その感染経路の追跡も困難だ。
二つには、新型コロナウイルスの検査体制の人的や検査機材の不足である。国立感染研究所が検体のウイルスを持ち込んでも1日に検査処理できる数が当初は200件から現在は400件に体制を強化しているが、今後は急速な検体検査体制強化や検査設備の拡充対策を取る必要がある。また検査時間が現在は4~5時間程かかるものが、検査対象が拡大した場合の検査時間の短縮が求められ、国内のベンチャー企業が従来よりも大幅に検査時間の短縮が(15分程度)可能な検査方法が採用されれば、国内での感染拡大の対処が速やかに行えるようになるだろう。また、我が国の新型コロナウイルス対策についても、米国のCDC(米疾病対策センター)の様に国の疾病対策を統括し、関係機関に対応策を指示する強い制度・仕組を構築する必要があるのではとの声もある。わが国では現在は安倍総理の元に内閣官房に新型コロナウイルス感染症対策本部を設置して、関係機関に感染対策を指示している。
三つには、新型コロナウイルスへのワクチン開発や治療法がまだ確率されていなく、治療は既存薬などによる対症療法が主である。WHOではこの新型コロナウイルス感染症が世界中に急激に拡散するパンデミックスにはならず、エピデミック程度(一定地域での羅患率)に終わるのではと楽観している面も見られるが、今週にはお隣り韓国で1000名近い感染者と数十名の死亡者が発生し、欧州ではイタリアの北部で300名近い発症者が出て、ミラノ市周辺の地域が感染防止のため地域の自治区で自主的に封鎖される状況にある。最近は中東(イラン)でも新型コロナウイルスの発症者が多数発生し死亡者も出ている。 WHOはこのウイルスに対するワクチン開発は3~4ヶ月程度で開発されるだろうと発表しているが、これもまだ希望的観測に過ぎない。
四つには、中国発の新型コロナウイルスが中国国内にとどまらず、隣国や人の往来による新型コロナウイルスの感染拡大が続いている事である。中国政府はこの新型コロナウイルスの終焉は4月末ごろとみているが、これにより、中国人観光客の激減で観光業界への減収に加え、中国湖北省や武漢市で生産している各種工業製品や部品などが、工場の生産停止や減産により世界のサプライチェーンの供給が滞り、世界経済への影響が無視できなくなり、各国政府もその間の企業活動を支える資金支援など対策も検討実施がなされる。先週はアメリカのダウ平均株価も1000ドル近く下落し、週明けも引き続きダウ平均が下落している。
我が国でも、2月中に新型コロナウイルスに感染発症した人数が急激に増加し、政府も今後2週間ほど不要不急の会議や大きなイベントなどは差し控えるように要請をしている。また、北海道では感染者が増えたたため、道内の小中学校では1週間ほどの休校対応が教育委員会より指示された。もしこの感染拡大の期間が治まる傾向が遅れるようであれば、7月から東京オリンピック開催を控え、新型コロナウイルス感染拡大が5月中にも終焉の見通しがなければ、最悪の場合「東京オリンピック」開催も危ぶまれる。
千葉県内でも既に新型コロナウイルスに感染された方もおられるが、この鎌ケ谷市周辺ではすでに市川市でスポーツジムで感染した方が3名ほどおられ、接近感染の恐れある方が600名程おられるとの事で、今後時間経過と共に発症につながる恐れも拭えない。この新型コロナウイルスは高齢者や循環器や糖尿病などの疾患を持つ人はリスクが高まるが、発症した人の内80%近くは重い症状にならずに治っている。個人的な感染予防策としては、人の多く集まるところには出かけない、外出時にはマスクを着用する。帰宅時にはアルコール消毒やうがいの励行及び手洗いを徹底する。当面は個々人が気を付け自己責任に於いて感染予防に努めるほかはない。
新型コロナウイルス対策として、政府も感染の有無を短時間に調べる事の出来る検査キットの導入や、国民が感染の不安を抱かなくて済む診断窓口の医療体制を充実する事、新型コロナウイルス治療に有効な既存薬の治験調査、ワクチンの早期開発を進めて欲しい。
レポート:S.K