今後30年間の発生確率が70%とされる「首都直下地震」。「鎌ケ谷市地域防災計画」では、震源が鎌ケ谷直下の地震でマグニチュード7.3と想定し、その被害想定は、避難者11,234人。上下水道は11日、停電は5日、都市ガスは22日にわたって使えなくなるとされていま。
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2024年4月台湾花蓮の避難所
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令和6年1月の能登半島地震の避難所
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令和6年1月の能登半島地震の自主避難所
鎌ケ谷市の避難場所は、市内24カ所(各小中学校、各高校、各保育園、体育館、下総基地、松戸駐屯地、鎌ケ谷カントリー)と福祉避難所として社会福祉センターが指定されています。
これまでの避難所のイメージは、体育館の床にブルーシートが敷かれ、マットレスや毛布を使って底冷えを我慢して雑魚寝をし、非常食の乾パンやレトルト食や菓子パンを食べる。トイレはプライバシーも無く。周囲の人たちに気を使いながら小さな声で話し、泣いたり笑ったりを抑えて、これからの暮らしへの不安を募らせながら日々を過ごしていく。というようなものでしょうか。
世界各地で紛争などによる避難民の人道支援活動を行っているスフィアプロジェクトでの基本理念は、「尊厳ある生活を営む権利があり、支援を受ける権利がある。苦痛を軽減するための実行可能なあらゆる手段が尽くされなければならない。」というものです。
被災したからといって、避難所で忍従の日々を送らなければならないとしたら、それは「尊厳ある生活」を送ることへの違背ともなるのではないでしょうか。
被災したからといって、避難所で忍従の日々を送らなければならないとしたら、それは「尊厳ある生活」を送ることへの違背ともなるのではないでしょうか。
発災により帰宅することができなくなった帰宅困難者のための避難所でもそうした理念は適用されるべきものです。非常時だからといって男女の区別なく雑魚寝や共用トイレの使用を強いられるようなことは避けられなければいけないのです。
2024年4月3日に発生した「台湾・花蓮地震」を報じたニュースで避難所の様子が写されていました。避難所は、冷房完備、簡易ベッドが備えられプライバシーに配慮されたテントが設置され、女性専用や特別支援者専用の寝室も設置されました。食事は、温かい「魯肉飯」や「麺類」が用意されています。無料Wi—Fiや充電サービスもあったようです。地震被害が多いイタリアの避難所運営では、「TKB48」という取り組みが最も進んでいます。T=トイレ、K=キッチン、B=ベッドのことで「48」は発生から48時間以内にこれらを避難所に設置する仕組みのことです。
なぜ、私たちの避難所では、こうした状況になっていかないのでしょうか。台湾もイタリアも避難所の運営には「ボランティア組織」が活躍しているようです。私たちは、自助・共助・公助という意識のなかで「避難所対策は公助が担う」という思いが強すぎるのかもしれません。
現状の公助と共助の連携の仕組みを見直し、安全で保健衛生に配慮されプライバシーが守られていて、温かい食事ができ、生活に困らないレベルが確保された避難所となるよう取り組みが進むことが必要です。そうした避難所ができてくれば、尊厳ある生活が保護されます。災害から逃れた命が災害関連死として奪われることが無くなるような取り組みが進んでいってほしいと思います。
うむっさん