79年前の8月6日午前8時15分・広島、8月9日午前11時2分・長崎。広島での原爆戦没者は33万9227名(2023年8月6日現在)、長崎は19万5607名(2023年8月9日)。おおよそ53万4000人という方たちが亡くなった。勤労奉仕の中学生であり、仕事に向かう父であり、子育て中のお母さんであった。一人ひとりに暮らしがあり、将来の夢があり、未来があった。そうした夢や希望は一瞬にして奪い去られた。
なぜ原爆が投下されたのか?なぜ広島・長崎なのか?いまだ誰しもが納得することなどできない。原爆が兵器として運用されるためには、原爆を作った人・原爆を兵器として運用した人・原爆投下という作戦を実施した人・そして原爆投下という意思決定をした人がいる。
NHKBSで「TO END ALL WAR OPPENHEIMER&THE ATOMIC BOMB」というドキュメンタリーが放送された。原爆を作り出した「マンハッタン計画」の責任者ジュリアス・ロバート・オッペンハイマーと原爆に関わるものだった。
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広島原爆被災ドーム
当時のアメリカ世論は、「戦争が早く終わらせられるなら何をしてもいい」というようなもの。多くの戦死者がでた欧州での戦争がナチス・ドイツの降伏によって終わり、太平洋での戦争の終わりを多くの人が望んでいた。
オッペンハイマーは、原爆投下の前には、「核兵器のある世界では戦争はなくなる、それが重要な点です」とその意義を話している。しかし、原爆が投下され広島・長崎の凄まじい惨状に、原爆を「大量虐殺兵器」と呼び、「安全な未来への希望は信頼と誠意にもとづく世界の協調にこそ宿っている」と語った。
アメリカでは原爆投下について、「戦争を早く終わらせるために必要だった」「原爆によって終戦が早まり、戦死者数が少なくなったから、原爆投下は間違いではなかった」というものが公式見解となっている。しかし現在では、そうした考えは間違っている。原爆製造そのものが間違っていた。とする人たちが多くなっている。
核抑止力があるから「平和」があるという考え方は、冷戦構造のなかでつくりだされた詭弁だ。現在では「ならず者国家」や「テロ国家」などで核兵器が運用されている。ウクライナ侵略では、核兵器の使用を示唆する発言が繰り返される。核兵器を増産し、大陸間弾道ミサイルの発射実験を繰り返し行う。ともに、核兵器による恫喝によって目的を達成しようとその力を誇示する。
広島平和記念公園にある原爆資料館には、多くの外国人観光客や修学旅行の中・高校生が訪れている。原爆投下によって、一瞬に命を奪われた人たちの遺品を前に、何を思い、どう感じるのだろう。「核兵器は恐ろしいものだ」と実感してほしい。核兵器は「必要悪」などではなく「絶対悪」なのだということ。核兵器によって戦争がなくなることなどないこと。を心に深く刻んでほしい。
2016年、オバマ氏は、初めて広島を訪れたアメリカ現職大統領として「私たち人類は、過去で過ちを犯しましたが、その過去から学ぶことができます。選択をすることができます。子ども達に対して、別の道もあるのだと語ることができます」とスピーチした。原爆慰霊碑に刻まれた「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」という言葉の前で。 79年という時が過ぎても世界中の人々が語り継がなければならない、悲しい過ちであり、絶対に再びこの惨禍が世界中のどこで起きてもならないのだから。
うむっさん