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中国のデフレリスク
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米国版国家資本主義
2026年1月5日、ユーラシア・グループは今年直面する前例のない地政学的課題を分析する「トップリスク2026」レポートを発表しました。 2026年のリスクは、(1)アメリカの政治革命、(2)過剰に強力「電気国家」中国、(3) ドンロー・ドクトリン、(4) 包囲されたヨーロッパ、(5)ロシアの第二戦線、(6) アメリカ的特徴を持つ国家資本主義、(7) 中国のデフレ罠、(8) AI がユーザーを食い尽くす、(9) ゾンビ USMCA(北米自由貿易協定)、(10) 水兵器。となっています。その他に「リスクもどき」として、 「タリフマン(関税男)」の暴走、脱グローバル化、勢力圏、米国売りが挙げられています。
レポートでは、日本の2026年は経済安全保障と対米関係の管理が極めて難しい年になると記述されています。
(1)最大の脆弱性は「中国のデフレ(リスク7)」です。日本にとって最大の貿易国中国経済の減速の可能性は日本の成長にとってマイナスとなります。中国国内での過酷な価格競争によって、現地日本企業の収益が悪化。EVなどの先端製品が東南アジア市場で日本製品のシェアを奪います。
(2)対米投資への圧力と「米国版国家資本主義(リスク6)」です。トランプ政権は日本に対し、対米貿易黒字の削減と米国内への投資拡大への圧力を強めます。
(3)「ゾンビUSMCA(リスク9)」による自動車産業への逆風。メキシコを対米輸出の拠点としてますがUSMCAの先行き不透明感はサプライチェーンの再編などを伴う直撃弾となります。日本の自動車産業にとっては「原産地規制」が大きな論点です。
(4)「米国の政治革命(リスク1)」によるビジネス環境の悪化。トランプ政権による「法の支配」の軽視や予測不能な政策変更は、米国で活動する日本企業の経営判断を極めて難しくします。
(5)唯一の希望(Upside)。中国経済の低迷は、対外的に冒険的な行動(台湾や尖閣諸島周辺・日本列島周辺での軍事活動)に向かう余裕を意味し、日中外交においては、緊張がやや緩和する可能性がある、としています。
「アメリカの政治革命(リスク1)」は、日本の経済安全保障にとって大変難しい対応が必要となります。トランプ氏の世界一の軍事力を背景に経済的なディールを仕掛ける手法は、あたかも「帝国の時代」へと向かおうとしているかのように見えます。「私に国際法は必要ない、あるのは自分の道徳観だけ」という価値観なのでから。
ベネズエラでの軍事力行使によるベネズエラ大統領拘束事件。グリーンランド領有を目指した一連の出来事では、武力行使にも言及したうえで領有に反対するヨーロッパの国に対する関税の上乗せ措置やその取り消しなどの「恫喝」を「取引(ディール)」と呼んで憚らない姿勢をとっています。さらに、既存の国際機関からの脱退と新たな国際機関の設立では、参加国に10億ドルの拠出を求めるということのようです。
「アメリカはどうなっちゃうのか?」。アメリカ国内でのトランプ氏の支持率は低下傾向にあり11月の中間選挙の情勢いかんによっては、さらに激しい国内の分断が生じてしまうのかもしれません。世界中が地政学的なリスクに晒され予断を許さない厳しい状況が続いていくことになってしまうのでしょうか。
うむっさん


