国際経営開発研究所の「世界競争力年鑑2023年版」でアジアの順位は、シンガポール4位、台湾6位、マレーシア27位、韓国28位、インドネシア34位で日本は過去最低の35位となった。日本の経済成長のためには、産業経済の活力を維持・向上させていく必要があり、労働力不足解消は喫緊の課題だ。課題解決の柱ともなるのが外国人労働者の存在だ。
厚生労働省の発表では、令和5年10月時点で 2,048,675 人の外国人労働者雇用されている。外国人労働者数は、「製造業」が最も多く全体の 27.0%。外国人を雇用する事業所数は、「卸売業、小売業」が最も多く、全体の 18.7%となっている。
外国人材は多くの産業で働いている。「製造業」では人手不足が深刻な状況にあり、人手不足により事業継続を断念するという事業所もある。「卸売・小売業」では、インバウンド需要に対応して接客を担っている。「宿泊業・飲食サービス業」では、観光地のホテルなどでフロントや客室清掃など多くの業務を担う。「建設業」では、建築・土木工事ラッシュのなか、外国人材がいなければ作業が成り立たなくなっている。「医療・福祉」の分野では医療や介護現場には欠かせない人たちだ。
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日本企業で働く外国人
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外国人材がいなければ日本は回らない
2024年6月14日「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律」などが成立した。これによって新たな「技能実習制度と特定技能制度」が始まっていく。「国際的にも理解が得られ、我が国が外国人材に選ばれる国」になれるよう、①外国人の人権が保障され、労働者としての権利性を高めること②外国人がキャリアアップしつつ活躍できる分かりやすい仕組みをつくること③全ての人が安全安心に暮すことができる外国人との共生社会の実現に資するもの。を重点に見直すということが掲げられた。
観光で訪日した外国人は、「日本はおもてなしの国で人々は親切でやさしい」という評価をしてくれている。では、働く外国人に日本は「やさしい国」なのだろうか。
出入国在留管理庁から発行されている「外国人技能実習生の失踪を発生させないために」というパンフレットがある。その中には、仕事内容への納得感、業務内容や習得できる技能内容、給与の内容や社会保険料などの負担への説明などが、なされることが挙げれている。さらに、異文化への理解とお互いを尊重することが重要だとし、文化や日本語の理解度など違いから意図に反した指導にならないよう十分に配慮していくこと。など信頼関係の構築に努める必要性を挙げている。
外国人労働者の処遇を考えることは、日本の労働者全体を考えることにつながる。上昇しない賃金や長時間労働の弊害。正規と非正規との格差などの是正や労働衛生・労働安全などに実効性のある取り組が進んでいくことが大切だ。 出身国による「偏見」と多文化への理解不足からの「先入観」も、「差別」を助長する。過去には、差別意識から生まれた凄惨な事件も起きている。国籍や民族などが異なる人々が、互いの文化的な違いを認め、対等な関係を築き、共に生き、安全で安心して働いて、未来への希望が描ける「多文化共生社会」へ向かって進んでいく。
うむっさん