ワシントンポストに、「Japan, famously polite, struggles to cope with influx of tourists(礼儀正しいことで知られる日本は観光客の流入に苦戦)」という記事があった。
記事では、日本をこう評価していた。「着実に弱体化した日本円。過去5年間で米ドルに対して40%以上価値が下がり、日本はものすごくチープに訪れることができる場所」。
外国人旅行者が魅せられる日本の魅力とはなんだろ。日本文化は、風俗や建築様式など、世界的に見ても独自性に富んでいることが挙げられる。なかでも「日本食」は、世界の各地で食べられるようになってきているが、独自のアレンジによってもともとの「日本食」とは離れていることも多いようだ。そこで、「円安」によって旅行しやすくなった日本で「本物の日本食を食べる」が日本観光の目的となってくる。
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外国人におすすめの日本食
コロンビア大学の日本経済に関する年次講演会資料によれば、ラーメンは、ニューヨークでチップ込み23.20ドル(日本円で3360円)、日本では820円。ビッグマックが、ニューヨーク6.09ドル(882円)、日本410円。ユニクロのシャツがニューヨークで、24.90ドル(3605円)、日本1990円(1ドル144.79円で換算して)。また、2021年のビックマック指数では、21位 シンガポール、31位韓国、40位中国で、日本は44位となっている。ビックマック指数が高いほど購買力が高いことになる。
「日本はコスパがいい国」と言われる。日本の「おもてなし」と「物価の安さ」、そして、「製品・サービスの質」が優れていることから「コスパのいい国」となっている。その結果が「Cheap Japan」。世界中でそんな認識が定着しているのだろうか。
「水道の水のように低価格で良質なものを大量供給することにより、物価を低廉にし、広く消費者の手に容易に行き渡るようにしよう」。経営の神様といわれる松下幸之助氏の哲学。そうした哲学で高度成長を成し遂げた日本。
物価を低廉にするためには、製造コストを抑えるために「賃金ベースを抑える」という方策が採られてきた。消費者にとっては安くて良いものが手に入るということになっる。「適正価格」を超えて、「つねにより安いもの」「1円でも安いもの」という消費者行動に走ってしまう。
100円ショップで、「安いからといって不要なものを作り続け、それを買い続けているのではないかと思わずにはいられない」という外国人旅行者の感想は、私たちの選択に波紋を広げる。
政府は、「賃上げ」を進めることで経済を好転させようとしている。春闘では、大企業で賃金上昇の兆しが見え始めているが、日本経済を支える中小零細企業には賃上げの波は届いていない。大企業の賃金上昇を図るため、下請け、孫請けである中小零細企業にそのしわ寄せをさせないための方策が大切になる。
「安い日本」が常態化していくことで、この言葉の中に感じられる「安っぽい」というネガティブなものを排していくことが必要。とはいえ、日本のよさである「質の良いものを安く」消費者に提供するということは忘れてはいけないように思う。「安かろう、悪かろう」に陥らないための対策が喫緊の課題。
うむっさん