3月24日読売新聞に、能登半島地震で全壊した珠洲市の書店が、仮店舗で再出発したという記事が載っていた。高校の新入生が教科書をそろえるのに間に合わせようと再開した。この本屋さんは、売れ筋の本だけでなく、いい本を積極的に扱っていた。20年には、カフェを併設し、地元の交流の場ともなっていた。「街の文化の拠点にしたい」「ここから街の復興を見届ける」と頑張っている。
出版科学研究所の調べでは、20年近く書店数の減少が続いており、小規模な書店の閉店率が高い。紙媒体の雑誌や書籍自体の販売不振のなかで、店舗の老朽化や後継者不足などの問題も減少に拍車をかけている。
また、書店がない自治体も全国的にある。書店ゼロの市町村が多いのは、北海道、長野県、福島県、沖縄県。書店のない市町村数の比率では、長野県、沖縄県、奈良県、福島県、高知県、熊本県となっているようだ。
2022年10月の「本屋に関する調査」(クロス・マーケティング)では、本屋さんの利用の仕方も年代によって変わってくるようだ。20代は「目的の本が見つかったらすぐ帰る」が高い。60代は「空き時間があれば立ち寄る」が最も高く、「平積みされていると手に取ってしまう」「買う予定のなかった本もつい買ってしまう」も他の年代よりも多い。わが身に引き寄せても、本屋さんに行くのが目的で外出することも多いし、話題になっている本は手に取っている。平積みされた本のジャケットや帯のキャッチコピーが楽しい。さらに、書店員さんの書くポップも本を選ぶだけでなく、本屋さんでの楽しみの大きなポイントになっている。
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街の本屋さん
本屋さんも様々なタイプがあるようだ。売れ筋の本だけでなく専門書などの良書をそろえ文化の担い手となっている本屋もある。また、ショッピングモールなどの本屋では、雑誌や話題の本など扱いが多いようだ。最近では、本屋と文房具・雑貨店が併設されるような本屋さんも増えているし、カフェの併設やジャンルごとの専門書や雑貨などがセレクトショップのような設えになってディスプレイされている本屋さんもある。
本屋さんの減少に歯止めをかけようと、今年3月に経済産業省に大臣直轄の「書店振興プロジェクトチーム」が設置された。経産大臣は、「書店は、日本人の教養を高める重要な基盤で、書店に出かけることで新しい発見があり視野も広がる」と話している。
本は「創造の翼」だと思う。その翼によって、太古の恐竜にも会えるし、荒れた海を乗り切る船乗りにもなれる。さらに、人類の歴史をさかのぼることやDNAの解析によって人類の出自にもせまる。ときには、名探偵や敏腕警部になり難事件を解決する。また、「どう生きるか」と悩み、登場人物によせて「せつない想い」に身を焦がす。
書籍を買うなら通販サイトで目的の書籍を購入した方が便利。でも、書棚を前に「創造の翼」に乗って新しい世界を見つけにいく。タイトルを眺めているだけで楽しくなる。たまに、書棚の本がキラッと誘ってくる。そんな場所が本屋さんだ。
うむっさん