かまがや地域情報の窓

　　1月8日、ユーラシア・グループ（アメリカの調査会社）から2024年のトップリスクが発表されている。

　１．アメリカの分断（11月の大統領選挙に向けて政治的な分断が深まり、地政学的な不安定さを世界にもたらす可能性）

２．瀬戸際に立つ中東（イスラエルとハマスの戦闘を終わらせる明確な方法はなく、これによる政治的分断が世界に影響を与える）

　３．ウクライナの事実上の割譲（ウクライナへの支援が滞ることで、ウクライナ領土が事実上、ロシアに割譲される可能性）

　４．AIのガバナンス欠如（強力なAIモデルなどが開発され、政府のコントロールを超えて普及する可能性）

　５．ならず者国家の枢軸（ならず者国家がロシアによるウクライナ侵攻以降、協力関係を深め、既存の制度や原則を弱体化させようとしている）

　６．回復しない中国（中国政府が金融の脆弱性や需要不足に対応できず、中国経済の回復は難しいだろう）

　７．重要鉱物をめぐる争奪戦（重要鉱物の生産地は一部地域に偏り、当該政府が保護主義的な措置をとる可能性）

　８．インフレによる経済的逆風（インフレに起因する高金利が、世界中で成長を鈍化させる）

　９．エルニーニョ現象の再来（異常気象により、食糧難、水不足、病気の流行、政情不安などをもたらすだろう）

　10.分断が進むアメリカでビジネスを展開する企業のリスク（大統領選が近づくにつれて国内市場が分断され、全米に展開する企業は特定の州の市場からの撤退を迫られる可能性）アメリカの分断は、政党支持（民主党Vs共和党）や政治的な立場（保守派か急進左派か）だけでなく、経済的な貧富の差、人種や言語（英語を母語としない多くの人たち）、宗派の対立など多岐にわたる。現下のアメリカの様相は民主主義の終焉への序章と考える識者も増えている。

　11月の大統領選に向けた共和党の候補者選挙では、トランプ氏が圧倒的な支持を受けたが、穏健派や反トランプといった勢力も一定の影響力を得ている。2020年に起きた連邦議会議事堂占拠事件につながった投票集計の妨害など4件の事件について起訴される人物が大統領候補になっていく。一部の人たちが、特定の人を妄信した先にある「狂信」が、社会の安定を脅かす。「もしトラ」どころではない世界を揺るがすシナリオも成り立ちそうな情勢のようだ。

　９番目の「エルニーニョ現象の再来」。気候変動による極端な異常気象は「気候難民」を生み出している。気象災害によって住む土地を追われた人たちは、国内避難監視センター（ジュネーブ）によると、20年・3070万人となり、紛争による避難民980万人の3倍となっている。とりわけ、干ばつ被害は、食糧生産だけでなく生存に必要な必要最小限の水さえ奪い、明日どうなるかさえわからない放浪を余儀なくされる。

　日本でも毎年のように「経験のない豪雨」や「記録的な暑さ」といった異常気象が続いている。世界では、豪雨災害の一方で水不足に悩まされる地域もある。この不条理をどう解消すればいいのか？有効な解決手段あるのか？はわからないが、地球温暖化によって気象現象が激甚化していることだけは実感している。