人口減少は、私たちのくらしの姿を変えていく大きな課題。日本では、『人口減少=婚姻数の減少=少子化』という状況が続いてる。結婚する人たちが少なくなる。あるいは、結婚(婚姻)そのものをしようと考えない人も多くなっている。
婚姻率と婚姻数の推移
結婚観は、多様になっている。各地の地裁での同性婚訴訟判決でも、多様な結婚観へと社会的合意が進んだということが述べられているようだ。ただ、婚姻制度自体は、「男女」によるものという社会通念は、失われてはいない。私たちの結婚観として、「家」というものを抜きにはできない。「〇〇家の跡取り」、「〇〇家の嫁」などという。「家」が法的な枠組みを持ったのは明治憲法の時代なのだが・・・。
日本国憲法では、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と規定されている。しかし、ながら「男は仕事、女は家事」という「性別役割分業意識」により、女性の家庭維持のための負担は、男性の比ではなく過重なものとなる。
男性の育児休業制度によって「子育て」の時間が増えることで、「育児は女性」という分業意識は薄れつつあるように見えるが、社会全体の合意にはいますこし距離があるように思える。6月21日に世界経済フォーラム(WEF)が発表した報告書では、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位で、前年(146カ国中116位)から9ランクダウン。順位は2006年の公表開始以来、最低だった。
婚姻数が減少していく背景には、「一生、結婚するつもりはない」といった結婚観の多様化に加え、将来を見通せない不安から結婚に踏み切れないという事情もある。「結婚するつもりはない」という結婚観は、個人の選択の結果であり尊重されるべきもの。しかし、将来不安や経済格差から結婚に踏み切れないという状況は放置しておいてよいわけではない。
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「結婚すればしあわせになれる」という考え方は、裏を返せば、「結婚できなければしあわせになれない」「結婚しないと不幸だ」という決めつけの理屈に囚われることになる。それは、結婚という特定の状態に依存してしまって、それ以外の選択肢を否定しているようなものである。とはいえ、これまでの結婚観を変えていくのは難しい。とすれば少子化対策として婚姻率の向上を図ることは有効な方策ではない。むしろ、多様な結婚の形と多様な家族の姿を描くことができるかということが課題になる。
子育てについても社会で子育てするという合意が必要だ。子どもが個人として大切にされるような社会のあり方への方策を講じていくことが大切なのではないだろうか。そうして、家族の有り様も変わっていくだろう。「血縁でつながる家族ではなく、縁でつながっていく家族」そんな家族観が大切になるのだろう。
私たちは、「結婚とは何か?」という問いに向き合うことが必要だ。そして、これまでの慣習的な認識を改めることも併せて必要になっているのだろう。
うむっさん