4月7日(木)に放送された、NHK・BS『コズミックフロント「北極大漂流 氷の中の1年」』という番組を見た。大型砕氷船に37カ国から数百人の科学者が集まった北極調査。氷に固定された船の周りには、大気や氷、海中を調べる観測拠点が設置され、漂流しながら調査を行うというもの。調査では、いるはずのない魚が発見され、夏に無数の池が出現したりなど、地球温暖化の最前線が写されていた。
北極海の海氷面積の推移(ArCSⅡ北極海水情報室HPより引用)
地球温暖化に伴う生態系への影響(アピステラコムHPより写真引用)
気候変動に関しては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立され、2021年8月現在、195の国と地域が参加している。2021年8月の第1作業部会報告書では、「気温上昇は、2021~40年に1.5度達する可能性が高い」と報告されている。
また、『変化する気候下での海洋・雪氷圏に関する IPCC 特別報告書』では、「1979〜2018 年に、北極域の海氷面積は1年間のすべての月において減少した可能性が非常に高い」「北極域の海氷の変化は、中緯度の気象に影響を与える可能性があるが、特定の気象の種類に対してこの影響を検出する確信度は低い」と報告された。WMOは、北極域の気温上昇「北極圏史上最高の気温38度」を2021年12月に正式に認定した 。
気候変動をもたらす温室効果ガスの排出削減は、2015年に開かれた「国連気候変動枠条約締約国会議(COP21)」で合意(パリ協定)された。パリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする。そのためには、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と森林などによる吸収量のバランスをとる。という世界共通の長期目標設定がなされた。しかし、現時点では気温上昇は1.1℃となっており目標達成のための行動には一刻の猶予もない。
気候変動によって、極端なエルニーニョ現象及びラニーニャ現象が発生すると予測されている。エルニーニョ現象によって、低温、多雨、寡照による農作物の不作、漁場の変化、洪水、土砂崩れ。秋になっても高温が続くことで熱中症が増える。などのリスクが見込まれる。また、ラニーニャ現象が発生した冬には、北陸などで大雪による車の立ち往生による通行止めなどの影響を受けた。都心でも大雪によるリスクがある。
IPCC議長は、「私たちは岐路に立っている。行動する時だ。」と会見で協調した。2025年までに温室効果ガス排出量が減少に向かわなければ、将来世代では、激甚な自然災害におびえる日々を過ごすことになる。「気候正義(Climate Justice)」という考え方がある。先進国が引き起こした気候変動への責任を果たし、人々の暮らしと生態系の尊さに配慮した取り組みを行っていくことで、未来にわたって持続可能な社会の実現を目指すということ。私たちにそうした自覚と覚悟はあるだろうか。
うむっさん