イギリス・グラスゴーで開かれたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)は、11月13日、石炭火力発電の「段階的削減」の加速に向けた努力などを明記した「グラスゴー合意」を採択し閉幕した。
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COP2021国際会議
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CO2排出
気候変動による災害拡大
合意文書では、温室効果ガスの排出抑制対策を講じていない石炭火力発電の段階的な削減といった排出削減の具体策に踏み込んだ。また、各国が示した削減目標が実行されても、パリ協定の「今世紀末までに平均気温の上昇幅を1.5度以内」という努力目標にはとどかない見通しで、目標実現に向けた努力の追求を決意することが明記された。
議長国イギリスは、「先進国は2030年までに、途上国は2040年までに石炭火力の廃止」と期限を設けて確実な石炭火力の廃止を求めた。また、190の国・企業が、石炭火力発電を段階的に廃止し、新しい石炭火力発電への支援を終了する共同声明「グローバル石炭からクリーンパワーへの移行声明」を発表した。また、CO2(二酸化炭素)排出量1位と2位の米中によって、「2020年代の温暖化対策強化に関する米中グラスゴー共同宣言」が発表された。 様々なテーマに対して、国だけでなく企業なども含めた有志連合が形成されて宣言がなされたことは、国際連帯が必要な温暖化対策を進めるCOP26の成果となった。
石炭火力発電の廃止が先進国間の大きな流れとなったが、日本は、水素やアンモニアを利用した「火力発電のゼロ・エミッション化」として、石炭をはじめとした火力発電の維持を表明した。石炭火力の廃止に積極的なEUの国では、電源構成に占める石炭火力の割合(2020年)は、最小のフランスで1%、最も多いドイツで24%、日本では31%となっている。一方、原子力発電の構成では、フランス66%、ドイツ11%、日本は、4%となっている。石炭火力発電を主要なエネルギー源とする国からは、「廃止」に関して強い反発があり、合意文書では「削減」という表現になったようだ。
日本は、石炭の使用量を少なくする技術によって、CO2排出量の削減に取り組むという方策を採っている。もとより、再生可能エネルギーの構成を上げていくこととしているが、石炭火力を全て廃止するということはできない。
新技術によってCO2削減を実現するため、実用化に向けた一層の進捗が求められる。しかし、新技術だけでは、全ての問題・課題を解決することはできない、私たちの活動を抑制していくという社会的合意が必要になる。そして、温暖化対策を私たち自身が実効的に積みあげていくことしかない。議論に費やしている時間はもう残されていない。温暖化による影響はさらに顕著になっている。いまやらなければ、豪雨や巨大台風・干ばつの激甚化・頻発化という大きな惨禍と直面することになる。
うむっさん