かまがや地域情報の窓

　私たちは、いつも何がしかの過ちや失敗をしながら日々を過ごす。どんな過ちも失敗もしないという“パーフェクトヒューマン”にはなり難い。やらなければよかったと思っているけれども「やめられない」ことがなんと多いこと。

　『子曰。過而不改。是謂過矣。』子曰く、過て改めざる。是を過と謂う。と論語（衛霊公第十五:岩波文庫）にある。失敗を改めることを躊躇してはならず、それをなおそうとしないことが本当の失敗だということ。

　行政組織の「やめられない」も大きな課題となる。行政手続のデジタル化が進められようとしているが、押印をはじめとする根強い旧来の体質は、なかなか変えることができない。長期にわたる公共事業では、「やめられない」ことにより大きな課題を生んでいる事案も全国的な状況のようだ。行政計画は、長期計画が概ね5年間。3年で見直しをすることが多く、見直し手法は、実績からの推計が多いようだ。実績の積み上げでは、社会経済情勢や事業意義の変化に対応することが難しい。エビデンスに基づく政策形成が求められるゆえんだ。

　「計画に従っている」「前例だ」と、さらに損失を重ね、結果として大きな損失となってしまう。そんな状態を「コンコルド効果（Concorde effect）」という。超音速旅客機コンコルドの商業的失敗にまつわる話から由来する言葉で、「今まで投資したもの（金銭、時間、努力・苦労など）が無駄になるからと、そのまま続けても損失にしかならないのに、やめたくてもやめられない状態」を指す。すでに支払ってしまい、取り返すことのできない金銭的・時間的・労力的なコスト（サンクコスト：埋没費用）を取り戻すことに気が取られて、合理的な判断ができなくなるというサンクコスト効果に陥る。その結果、その時点で最も合理的な意思決定ができなくなり、さらに大きな損失を負うことになってしまう。

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　菜根譚にも、『人肯当下休、便当下了。前人云、如今休去便休去、若覓了時無了時。』とある。人は何事につけても、即座にやめれば、それでけりがつくもの。古人も、今すぐやめてしまえばやめることができる。もし、やめる時機を見つけようとしていたら、やめる時機は無いと言っている。しかし、実際にはやめることができないことが多い。今の風潮では、一度の失敗ですべてが終わってしまうと感じることがある。「失敗」を許す寛容さと何度でもやり直せる「挑戦」を促す、世の中になっていくことが必要だ。それが、不確実性を増している社会を変える契機になってほしい。　　

うむっさん