かまがや地域情報の窓

　新型コロナウイルスの感染拡大は、「緊急事態宣言」でも鎮静化する兆しはみえない。さらには「変異種」による感染も課題となっている。
　1月22日に全国の自殺者数（速報値）が発表された。自殺者数は年々減少傾向にあったが、2020年は前年比3.7％増の2万919人となった。女性の自殺者数は、前年比14.5％の増となっている。仕事や育児、介護、家庭内暴力などの生活苦が深刻化していると分析されている。

　コロナ禍により宿泊業・飲食サービス業など様々な業種が「自粛要請」によって時短営業や事業休止に至っている。こうした業種では、女性の雇用は不安定になっていることが多い。コロナ禍による失業者のうち約7割近くが女性だ。経済的基盤が安定しない人たちに、しわ寄せがきていることの結果が統計として表れているだろう。

コロナ差別ポスター

　私たちは新自由主義という経済路線を進んできた。労働力の規制緩和によって「派遣労働」や「非正規雇用」という働き方が広がった。その負の側面として、企業の業績悪化による雇用調整として「派遣切り」が行われる。労働者間でも「正規雇用」と「非正規雇用」の格差が広がっている。こうして貧富の差は広がり、「所得階層」の「固定化」は底流にある不条理として鬱積されていく。所得階層の固定化を解消していくことは喫緊の重大な社会的課題となる。

アメリカ議事堂乱入（報道写真より一部引用）

　　アメリカでは、大統領選挙の結果を暴力で覆すそうと暴徒が連邦議会議場に乱入し死者5人を出すという事態が起きた。政治リーダーの扇動によって暴徒化した人たちが引き起こした騒乱だ。その根底には所得格差の固定がある。政治的主張の対立とともに修復し難い社会の分断はアメリカ社会を暗く覆っている。

自殺者数増加の一因はコロナ禍であり、これによって顕在化した社会的問題の解決には、「公助」に係る施策が十分に実施されることが必須だ。しかしながら「公助」だけでは、ニッチに阻まれてしまい支援の手が届かない状態が生じる。こうした状況を打開するためには、「共助」による私たちの行動で不幸の連鎖を止めていくことが必要になる。ソーシャルディスタンシングとして物理的な距離をとっても、ともに生きていくという紐帯を失ってはならない。　　　

うむっさん