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　１２月６日に「小惑星探査機はやぶさ２」が「小惑星リュウグウ」で採取したサンプルが入ったカプセルが本体から分離され着地する予定だ。はやぶさ２は、地球と火星の間にある小惑星「1998KY26」に向かうため軌道を修正して、おおよそ１０年にわたる新たな探査の旅に出発する予定となっている。リュウグウで採取したサンプルに微生物が存在するのではないかという期待がもたれている。リュウグウは宇宙からの放射線に晒されているが影響の少ない表面下層では、原始的な微生物が存在している可能性があるというものだ。サンプルの中にある冬眠状態の微生物が発見され、なおかつ息を吹き返すかもしれないという期待だ。
東京薬科大学が中心となった研究チームの発表によれば、バクテリアの複数の菌種が宇宙環境で３年間も生き残ったという。宇宙ステーションの外側に取り付けた実験モジュールに入れたバクテリアのコロニーを水に戻すと、外側は紫外線の影響を受けて死んでしまったがその下の層のバクテリアは生き残っていた。

地球に帰還するはやぶさ２

地球に帰還するはやぶさ２（JAXAサイト写真を引用)

　『地球の生命の起源は何か？』という問いに対し「パンスペルミア仮説」が注目されている。「生命の起源は地球本来のものではなく、他の天体で発生した微生物の芽胞が宇宙空間を飛来して地球に到達したものである」というもの。もし、リュウグウからのサンプルに微生物或はその痕跡があれば、地球生命の起源への解明が大きく前進する。

小惑星に着地するはやぶさ２（JAXAサイト写真を引用)

　ＳＦ小説では宇宙からの微生物がテーマとなった作品が多い。「アンドロメダ病原体（マイケル・クライトン：早川書房）」では、生物兵器を作ることを目的とした人工衛星が墜落し付着していた病原体により多数の犠牲者が発生。感染拡大の防止のため原爆により街全体の消滅を謀るが、その直前に病原体が突然変異し無害化する。
現実は小説のようにはならないが、幸いこれまでの宇宙探査では人類の脅威となるような病原体はみつかっていない。一方、地球の微生物が月や火星など他の惑星に持ち込まれた場合の影響は解っていない。今後さらに発展する宇宙開発の際には、人知の及ばない事態の可能性も想像される。このため、地球を出発する際の検疫である『宇宙検疫』は、今後の宇宙探査の大きな課題となってくる。　

うむっさん