初春令月 気淑風和 梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香
初春の令月(例月)にして 気淑(きよく)風和(かぜやわら)ぎ 梅は鏡前(きょうぜん)の粉を披(ひら)き 蘭は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かお)らす
「令和」の出典となった、万葉集巻第五(雑歌)の序。大宰府(外交と防衛を主な任務とする地方行政機関)の長官であった大伴旅人の邸宅で開かれた宴会の際に作られた32首の和歌につけられた序の一部から採られている。
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令和年号の発表
旅人は、「一堂に会しては言葉を忘れ、美しい景色に向かっては心を解き放つ。さっぱりとして心に憚ることなく、快くして満ち足りている。」そんな思いは詩歌でなければ語れない。と宴会に参会した面々を促した。大友旅人は「わが園に梅の花散るひさかた天より雪の流れ来るかも」と詠っている。
「万葉集」は、7世紀後半から8世紀後半にかけて編纂された、現存するわが国最古の歌集。「葉」は「世」時代という意味で、万世まで伝わるようにとの思いを込めた命名だと考えられている。全20巻、約4500首の歌が収められている。
中西進・奈良県立万葉文化館名誉館長は、「万葉集と日本人(万葉集歌の力:徳間書店)」の中で、「万葉の心」は主に3つの事に集約されるとしている。一つは「命を信頼してたくましく生きていくこと」こと。二には「笑いやユーモアを忘れず、乗り越えていくこと」こと。三つとして、「人間としてごく普通に、確かに生きていくこと」こと。
平安時代以降に見えなくなった「万葉の心」に「しなやかさ」があるとおっしゃっている。「しなやかさ」は、折れそうで折れない、死にそうで死なない弾力の素晴らしさを表していた。平安の時代の一番いい生き方を表す言葉だった。
生きづらい世の中で、救いが無いように感じられるけれども、新しい時代を迎える、いまこそ「しなやか」に生きていこうじゃないですか。
うむっさん