運転中、信号機のない横断歩道に差し掛かりました。横断歩道の近くには歩行者が見えます。さてあなたはどうしますか? JAF(日本自動車連盟)が実施した一時停止状況全国実態調査によれば9割以上の車が一時停止をしていない。理由として、「対向車が停止せず危ないから(44.9%)」、「自分の車が通り過ぎれば歩行者は渡れると思うから(41.1%)」、「歩行者がいても渡るかどうかわらないから(38.4%)」などの回答が多くなっている。
道路交通法(第38条)では、横断歩道での歩行者保護のため「歩行者優先」が規定されており、これに反した場合には「横断歩行者妨害違反」となる。しかし、平成20年から24年までの5年間で、横断歩行者妨害違反で歩行者側に過失が無い、あるいは少ない状況の交通事故による死亡者は1,064人となっている。
日本では、道路を歩くときには自動車交通の流れを妨げないようにという「空気感」があるようだ。アメリカやヨーロッパなどでは、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいれば、車は止まってくれる。法律の規定では外国でも日本でも「歩行者優先」となっているが、日本では「歩行者優先は建前」となってしまったようだ。
2020年東京オリンピックでは、訪日外客数が飛躍的に増加するだろう。訪れた外国の人たちは「日本人は親切で礼儀正しい」と横断歩道でも車が止まるものと思い、その結果、悲惨な事態にならないとも限らない。東京オリンピックでは「お・も・て・な・し」がキーワードとなっているが、「おもてなし」の根底には「思いやり」があるはずだ。「思いやり」に裏打ちされた「歩行者優先のマナー」を徹底させよう。 東京オリンピックまでの時間は少ないけれど、「まず隗より始めよ」で一人ひとりのドライバーが心掛けていけばできそうな気がする。
うむっさん