新たな出会い・研鑚・社会貢献の場を求めて
5月も末になって、やっとお日様をお迎えしている気分である。この1か月、身も心も晴れ晴れとするような爽やかな、心地良い天気が少なかったようだ。ゴールデンウイークだけは、連日のように素晴らしい天候にめぐまれ、海外や国内への旅行者でどこもかしこも賑わったようである。
どうも、そのあとがすっきりしない日々が続き、雨や曇りの日が多かったようだなぁ。
5月の日照時間は記録的な少なさで、昭和46年からの記録では4番目に入るほどのものというから驚きだ。
気象庁では、5月の日照時間は東日本の太平洋側で平年の67パーセント、日本海側で79パーセント、西日本で66パーセント程度と発表している。雨が多くて野菜の生育が良かろうと思ったら、日照不足で野菜も育たぬとのことだから、いつの世もお天道様には逆らえないなぁ。
気がつけば、スーパーの野菜なども日ごとに値上がりしている。再開したウオーキングのかたわらに、覗く店の商品の価格の高さにビックリして買うことを諦め、帰りぎわに、道端で採りたて野菜を販売している農家のおばちゃんのところに寄ってくることが多くなった。
5月後半の販売価格はキュウリが平年より45パーセント、ピーマンが37パーセントも高くなっているそうだ。ニンジン、白菜、キャベツなど主要な野菜14品目全体の平均価格も平年より14パーセント上昇しているという。スーパーの販売単位も1個では38円だが、3個で100円などという表示が増えている。まさかキュウリ1本とか、玉ねぎ1個だけ買って行く人もいないだろうが、価格付けが何ともみみっちいものと思うなぁ。
消費税がらみもあると思うが、電気製品などでも19,800円とか1,980円、野菜などは198円などといった表示がやたらと目立つ。不思議なもので20,200円とか2,020円、202円などというものにはお目にかからない198円も202円も同じように思うのだが、主婦の感覚はそんなに敏感なものなのか。それとも売り手側の姑息な手段や心理作戦か。
まぁそんなことで、農家直売のキュウリを担いで帰り ?一人で料理する。表面のボツボツを削って、よく洗ってぶつ切りだ。これを浅漬けの原液に浸して一ちょう出来上がり。翌日食べることとする。残りは縦に切って味噌とマヨネーズにみりんを混ぜたタレをつくり、新鮮キュウリをつけて食べる。カブも味噌汁の素材と簡単漬物に最適だ。これもまた浅漬けにしてしまう。これらもそろそろ飽きてきたから、また何か簡単な野菜料理?
を考えねばならぬなぁ
カブといえば思い出すのは、岐阜・高山と山形・温海の赤カブだなぁ。とりわけ懐かしいのは、温海になる。
その昔、自社商品の施工現場の写真を撮りに、山形・温海温泉に行ったときの楽しい思い出がある。温海町は山形県鶴岡市に近く、まさに荒々しい日本海に面しているが、温泉は海岸から2キロほど奥地に入った森林と清流に恵まれた地にある。
この温海町役場を訪れるべく温泉地の方へトボトボと向かった。タクシーに乗るよりは風情があると考えたのだろうなぁ。車も人にも殆んど出会わない。人気の無い道を一人歩いていくと、下校途中の小学生たちとすれ違うのである。この子どもたちがオッチャンと顔をあわせると、みな一様に「こんにちは!」と挨拶することに、感嘆を通り越してビックリしたものである。
子どもたちから見ても、オッチャンが地元の人間でないことは、すぐに分かるのだろう。男子生徒も女子の生徒も、集団の子も一人ぼっちの子も、全く屈託の無い笑顔で言葉を交わし、通り過ぎていくのである。役場では担当の女子職員と面談し、庁内の多目的ルームに施工された自社商品の評判のよさも確認して安心して帰京したものである。
山形・温海町は こんなとこ
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オッチャンは帰社後に、温海町役場宛に一枚のハガキを投函した。生真面目? なオッチャンは、温海温泉街での小学生との触れ合いが忘れられないままに、「すれ違う子どもたちとの挨拶が心地良かった。これは学校をあげての教育の賜物ですか」と書いた(はずである)。子どもたちに会った喜びをそのまま伝えたものである。「初めて訪れた者として、学校の確かな教育を見た気がする。観光地・温海町の来客に対する姿勢もまた素晴らしい」などと、書いたものと思う。
数日後わが家に、先日お会いした温海町役場観光商工課の女性職員からの礼状が届いた。その後少し遅れて赤カブが届いた。
消印を見ると「5.12.15」だ。年月の過ぎるのは早い。随分とすぎたものだが、大事に保存してあった。古き良き時代を残すべく、ここにその全文を記してみよう。
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前略、ごめんなさい。先日は嬉しいお便りを有難うございました。早速、教育委員会と温海小学校へ、あなた様のお便りをみせましたところ、大変感激をされて、校長会の席上と子どもたちの全体集会で紹介をしたそうです。
観光の仕事をしていて、こんな嬉しいことはありません。今度はご家族でお出でになりたいとのこと、是非おいで下さい。
その節はまた庁舎にもお立ち寄り願えたら嬉しいのですが.....。こちらは昨夜来日本海も荒れ、雪も降りだしました。本格的な冬の到来です。特産品のあつみかぶ漬を送りました。どうぞ、寒さの折りご自愛下さい。 早々
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これを書くにあたって、温海町のホームページを覗いてみた。
《温海町(あつみまち)は、山形県北西部、日本海に面した町である。2005年10月1日に、 鶴岡市、藤島町、羽黒町、櫛引町、朝日村と合併し、鶴岡市となった温海町 あつみ温泉朝市》
あつみ温泉朝市では、間口二間ほどの店が肩を寄せ合うように軒を並べるそうだ。商うものは、赤かぶなどの農産品から水産加工品そして日用品など様々。下駄に浴衣姿でのんびりと、店の人たちとの会話を楽しみながら歩いてみて下さい。と、呼びかけていた。
残念なことに、その後名前どおりの暖かい温海の町は訪ねていない。山形大学農学部の教授を長く務めた同級生も退官した。しかし鶴岡にとどまっているようだ。いつの日か、何とか訪ねてみたいと思っている。
与謝野晶子歌
昭和10年3月に夫の鉄幹を亡くした与謝野晶子は、7月にあつみ温泉を訪れ傷心した心を癒している。歌碑には「さみだれの 出羽の谷間の朝市に 傘して売るはおほむね女」とある。
オッチャンが温海温泉を訪れた理由はもう一つある。当時オッチャンは、木造3階建ての建物を調査していたからである。建築基準法から、木造の3階建ての建設は既に禁止されていた。たが古い建物には建築当時の姿のままに残されている。温海の温泉街も、殆んどの旅館は木造3階建ての造りだったというわけである。
風格ある玄関から、内部の壁や廊下などの造作の一つひとつに、歳月を経ても変わらぬ木の香りが漂っているのだ。その佇まいに圧倒されるのもまた、楽しかるべきものであった。
近年、幼い小学生が誘拐や殺害事件に遭遇する事件が多発している。まことに、目を覆いたくなるような記事が新聞やテレビをにぎわす。手塩にかけて育てた可愛い子どもや孫を、一瞬にして失う気持ちを察すると、本当に悲しい。
人を殺すことに快感を覚えるような人間が、あちこちにいると思えば親は安心して子どもを学校に行かせることもできない。
嘆かわしい世の中になったものである。「大人の人の言うことを、よく聞くんだよ」なんていうことは、言えなくなってしまった。「知らない人の車に乗ったらダメ」でも済まない。知っている人でも、何をしでかすか分からない。
あの愛らしき温海の子どもたちや、わが孫たちを見るにつけ、この子どもたちに災難のないことを願い幸多かれしと祈るのみである。
(C.W)