上海紀行
Part1

ライター:千遥

12月22日、上海浦東(プートン)空港に向け午後の便でノースウェスト航空に乗ることになった。2年ぶりの海外旅行だけど別に興奮することもなかった。家を出るのに手間取ってしまい、成田空港着がちょっと遅れてしまった。もう既に搭乗手続きが始まっている。

ノースウェスト航空の場合は、預ける荷物の重量制限は20キロと聞いていた。が、わが家には、当然ながら旅行バッグの重量を測定できるような大きな量りはない。それで家の体重計で自分の目方を量り、それからバッグを持って乗ったらバッグの重さは19キロだった。因みに、体重は最近の運動不足を如実に示して72キロであった。美味しい中国菜を2週間も食べていたら、帰国時はもっと肥ってしまうかな。

空港で計測したら19.5キロと出た。まあまあ良かった。あんなところで、バッグを開けて衣類などを減らすのは大変みっともないことだ。さっそく受付カウンターで搭乗手続きをしていたら、係りの女性は「エコノミークラスが一杯なので、すみませんがビジネスクラスにお願いできませんか」という。私は、そうか、こんなこともあるのかな、と思いながら「はい、分りました」と答えた。

最初からついている。悠々と広い座席に座ると、隣は中国訪問が5回目という30歳そこそこの可愛い女性だった。彼女は横浜からきたと言う。私の実家があるから、よく知っている。話も弾む。



空港の上海案内

座席も楽々、酒もワインがお代わり自由、どうも食事も違うらしい。スチュワーデスが鳥と牛とで、どちらがよいか、と聞いてきたからビーフにした。隣の女性は、食べ物が出ると立派なカメラでしきりにシャッターを切る。プロのカメラマンかと思ったら、趣味で機内食をいつも撮っているそうだ。

乗り物などに乗ったら隣り合わせの人と5分以内に話さないと、ズーッと話さないままになると聞いたことがある。その辺は分っていたので、いろいろ話しながら食べたり飲んだりしていた。アナウンスは英語、中国語、それに日本語である。中国語が快く響いてくる。ある程度は勉強したことが話されている。フンフンそうか、などと自分ひとりで納得していた。

機内サービスの親方は米国人女性で恐そうな顔をしていた。ほかは中国人。日本女性は一人だけであった。僅か2時間30分で着いてしまったのが勿体ないように思う快適な飛行を楽しんだ。


上海浦東空港に到着した。入国や税関の手続きは意外と簡単に済んでしまった。最初に中国語を話すのは入国審査の時と考えていたが、その機会も無かったのである。

あらかじめ機内で記入しておいた入国カードと共にパスポートを示すだけで、何も聞かれることなく通過してしまった。ただ、並んで待っている時に黄色い停止線からはみ出たら、女性係官から「下がるように」と注意された。もちろん私には「言葉」そのものは分らなかったが。要するに「ting bu dong」だったのである。情けないことに、この言葉は「ting de dong」と共に上海旅遊の期間中けっこう使うことが多かった。そんなことで、機内で同伴した彼女の手助けも必要としなかったのが、ちょっと惜しいような気もした。



浦東(プートン)空港

入国手続きが終われば、いよいよ上海だ。しかし機内に預けたバッグがなかなか出てこない。同伴の女性は早々と出てきた荷物を持ち、「さようなら」を告げて去っていった。私もやっと出てきたバッグを押して出口へと向かった。そこには、出迎えの中国人が山のように群がっていた。国際空港だから、家族や友人・知人が各国からたくさん帰国してくるのだろう。

それを横目に眺めながら、さあタクシーだ。タクシー乗り場は予想よりは空いており、乗客が次々と乗り込む。運転手にホテルの名を告げると猛烈な勢いで走り出した。高速道路をバンバン走る。面白いから運転手に話し掛けてみる。だが半分も分らない。



浦東(プートン)空港の出迎え風景

タクシーはかなり使いこなしたようで、ガタガタと揺れる。道路も滑らかでないとみえ、車が今にも壊れそうだ。運転手に話し掛けると直ぐに後ろを振り返るので、あまり話さないことにした。それでも結構何か言ってくる。運賃は予想どおりの165元(日本円で2500円程度)で無事にホテルに着いた。
(続く)

次のページへ