2月5日、佐賀県神埼市の住宅に陸上自衛隊目達原駐屯地のヘリコプターAH64-Dが墜落し、住宅の少女が怪我、操縦者2名が亡くなるという事故が起きた。事故原因の詳細は調査中のようだが、報道によれば上空で飛行姿勢が乱れその直後に真っ逆さまに墜落したようだ。 ヘリコプターには、飛行機のような緊急脱出装置が備えられていない。ヘリコプターの緊急事態では、「オートローテーション」と言われるローターを抗力によって回転させて得られる揚力によって着地させ激突を防ぐような仕組みがある。 今回の事故では、「オートローテーション」にはならなかったようだ。操縦者は、緊急時にも最後の最後まで住宅などの被害を避けるための操作を続けたのだろう。しかし、成すべくも無く住宅に激突してしまった。操縦者はどんなに無念千万であったことだろうと思うと心が張り裂けるような痛みを覚える。 運輸安全委員会の統計では、1974年から2017年までの間に、航空事故(飛行機・回転翼航空機・滑空機・飛行船による事故)は1,386件。「回転翼航空機」事故は433件となり全事故の約31%となる。また、「回転翼航空機」による重大インシデントは、2001年から2017年までに30件が報告されている。 報道では、機体の「メインローターヘッド」と呼ばれる主回転翼の4本の羽根(ブレード)と回転軸を繋ぐ部品に損傷があったということだ。機体の整備不良ということであれば、整備体制の徹底的な見直しが必要であろうし、整備のための資源を十分に投入してヘリコプターの運用に当たって欲しい。 ヘリコプターを運用する陸自目達原駐屯地だけでなく、全陸自部隊、海自も空自も含めた自衛隊組織、さらには、航空会社など全ての人たちが、惰性と慢心に陥ることなく運行事業にあたって欲しい。そのためには、改めて「ハインリッヒの法則」を心に刻み、二度と悲しい事故が起こらないようにしてもらいたい。 そして、なによりもヘリコプターが墜落した住宅にいた、少女の心のケアに細心の注意がはらわれなければならない。PTSD(心的外傷後ストレス障害)への懸念だ。強い精神的ストレスが、心のダメージとなって、ときには何年も経ってから症状が出てくることもある。そうした事態に対応するための体制がとられていることとは思うが、改めて、関係諸機関等の万全な対応をお願いしたい。 かまらさん
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