第48回衆議院選挙公約に思う



  選挙になると「激闘」とか「撃破」や「刺客」などといった、おどろおどろしい文字が目に飛び込んでくる。立候補者同士が「戦う」のではなく、主権者たる私たちが選択するというのが選挙であると思うが、違和感を覚えるのは私だけだろうか。

 さて、与党となる自由民主党・公明党の公約を見ると、喫緊の課題を解決していくべく多くの政策が挙げられている。全体を述べるのは難しいが、「子育てや就学の負担軽減」などに係る政策公約について見てみたい。
 自由民主党では、「20年度までに、3~5歳の子供、低所得世帯の0~2歳児の幼稚園や保育園などの費用を無償化」、「待機児童解消へ『子育て安心プラン』を前倒しする。20年度までに32万人の保育の受け皿を整備」、「生活保護世帯の子供の進学支援の強化など、生活困窮者の自立に向けた支援や、子供の貧困対策を強化」、「専修学校や大学の授業料の減免措置を拡充したり、給付型奨学金の支給額を大幅に増やして、低所得家庭の子供に限り高等教育の無償化を実現」ということが挙げられている。

 公明党では、「19年までに全ての幼児(0~5歳児)の幼児教育・保育の無償化」、「年収590万円未満世帯の就学支援金を拡充し、19年までに私立高校授業料の実質無償化を目指す」、「給付型奨学金と無利子就学金の適用拡大」となっている。
 どの施策も「そうなったらいいな」というものであるが、挙げられている施策の実効性や実現性などについて、懐疑的になり、その実現性に不安も覚えるところである。

  例えば、幼稚園や保育園は需要を賄うに充分な施設が確保できるのだろうか。昨今、「幼稚園や保育園の建設中止」という事態も間々ある。また、貧困の一つの原因ともなる教育機会の平等という視点から、進学支援はどのようになるのだろうか。「学校を受け皿に進学支援」とすれば、現在でも「教員の勤務時間は過労死レベル」といわれるような状況でさらに教職員に負担を負わせることができるのか。

  高等教育の無償化は望ましい施策であるものの、低所得家庭といわれる家庭の実情からは、就学・進学への意欲が薄れていくことが懸念される。低所得家庭を取り巻く総体的な施策の帰結として「高等教育の無償化」が必要なのではないかと思える。

 こうした施策については、事業執行財源を「消費税率の引き上げ」によって賄うことになるのだが、「消費税率の引き上げ」に関しては、経済の更なる失速を懸念する論もあるなか、財源の確保は充分にできるのだろうか。また、施策の具体的実施を担う地方自治体では、政府が実施しようとする、多くの施策を効果的・効率的に執行することが出来ていくのか。自治体間の施策格差のような事態が生じないような制度設計や執行体制などの仕組みはあるのか。

 などなどの課題や不安があるだろう。しかし、そうした課題の解消に向けては、やはり、私たちが主体的に政策を受け止め、正すべきは正していく中で、私たち自身が「共助」の社会・地域づくりを進めていくという方向性が必要になるのではと思える。
                                
かまらさん