18歳、19歳の選挙デビューで何かが変わる
7月10日に2016年夏の参院選挙が行われ、新たな国会の政治地図が定まります。
今回の選挙で特筆すべきことは、18歳以上に選挙権を認める改正公職選挙法が6月19日に施行され、
約240万人の18、19歳の10代の有権者が初めて、投票に加わる歴史的な国政選挙になることです。
選挙戦のスタートになる公示日は6月22日です。
●総務省の「18歳選挙(はじめての選挙)」キャンペーンは楽しめます。
 総務省のホームページには「18歳選挙(はじめての選挙)」というプロモーション・キャンペーンサイトがあります。
 ここでは18歳、19歳の新有権者のために、さまざまな角度からのガイダンスが分かりやすく、多彩に知ることが出来ます。プロモーションモデルは、女優の広瀬すずさんで、「はじめての日」と題して、成長の過程で遭遇した「はじめての日」の動画も見られます。
2016年参院選挙―6月22日に公示、7月10日に投開票
●18歳、19歳有権者、千葉県で11万人、鎌ケ谷市200人 
 千葉県選挙管理委員会によると、新たに有権者となる県内の18、19歳人口は約11万人になるとしています。
 また、鎌ケ谷市の選挙管理委員会は市内の18、19歳人口は2000人ほどだとしています。これら10代有権者が全有権者に占める割合は多くはありませんが、発信力のある彼らの選挙参加が新たな政治的波動の源になる可能性を秘めていることもありえます。何かが変わる??
●若年層の選挙離れ・投票率向上につながる??
 選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げることには、さまざまな意見もありました。
 18、19歳の有権者が投票に加わることによって、若年層の選挙離れに歯止めがかかり、投票率アップにつながる。政治的無関心払拭の刺激剤になるなど、期待や議論がなされました。
  これまで、国政選挙に限らず地方選挙においても、投票率の低下現象が続いています。とりわけ若い世代(20代)の投票率の低下が顕著であることが指摘されてきました。
 さらに、少子高齢化で有権者の占める「老・若」の比率が開き、15年後の2030年には、30代以下は全体の23・5%に低下する一方、60代以上は45・2%と半数近くを占めることになる、というデータもあります。若年層の選挙離れは民意の反映にも世代格差が生じかねないことにもなっています。
●高校生の有権者教育と教育の政治的中立
 一方、18歳から(高校生を含む)の投票に備えた「主権者教育」の重要性が問われてもきました。
 これまで「政治的中立」が建前の学校での政治教育はタブーとされてきました。そうした中での、現役高校生の選挙活動「有権者教育」と「中立性確保」とをどう両立させるかで、教育現場では大きな課題となっています。
 教育現場での有権者教育について、全国各地、高校での取り組みや課題がマスコミ等で報道されてきました。
●鎌ヶ谷高校では「未成年者模擬総選挙」に参加
 県立鎌ヶ谷高校では、学校教育で政治への関心を高める取り組みとして、以前から「主権者教育」に力を入れいます。
 全国規模で行われている「模擬選挙推進ネットワーク」の呼びかけによる「主権者教育」「シティズンシップ教育」の一環としての未成年“模擬” 衆議院議員総選挙 2014」にも積極参加し、政治や世の中に対する関心を高め、子ども自身が社会の一員、国民一人としての責任と自覚を感じるための「未成年模擬選挙」に複数回参加し体験しています。また、鎌高独自にも総選挙の際、実際の選挙ポスターや投票箱を借りて模擬投票を実施して有権者教育に取り組んでいます。
 市川市の広報に載っていた高校生たちの声には「まだ政治のことが全然わからないから、自分たちでリサーチしなければ‥‥」「投票自体は簡単だけど、誰を選んだら好いか‥‥」「若い人の投票が増えるのはいいと思うけど、18歳でちゃんと候補者を選べるのかって言われたら自信ない。ちゃんとしてない人が政治家になったらコワイ」と、選挙参加への積極姿勢と戸惑いを感じているようです。(一部抜粋と要約)

●10代「投票行く」66%(毎日新聞調べ)
 選挙権年齢の下限が18歳に下がることを受けて毎日新聞では、16歳から20代前半までの高校生と大学生約3000人を対象にアンケートを実施した結果が載っていました。18、19歳の意識を知るデータとして概略を紹介します(2016年5月18日朝刊)。参院選の投票に行くかについては、18歳では「必ず行く」23%、「たぶん行く」46%で、合わせて「投票に行く」が69%。19歳でも62%だった。20歳以上では「必ず行く」28%、「たぶん行く」43%で計71%だった。
 また、全年齢を通じて「投票に行く」と答えた人の半数は、「選挙で社会が変わる」と考えており、10代有権者を含む若い世代で1票の行使に一定の期待感が広がっているようだとアンケート結果を分析しています。(アンケートは4月、関東と関西の7高校9大学の協力を得て計2993人から回答を得た。社会人は対象に含まれていない)
●「行く」と答えた人の理由として――  「楽しそうだし、選挙に参加できる最初の若者だから」=女子高校生(18)▽「権利を行使しないのはもったいない」=男子大学生(18)▽「私自身政治に関して知らないことは多いけど、ニュースなどを見ていると、せっかく権利があるのに放棄してしまうのはもったいないと感じる。これを(政治に)関心を持つきっかけにしたい」=女子大学生(19)など。
 一方、選挙を通じて「社会や自分の生活が変わると思うか」については、全回答者の54%が「変わらないと思う」。「変わると思う」が44%。「何も変わらないかもしれないが、何か変わればいいと思う」=女子大学生(19)と答えています。
 アンケートの結果を――主権者が選挙を通じて「力」を発揮できるのか、18、19歳も含め、全体として懐疑的な見方が強い――とまとめています。

●18歳、19歳有権者への期待
 18歳選挙――私たちの将来は、私たちが決める総務省のプロモーション・キャンペーンのメインコピーです。
 少子高齢化社会が急速に進む日本の未来を担って行くのは、好む好まないに拘わらず若い世代です。これまでは、その若い世代が国政の方向を決める選挙に消極的でした(世代別投票率で最低)。「現在、未来の日本のあり方を決める政治」に主体的にかかわる権利を行使するのが選挙です。新たに加わる18歳、19歳の皆さん、これまで権利を放棄してきた20代の若者たち、あなた方の権利行使が日本の未来を自分たちのために変えていく機会となるでしょう。

                                今月のコラム担当 Y‐Takeuchi