今月のコラム 2015年7月

自転車の運転規則が厳しくなりました
 私たちの日常生活において、通勤、通学、お買い物、保育園の送り迎えなど、
自転車は気軽に乗れる便利な交通手段になっています。
その気軽に乗っている自転車も運転規則が厳しくなりました。
酒酔い運転や信号無視など14項目の危険(違反)行為が明示され、
危険走行と認定されると、2015年6月1日から違反切符の対象となり、
安全講習を義務づける改正道路交通法がスタートしました。
3年以内に2回以上摘発された14歳以上の運転者に、講習を受けることを義務付ける制度です。
自転車に限らず「外出時の危機管理」を心がけるようにしたいものです。
2015年6月1日から14歳以上対象「自転車の危険行為で講習が義務に」
一方、危険運転をさせない環境・インフラ整備も必要です
お買い物やイベント・催事の参加には自転車は手軽で便利な乗り物ですが、規則・ルールを守らないと処罰の対象になります。
 ●自転車走行における14項目の危険行為――「ながら運転はダメです」
信号無視通行禁止区間での運転歩行者専用道路における運転交差点右折時の優先通行車の進路妨害環状交差点の進路妨害や必要以上の速度による進入一時停止無視反対車線の運転歩行者を妨害する運転自転車が通行出来る区間内において歩行者を妨げるような速度での運転ブレーキ不良による自転車運転踏切遮断時の進入泥酔運転優先道路通行者の妨害安全運転義務違反(傘さし運転、携帯電話の操作しながらの運転、自転車運転中のイヤホン使用など)
 「スマートフォンを使いながらの運転」や「イヤホンで音楽を聴きながらの運転」「傘をさしながらの運転」など、いわゆる「ながら運転」は「安全に運転する義務の違反」に含まれます。
 講習は3時間、手数料も5700円掛かります。上記の項目に違反し、3年以内に2回以上、危険運転として摘発された場合は、3カ月以内に講習を受けなければなりません。受講命令に違反した場合、5万円以下の罰金が科されます。
自転車通行の原則は自動車車線の左側を走ることにになっています。歩道は歩行者の専用路とされています。
 ●自転車の道路交通法 法規をおさらいしましょう
 今回の改正を機会に、道路交通法で軽車両に分類されている自転車についての関連条文を知っておきましょう。
 原則は「歩道が設けられている道路」においては、「基本的に車道の左側を通行しなければならない」ということです。
 しかし、法で定められた条件を満たしている場合に限り、歩道を通行することもできます。概略を記しておきます・
◎歩道を通行できる条件としては――
 自転車は車両であるため、歩道が設けられた道路においては、基本的に車道を通らなければならない。
 ただし、次のいずれかに該当する場合には、歩道を通行することもできる。
 ・「自転車通行可」の道路標識または「普通自転車通行指定部分」の道路標示がある歩道を通るとき。
 ・運転者が13歳未満もしくは70歳以上、または身体に障害を負っている場合。
 ・安全のためやむを得ない場合。
 <安全のためやむを得ない場合の例として>次のようなケースが考えられる。
 ・路上駐車車両が多く、かつ右側に避けるのが困難な場合。
 ・自動車の交通量が著しく多く、かつ車道が狭い場合。
 ・煽り運転、幅寄せなどの危険運転や、理由もなくクラクションを鳴らすなど、自動車を用いた暴行行為を行う者がいる場合。
◎どうしても歩道を通りたい場合――
 ・自転車を押して歩けば、歩行者として歩道を通行することができるようになる。
 ・歩道を通行できる条件に該当しない場合や、警察官から車道を通行するよう指示を受けた場合でも、歩道を通行したいのであ れば、自転車から降りて、自転車を押して歩くことは可能だとしています。
 ●増えている自転車による歩行者事故
 これまで大丈夫だと思ってやっていた運転が危険行為として、取締りの対象になります。自転車は自動車に比べてルールを軽視しがちで、危なっかしい運転をする人もけっこう多く見かけますね。「えっつ違反切符ですか!」とならないように、この機会に自転車の危険行為についてしっかりと抑えておきましょう。
 コラム筆者の実感として最近、他車によって危険を感じる機会が多くなりました。
 ・正面から対向してきて、真近にきてもスピードを緩めない、よけるのは「お前だ」と言わんばかりに迫って来る。
 ・後方から「チリリン」の注意もなく、脇を猛スピードですり抜けていく。恐怖を感じる。
 ・樹木や塀、立て看板などで先が視認できない「死角」から、いきなりスピードも緩めず曲がってくる。
 ・スマホやケータイを見ながら、周りに注意を払わない迷惑走行車も多い。
 自転車による外出運転にはかなり用心深く、進行方向の状況に注意を払って、子どもを乗せたお母さんの対向車があるときは止まって、避けるようにしています。
 歩道車道の区別が不明確な道路では、後ろから近付く自動車の音に怖さを感じて一層、脇によります。自分では用心していも、道路上では今回の危険14項目にかなり遭遇していますね。
 ●被害者にならない、加害者にもならない「外出時の危機管理を」――被害者も加害者も高いリスクを負う
 今回の改正の背景には、歩行者を巻き込む自転車による事故の急増と、自転車を運転する側にも加害者として、高額な損害賠償の対象になるケースも増え、そのための予防措置も目的となっています。自転車は車道の左側を走らなければならない。歩道を走っていい年齢は「13歳未満か70歳以上」など、初歩的なルールさえ十分に守られていないのが現実です。
 その結果、歩道上での歩行者との衝突事故が増えています。死亡させたり、大けがをさせたりした場合、数千万円の高額賠償が命じられる司法判断も定着してきています。運転者が未成年でも例外ではありません。
 警察庁によると、2014年に自転車が絡んだ事故は10万9269件あり、交通事故全体の約2割を占めている。このうち自転車と歩行者、自転車同士、自転車単独の死亡事故は82件で、10年前と比べると6割増えているという。
 自転車事故例を見ると、死傷者は高齢者とともに若者が多く、19歳以下の未成年が3割近くを占め、自転車通学などの際に起きる事故では、子どもが被害者になるだけでなく、加害者となってしまうケースも多くなっています。
 加害者となった場合、莫大な損害賠償を求められるケースも増えています。例えば11歳の男子が自転車で60代の女性と衝突し、女性の意識が戻らない状態となった事故では、保護者に9500万円の損害賠償を命じる判決が言い渡されました。また、男子高校生が自転車どうしで衝突して、相手の男性に重大な障害が残った事故でも9200万円の損害賠償が言い渡されています。(毎日新聞、NHKニュースなど)
 ●歩道も車道も危険地帯の市内の道路  規則を守れる道路環境の整備を
 根本的には、自転車が安心して車道走行できる環境・道路インフラの整備が最優先されるべきことで、行政・警察が一体となって、ルールを守れる安全で事故の起きない街づくりをすることだと思います。
 鎌ケ谷市の道路事情を見たとき、自転車は車道の左を走りなさいと言い切れるでしょうか。市内の道路は2車線ギリギリで、対向車のすれ違い時には道路幅がなくなります。危なくて自転車は車道を走れない。現実は歩道が「自転車専用レーン」になっています。歩道の区別もない、ガードレールもない、歩道があっても狭くて、電柱があって、その上、歩道は段差の連続て波打ち状態になっています。
 民家の玄関先に、青ペンキを塗っただけの一人分の歩道が曲がりくねって続いているのが、市内の道路事情です。車がすれ違う際には、青ペンキの中に侵入してきます。恐怖です。雨が降ればさらに最悪です。水だまりの泥水を浴びせられます。
 6月の市議会においても、「危険な歩道の事態と対策及び歩道改善システムについて」津久井議員が問題提起をされました。また、これまでも市民から、幾つかの具体的な通学路の危険性について指摘され、改善策を求められています。
 道路の安全は警察の管轄などと言っていないで、市民の安全を図るのは行政の責務です。
市内の横断歩道は狭くて凹凸が烈しい。ガードレールはほとんどない。青ペンキで区別しただけの横断は通学路に多い。
  ●自治体、家庭、学校、職場、警察も一体で安全対策を
 自転車運転の危険行為防止には、自治体や学校、警察の取り組みも重要な課題になります。小中高校では、警察と連携しての交通安全教室が行われていますが、交通教育を受ける機会が少ないお年寄り向けに安全教室を開くことはもちろん、子どもの保護者世代、大学や企業が通学や通勤での自転車利用者など、大人向けの自転車講習もすべきです。 
 今回の改正では14歳以上が対象です。中学生が含まれます。通学の際にも、放課後の外出の際にも気軽に乗れて、楽しい乗り物です。しかし一度、事故が起きてしまえば、取り返しのつかない被害を受ける、あるいは相手に被害を与えてしまう。こうした事実を子どもに、きちんと教えることが大切になります。子どもを交通事故から守り、加害者にもならないためには、「家族の危機管理」として、法規制に関わらず、交通安全のルールをきちんと身につけさせることが一番の重要事です。
 
 ◎万が一に備える自転車保険に入っておくことも――

 安全運転を心がけることと同時に、万が一に備えて自転車保険に入っておくことが被害者救済の観点からも必要だし、とくに中高生の子どもを持つ親は、万が一の高額賠償の危険負担に遭遇した際の対策も大切ではないでしょうか。
 今回の新たな制度をきっかけに、身近な自転車の運転ルールについて自治体も学校関係者も、家族・親子も、安全について話しあったり、改めて学んだり、確認しあうことが必要ではないでしょうか。
 まず、細かいルールより歩行者を優先して無茶な運転はしないという大原則を理解させることが重要です。
 ●「優しくて安全な鎌ケ谷市の交通」条例を
 歩行者は、交通社会の中で一番弱い存在です。だから歩道を歩くことで守られています。その歩道が危険地帯になっています。
 自転車に乗っていたり、歩いていたりするとき、思わず「危ぶねじゃネーか、このヤロー」と叫ぶことが最近、コラム筆者には多くなりました。加齢のせいかと自戒するようにしていますが、とにかくもっと車も自転車もお互いを気遣った運転をするようにしたいものです。
 この度、市では「景観条例」を施行するとして、周知活動を始めていますが、市民のためには「鎌ケ谷市の交通は優しくて安全」条例施行を提案します。道路環境が変えられないならば、運転者の意識を変えることです。
 車は自転車と人に優しく運転し、自転車は歩行者に優しく、人は注意深く、道路利用者全員がルールとマナーを遵守し合って行動する。また、他市から訪れた車も、市内道路通過車両も、鎌ケ谷市に入ったら安全運転にギアチェンジをしたくなる「優しい運転・交通安全な街・鎌ケ谷」としたいものです。「揺れにくい街・鎌ケ谷」と並んで、当市の2大アピールにすることは如何でしょうか。                             今月のコラム担当 Y‐Takeuchi