住みよさランキング2013
   
                                                  ライター千遥


 
先日、「住みよさランキング」と「住みたい街ランキング」なるものを、ふと新聞紙上で見かけた。資料は東洋経済が毎年発表しているもので、今回の対象は、2013年6月17日現在の790都市(全国789市と東京区部全体)で、今回が20回目となる(2011年は、東日本大震災により非公表)。
 驚いたのは、わが鎌ケ谷市から間近な印西市が全国790市町村のトップであったことだ。そのランキングを眺めてみると、結構身近な市が見受けられる。まずは、そのランキングを示してみよう。ちょっと見て気づくのは、全国的に知名度のある大都市が殆ど見当たらないことだ。これを見た当市の方々は見たことも、聞いたこともない市町(村)の多さに唖然とするかも知れない。

  総合評価トップ50を見ると、わが千葉県からは印西市を筆頭に14位に成田市、38位に白井市がランクされている。お隣の白井市は前年は27位であった。少し下がったが依然として上位に位置している。わが鎌ケ谷市はトップ50には見当たらない。この調査による順位はどの程度なのか気になるところではある。
 





 
上記ランキング表は、主として5つの観点と14点の細かい指標により算出されている。細部については、本稿では省略する。

   
1.[安心度]

○病院・一般診療所病床数(人口当たり)/2011年10月:厚生労働省「医療施設調査」

○介護老人福祉施設・介護老人保健施設定員数(65歳以上人口当たり)/2011年10月:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」

○出生数(15〜49歳女性人口当たり)/2011年度:総務省「住民基本台帳人口要覧」

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2.[利便度]

○小売業年間商品販売額(人口当たり)/2007年:経済産業省「商業統計」

○大型小売店店舗面積(人口当たり)/2012年4月:東洋経済「全国大型小売店総覧」

   
3.[快適度]

○汚水処理人口普及率(未公表の場合は公共下水道普及率で代用)/2011年3月:各都道府県資料

○都市公園面積(人口当たり)/2011年3月:国土交通省調べ

○転入・転出人口比率/09〜11年度:総務省「住民基本台帳人口要覧」

○新設住宅着工戸数(世帯当たり)/2008〜10年度:国土交通省「建築着工統計」

   
4.[富裕度]

○財政力指数/2011年度:総務省「市町村別決算状況調」

○地方税収入額(人口当たり)/2011年度:総務省「市町村別決算状況調」

○課税対象所得額(納税者1人当たり)/2012年度:総務省「市町村税課税状況等の調」

   
5.[住居水準充実度]

○住宅延べ床面積(世帯当たり)/2008年10月:総務省「住宅・土地統計調査」

○持ち家世帯比率/2010年10月:総務省「国勢調査」



  関東トップ20に絞って見てみよう。ここでは、やっと流山、柏、習志野が顔を出す。近隣の白井、印西市と当鎌ケ谷市との差は一体何処にあるのだろうか。総合評価の細部に関しては不明だが当市から印西市までを車で走ってみれば一目瞭然である。市街地の道路一つとってみても他市との差は明白だ。

  江戸時代からの道路をそのままに基準として、狭い道路が東西南北を走る当市は近代化が全く遅れている。代々の役人が先を見る目が無かった、と思わざるを得ない。商業施設や住宅建設も役人に振り回されて、店舗を移動する有様である。
 旧態以前の狭くて歩道もないような道路と、最近になって車道と歩道も広い立派なものも出来てきたが、古い道路と継ぎはぎ状態でいつになったら一体となった道路になるのか、皆目検討もつかないのが現状とみる。
 市役所の屋上から眺めると、大型商業施設が軒を並べ、市街地もきわめて整っている景観だ。だが、一歩街中に入ると細い道路が入り乱れており、市内地図と番地を頼りに配布物を配るのは大変な苦労を要する。それは、あちこちの道路で行き止まりになっているためである。

 筆者は、本来行き止まりの道路は違法と認識していた。何故ならば火災どきなどに消防車がUターンできるのが原則だった筈なのだ。これが全く無視されて、あちこちでドン詰まりで戻ってくる羽目に陥る。こんなところにも、役人の無知と見識の無さを見て全くガックリする。

        


                   
 
 ユニオンどおり商店街の衰退も激しい。薬屋、文房具店、酒屋はとうの昔に姿を消し、好立地にあったガソリンスタンドはコンビニから歯科医院へと変わり、やっと落ち着いた。しかし、その後もラーメン店、クリーニング店がなくなり、居酒屋やカラオケ店も減りつつある。
 場違いなフランス料理店はいつまで持つかと思ったら、数か月しか持たず、あとを継いだ中華料理店も店じまいとなった。いつ見てもお客の少ない四代目となる「ほっかほっか亭」も、遂に店をたたみ目下不動産屋が後釜を探している。

          

     
      
          
       
  
           
 
      
                                消えた店の数々
              
 いつの世も栄枯盛衰はつきものだが、鎌ケ谷市内でも地域によって商店街や街の盛況感の格差は覆うべくもない。一市民としては同じ市税を支払っているにも関わらず、新鎌ヶ谷を中心とした地域のみが発展し、その他の旧市街地は町が寂れるばかりでは市制に納得がいかない。衰退する旧市街地の再開発は地域住民と民間、千葉県内の大学、行政が一緒に少子高齢化社会に適した、住民に暮らしやすい町の再開発を目指すべきではないかと思う。最近鎌ケ谷市内には空き家が増えて防火や建物の老朽化が進むため崩壊の危険性もあり、また交通の要所というところもあってか市内で空き巣・盗難が増えている。その他防火・防災面でも狭い行き止まり道路の解消をめざし消防車が通れる街づくりも必要だろう。

 中央公民館や東部学習センター視聴覚センターの中途半端な大きさ。少し大きなイベントをしようとすれば、お隣りの白井市の文化センターを借りねば、市民は催しも出来ない。このたびイトーヨーカドーの改築に伴い相応の文化センターが出来そうだが、やることが皆、独自の発想でないところがおかしい。もっと積極的に住み良い町づくりを進めることは出来ないのか。今回の住みよさランキングでお隣の白井市や近くの印西市となぜこんなに評価の差が出たのか都市計画の観点から分析してみる事が必要ではなかろうか。
 こんな有様では、白井市や印西市に追いつくのは夢のまた夢に終わることであろう。(C・W)