ライター千遥
我が国において車を運転するには、通常、自動車教習所などに通い運転実技と共に交通法規なども学ぶ。そのうえで、試験を受けて合格し、やっと運転免許証をもらえる仕組みとなっている。
この自動車運転に関しては厳しい法律が作られており、運転者はそれを忠実に守るよう義務づけられている。それによって、交通事故を未然に防ごうとするわけだ。その法規に違反すれば点数減や事故の程度によっては罰金に留まらず、免許証の剥奪や懲役刑にまで発展する。
酒を飲んで運転すれば、重い罰則に科せられるのは周知の事柄である。同乗者や酒を提供した者にも、きちんと罰則が適用されるようになってきた。車は見方によれば走る凶器である。正常な状態でも、十分な注意を払わねばならない。なのに、酒気帯び運転に対して過去は甘かった。
飲めば正しい運転が出来ないのは明白な事柄ゆえに、酒を飲んでの運転は殺人罪も適用されるようになってきたのが昨今の現状である。それでも飲んで運転する輩がいるのは真に残念だが、少しずつ減少しているのは良しとするしかないか。
一方、同じ車道を走る車の中に、歩道も走られる車がある。それは自転車である。自転車は道路交通法上、車両の一種で軽車両と呼ばれる。従って基本的には車と同様の交通ルールを守らねばならない。歩道と車道の区別のあるところでは、車道の左側を走るのが原則だ。
2年程前の法改正で、13歳までの児童と70歳以上の老人は歩道を走ることが出来るようになった。また、それ以外の人でも車道を走ることが困難な場合は、歩道を走ることが許されている。従来からの我が国の旧街道などでは、自転車が車道を走るなら、これは自殺行為でありとても走ることは出来ない。
問題は、自転車の走り方にある。自転車が歩道を走る場合は、歩道の車道側を徐行して走ることとされている。現状はどうであろうか。中高校生などが猛スピードで歩行者の脇を走り抜ける。或いは携帯電話のメールを見ながら走っている女子高生なども見かける。器用なものだが、危険な事この上もない。
日中はもとより、夕方の買い物時間などに自転車で出かけるのは勿論主婦層だが、結構なお年寄りが多い。遥か十数年前から大型スーパーの出店で、歩いて行ける近くの店は殆どが次々と閉店に追い込まれてしまった。八百屋も肉屋も魚屋さんも姿を消してしまった。クリーニング店や薬屋さんもない。
日常生活を維持するためには、自転車に乗り遠いスーパーまで行かねばならないのが現実である。よちよちと危なげな運転のお年寄りに、若い学生の自転車がぶつかれば大きな事故に繋がることは明白なのに、学生側にその意識は無さそうだ。
上記の表に示される如く、交通事故全体件数は減少傾向が顕著なのに、交通事故全体に占める自転車事故件数の割合は高い比率を保ったままだ。県警や交通安全協会などが多くのパンフレットなどで注意を呼び掛けているにも関わらず、日常的に自転車を利用している人々の中で、自転車の走り方を知っている人の割合が少なすぎる気がしてならない。
車は免許制であり、自動車学校で法律も学んでくるが、自転車は無免許で誰でも乗れる。組織的に交通ルールを教えているところがあるのだろうか。この辺がまともに行われている気がしなくて仕方がない。警察官が違法な自転車乗りを取り締まっている光景も見たことがない。こんなところに、法律はあるが実態は無法律状態であることが分かる。まずは、取り締まりの現場を見せて、多くの人々に違法運転を知らしめることも必要だろう。
自転車に乗っている人々の意識改革が必要だろう。そもそも何も知らずに、乗っているのが現実なのだから。横断歩道で自転車専用の横断標識がないところでは、自転車から降りて車を押して渡らなければならないのだが、そんなことを知っている人はいるのだろうか。おっちゃんの見るところでは、みな乗ったまま渡っていく。
歩道では車道側を自転車が走り、その反対側を人が歩く。これも疑問だ。知らない人が多いだろう。二人乗りは禁止だし、交差点での一時停止や信号機遵守。これなども知る人は皆無かも知れぬ。行政当局としては、この辺の周知徹底と、ある程度の取り締まりも必要とされるのではなかろうか。
無灯火の自転車も相変わらず多い。LEDの普及で、自転車に負荷もかけずに走れるのに、それもしない。日本人は礼儀正しく親切だ、とは外国人の噂だが、実態は甚だ異なる部分も存在する。情けない民族とも言えるように思う。
JA共済交通対策本部では自転車を安全に乗るために、守るべき5つを示している。
これを「
しゃちほこあんこ
!
」とPRしている。
1.自転車は車道側が原則、歩道は例外 ⇒
しゃ
車道が原則!
2.車道は左側を通行 ⇒
ち
ちゃんと左側を走る!
3.歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行 ⇒
ほこ
歩行者優先!
4.安全ルールを守る ⇒
あん
安全ルートを守る!
5.子どもはヘッドライトを着用 ⇒
こ
子どもはヘッドライト
下図は、東武鎌ケ谷駅から東への一般道路。歩道の標識である。おっちゃんが指摘してから10か月かかってやっと少しはましなものと替わったが、上記に記載したことと甚だ矛盾を感じさせる標識である。
(写真は、改善される前の標識である)
左側の写真は車道と歩道の全体図であり、右側は車道寄りの標識を拡大したものである。
「何かがおかしい」とは感じませんか。詳細は次の機会に具体的に説明したい。(C・W)