もう二つのオリンピック



                                                       ライター千遥

「夏来たりなば秋遠からじ」であろうか。少なくともここ2年は猛暑、猛暑が続いた。今年はどうかと思ったら、過去最大級の酷暑の訪れとなった。
 テレビや新聞は、暑さによる熱中症の危険を毎日のように報道し、死者も高齢者を中心に各地で続出した。これほどの暑さとその長さは、これまで経験したこともなく、全国民が燃え盛るような暑さに狂いもだえたに違いない。

 恒例にしている早朝のウオーキングも、ペットボトルは切り離せない。セッセセッセと歩いて帰れば、汗びっしょり。 しかし、あれだけ騒がれた熱中症にもかからず、この夏を乗り切れたのは真に幸いであった。肥りきってしまった身体を元のスリム? な体型に戻すには、中途半端な運動と食事制限では役に立たないのだ。
 序盤は頑張ってスタートしたが、流石に8月後半はさぼり気味となったが、身体に忠実に運動し休んだのは、かえって良かったのかも知れない。年齢相応に活動するのが一番! を痛感した。

 日本のそんな過酷な気候とは裏腹に、ロンドンオリンピックは去る7月27日に開幕した。
また高校野球選手権も8月8日に開幕し、23日に終了。勝っても負けても「泪、泪」の選手たちであるが、この猛暑の中がんばった選手たちには心から拍手を送りたい。

 言うまでもなく、春夏連覇の大阪桐蔭学院は見事なものであった。一方、3季連続決勝に残りながら深紅の優勝旗を手に出来なかった青森の光星学院の無念さ。「三度目の正直」と行かなかった悔しさは計り知れないものがあるだろう。しかし、最後に頂点に立つのは1校のみだ。全国約4,000校の2番目だ。これまでの3季連続決勝進出を大いに誉めたたえたい。一つの競技に4,000チームの参加だ。考え方によってはオリンピックを超える:激戦である。
           

 一方で高野連には苦言を提言したい。数年前にも問題視された「野球留学」である。選手層の厚い大阪などの中学から地方の名門私立高校への入学である。地元大阪にいては甲子園への出場は叶わぬと見て、地方高校に転入する。
 純粋無垢の高校野球と言われるが、勝つことのみか、或いは出場することに選手生命をかける所謂「野球留学」は、高野連としてストップをかけるのが役目だと思う。高校野球の一ファンとして、これは強くは申し上げたい。

 実態はどうか。
 今夏準優勝の青森・光星学院のベンチ入りメンバー18名のうち、青森県内出身者はわずか3名であり、大阪府出身者など関西勢が15名に上り、レギュラーは全て関西出身者だ。ちなみに、監督も関西の方だから、光星高校野球部内では関西弁がはびこっている、と言われる。ベスト4に勝ち残った明徳義塾はどうか。ここも18名中高知県内出身者は3名のみ。東海大甲府も山梨県出身者は5名のみ、福井工大福井もめちゃ滅茶に大阪出身者が多い。青森山田も県内は3名のみだ。

 わが故郷の作新学院は、全員県内出身だから良しとするか。県立の母校を応援する者としては、春の県大会で優勝したわが母校が夏の予選、決勝で作新に惜敗したのが無念残念(^O^)。だが作新の野球部員による痴漢行為が発覚した時点で、高野連は勝ち進んでいた作新でも、出場辞退を勧告すべきだった。これも高校野球の純粋さを愛する人間としては「高野連は甘すぎる」としか言いようがない。作新自体は決定していた国体への出場を辞退している。

 いずれにしても、地元の中学を出ていない他県からの「野球留学者」で固めたチームを応援するのは複雑な気持ちだろう。すっきりした体制にして、「負けても良い」から幼いころからの馴染みの生徒たちで闘ってほしいと願っているのではなかろうか。

           

 ロンドンオリンピックについては、紙面の都合上簡潔に述べたい。これに関しては、「日頃の鍛錬は、実戦でも必ず成果を発揮する」と言うことに尽きる。監督以下甘い日本チームの男子柔道は完敗した。こんなこと初めてだ。可愛い顔をしていても、戦いに挑むときの女子選手のすさまじい形相を見習ってほしいものだ。試合が終われば、普通の女の子に戻る。そのコメントも「自らを誉める」なんていうことはない。チームの皆さんのおかげ。応援してくれた日本の皆さんのおかげ、としとやかでしおらしい。

 しかしオリンピック優勝を目指して鍛錬する女子選手などの映像を後日、テレビ映像で見るとその練習の激しさと迫力に圧倒される。勝利の瞬間に思わず出てしまうガッツポーズなどは、ここまできた練習の過程などか知らず知らずに出てしまうのだろう。
 全体的にみれば世代交代の波が寄せてきている。「勝者いつまでも勝者にあらず」。無敵を誇ったガッツ北島選手も若手に負けた。いつの世も、若者の台頭なくして繁栄はしない。
 液晶で世界を風靡したシャープも、いまや危うい企業だ。他の企業も心して後世に知恵と技術を残してほしいものだ。
             
   
       
ロンドンパラリンピックも終盤に...

 パラリンピック日本選手団92人(うちコーチ、役員は45人)は、8月22日午後4時過ぎ(日本時間23日午前零時過ぎ)ロンドン入りし、29日から開幕したパラリンピックに出場した。競技は9月9日までの12日間。日本代表は計135人で17競技に出場した。

 パラリンピックは健常者のオリンピック競技に比べてマイナーに見られがちだが、身体に様々な障害を抱える選手たちの競技に挑む姿勢は健常者に負けるものではない。生まれたときから、或いは成長段階で不幸にして障害を持つこととなったがゆえに、競技に対する意気込みは強いのだろう。かりに勝てぬとしても、持てる力を精いっぱい発揮する姿には思わず感動の涙も出てくる。
 そんな元気を我々も持ちたいものだ。

 

                 
上記夏季競技およびPDFによる詳細はNHKオンラインより

 
競技の説明(PDF)は、下記のアドレスから見ることが出来ます。
    
http://www.jsad.or.jp/pdf/paralympic/paralympic%20info/sum%20para%20events%20doc.pdf
      
            
 あまりテレビを見ないおっさんがダイジェスト版で見て、感激したものに柔道の正木健人(26)=徳島盲学校=視覚障害が男子100キロ級が決勝で中国選手に一本勝ちして金メダルを獲得したものがある。また、生まれつき両腕がなく、幼い頃から水泳に打ち込んできた中村選手の決勝の様子は、午前4時過ぎ、インターネットで生中継された。
 中村選手は後半、2人を抜き、2位でゴール。その瞬間、歓声が一斉に上がり、仲間が手にした日の丸の旗が、激しく揺れた。

       

        正木健人選手              100メートル背泳で金メダルの秋山里奈選手=全盲
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 パラリンピックでも、マイナーなスポーツにウィルチェアラグビー(車いすラグビー)がある。9月5日、この車いすラグビーが始まり、日本は予選リーグ初戦でフランスと対戦し、65―56で勝利した。この競技は車いすが激しくぶつかり合うため、車いすの破損が多く割に合わないスポーツではある。
 この車いすラグビーの常連に鎌ケ谷市在住の荻野
晃一さんがいる。

先月16日、森田健作知事に「メダル獲得を目指して全力を尽くしたい」と抱負を語った。

ウィルチェアラグビーは車いすを使ったラグビーで1チーム4人。アテネ、北京大会に続き3回目の出場となる荻野さんは「今度こそメダルを取りたい。必ず笑顔で帰ってきます」と力強く決意表明した。昨年、イタリアで開かれた世界選手権は7位入賞だっただけに、パラリンピックは「ぜひ4強に残って、メダルを懸けた戦いをしたい」と目標を掲げた。(C.・W)