脳を若返らさせる生活習慣術



                                               2012年3月のコラム
 あと数日で3月を迎えるというのに、寒さは一向に衰えない。冬だから寒いのは仕方ないが、筆者
も今年の夏には人並みに年も重ねて、遂に「後期高齢者」の仲間入りをすることなっている。そんなこともあるのか、毎日「寒い、寒い」とほざいていたら、春3月も近くなってきた。でも、未だダメだ。最高気温が10度に届かず最低気温は零度に近い。

 これでは、油断をしていたらいっぺんに風邪を引いてしまう。インフルエンザの注射も一回しかしなかった。幸い、鼻風邪程度で今年の冬は乗り切れそうだが、これも外出どきには常時マスクを着用していたのが役立ったかのかも知れない。雨が明けた26日、亀戸天神に撮影会で行ってきた。およそ14、5年前に東京十社巡りで訪ねて以来になる。恒例の梅祭りはとうの昔に始っているのに、肝心の梅は紅梅か白梅か分かる程度、寂しい光景だった。この寒さで約1か月遅れの開花予想だから、多くは蕾のままだった。

 働き盛りの方々の大部分が東京など市外への通勤者である当市では、日中に街中で見かける人々は高齢者の男性か、おばちゃんたちだ。おばちゃんも殆どがマスク着用だから、すれ違っても当方は気付かない。先方はマスクをしていても、マンネリの衣服姿や独特の体格(胴長短足)から当方を特定できる。そんなことで、ご挨拶は先方からになってしまう。こちらは、深々とお返しのお辞儀することが多い。
 おばちゃんたちは概して元気一杯である。それは何故だろうか。それは後段で触れるが、毎日することがあり、毎日出かけることがある。と、いうことになるだろう。

 それにしても、65歳を超えたと思われる定年前後の男性を見かけることが少ないのは何故だろう。勤務形態が延長され、未だまだ元気に働いておられるならば真に結構である。が、その実態は定かではない。しかし、どうもそうとばかりは言えない話も聞く。

 川柳の「亭主元気で留守が良い」とは、妻のわがままと言えないこともあるが、職場でのストレスに耐えてこれまでの生活を支えてくれた大事な旦那様であっても、毎日、家でゴロゴロでは今度は奥様に強烈なストレスを与えてもおかしくない。旦那様は、奥様の気持ちに気付いていないように思える。
 どんなときでも、仲むつまじく過ごしてこられ、「これからは毎日、24時間も一緒でとても嬉しい」と感激される奥様はどれほどおられるのだろうか。
 
 先日よく顔を合わせる団地のおばちんから「愚痴めいた」お話をたくさん聞かされた。それは、旦那様が定年後はまるで家を出ない、ということだった。奥様はこれまでの日常の仕事があるから、結構忙しい。旦那様にいちいち何かを言うのは気がひける。従って何も言わないことになる。こうして奥様にも放置される旦那様は、これから長い定年後の生活をどう過ごすのか。大いに心配である。

 また、わが団地には「おしゃべり会」というサークルがある。ここに先日入会してきたおばちゃんは、「アルコール中毒の主人を抱えて、毎日ストレスに晒されている」と仰る。とにかく一日中酒を飲んでいる。奥様が酒に水を加えておいても分からない。酒の在庫がなくなると、瓶に入った水物は何でも飲んでしまう。その結果、台所はもちろん家の中が目茶苦茶になってしまう。何処かで、この気持ちを発散させないと夫婦共倒れになってしまう。という訳である。

 奥様は、家の恥 ?を全部話すことで気が和らぐ。人は自分の悩みを他人に話すことで、近隣の人々との和も図られ、交流もすすむ。ある日のこと、この奥様夫婦と筆者が同じ病院で出会い、先方の車に同乗させてもらった。奥様は旦那様を助手席に乗せ、筆者は後部座席に乗る。帰宅途中にいつものように旦那様のアル中の話を聞かされたが、隣りに座る彼は何の反応も見せない。我々が話している内容も理解出来ないことが分かった。交差点などでは「赤だ」「黄色だ」などと指図するが、その表情に覇気はなく、完全にボケ症状を示していた。

  話は本題に移る。
 あるとき、メールで囲碁を打つ仲間・通称「伯爵」が10人の連碁仲間に対して、ボケ防止には面白い逸話があるよ、と呼びかけた。

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 ところで近年、禁酒禁煙・ダイエットなど健康に対する関心の高まりと共に、「ボケ予防」が話題を集めています。そんな背景のもと、パズル・クイズの「頭の体操」シリーズでお馴染みの多湖輝氏が昨年末に出版した「100歳になっても脳を元気に動かす習慣術」の冒頭にこんな面白い話が出ています。
 もし、読まれたのであれば、思い返していただき、読んでいなければ、是非次の引用文をお読みになってみてください。なお、原文のままでなく若干要約しました。

 最近はお年寄りたちの頭の老化防止が国民的大問題になり、どうしたらボケないで、元気な老後を過せるだろうか、という関心が高まっています。
 講演会などでも必ず出るのが、「先生、ボケないためには何が必要ですか」と言う質問です。
 そんな時私(多湖氏)は、こんなエピソードを話すことにしています。

 ある集まりで、間もなく百歳を迎えると言う矍鑠として、特に頭の柔軟さには、私達がとても敵わない大先輩に、(多湖氏が)その秘訣を尋ねました。
 するとその大先輩は、
 「やはりボケないためには、教養と教育がなくっちゃいけない」と言います。

  しかし、私(多湖輝氏)は正直言って意外だったので、こう反論しました。
 「でも大先輩、お言葉を返すようですが、結構良い大学を出て、本もたくさん読み、教養も教育も十分あるはずの人が、ボケちゃったという話をよく聞きますよ」。

 するとその大先輩はこう言ったのです。

「ダメだなあ、キミたちは。そんなことだから早くボケるんだよ。あのね、キョウヨウって言うのはね、教養ではなくて、今日、用があること。キョウイクとは教育ではなく、今日、行くところがあるってことなんだよ。キミらもね、今日用がない(やることがない)、今日行くところがない、となったらもうボケるしかないんだよ」。
 これには、居並ぶそうそうたるメンバーも、完全に一本取られ、その場は大爆笑の渦につつまれました。

 確かに、これほどボケないための頭の使い方を、巧みに表現した言葉は滅多にないでしょう。
 しかし、私(多湖輝氏)はその言葉の意味合いもさることながら、大先輩のこの「人を食った表現の仕方、笑いの渦に人を巻き込むその頭の使い方」こそが、若々しい頭脳の秘密ではないかと思ったのです。

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 なかなか面白い話ですので、ご参考までに書いてみました。筆者は、早速図書館に在庫の在る無しを確認したところ、当市の図書館には無かった。他市から取り寄せてもよいが時間がかかる。そんなことで、すばる書店に聞いたら、たまたま目的の書物はあった。

 3月コラムのポイントは、「教養と教育」です。世はまさに高齢化時代。100歳を超える方も珍しくなくなった。しかし、意識朦朧・寝たきりでは全く意味を成さない。そうならないための一つの知恵として、元気で白寿を迎えるために、「100歳になっても脳を元気に動かす習慣術」の購読をお薦めいたします。
 お座敷小唄メロディの「ボケない小唄」「ボケる小唄」なども元気に歌いましょう。  (C・W)