毎年、新年を迎えた1月は時間が過ぎるのが長く感じられる。今年は日本に厳冬をもたらすラニーニャ現象が影響し、いつもの年より一層寒く感じられる。裏日本でも豪雪で高齢
者にとっては屋根の雪かきが重労働だ。2月に入れば、各地で寒椿が咲き、早いところでは梅の開花が伝えられそうだ。
毎年の事ながら、この寒い中多くの中高生徒が高等学校や大学の入学試験時期を迎える。新聞の報道によれば各地 の大学入試センターで試験問題配布の遅れや英語のヒアリングテスト用器材の不足などミスが相次ぎ、このため多
くの受験生がその影響を受けたと報じられた。受験生にとってはこの時期は自身の体調管理に加え、天候などによ って受験場への到着遅れなどを心配しなければならない。その上統一試験会場での受験生へのテスト用紙配布のミスや器機の不足など不手際は、試験会場側で大いに反省し、二度と起こらない対策が必要である。
こうした中で、東京大学で入学試験の時期を秋(9月)に変更する事が大学側で方針が決まったようだ。これは大 学側としても学生がグローバル化する中で、いつまでも日本の4月入学を続けていては海外から優秀な学生を集め
られないとの危機感から、大正以来続いてきた大学への春の入学時期を変えると言うことだ。それによって今度は 卒業時期が8月となって、企業の入社時期ととのずれをどう調整するかの問題もあるが、概ね東京大学の入学時期
変更に追従するほかの国立大学や私立大学も既に10校以上賛成をしており、企業側も理解を示しつつあるようだ 。
我々の様に、戦後期や高度経済成長時代を過ごしてきた世代と違って、少子高齢化が急速に進む我が国で若者達は 、これから世界市場を相手に仕事が出来る能力や意欲を持った人材が企業から求められる。当事者にとっては大変
な時期に生まれてきたと思うかもしれないが、しかし見方を変えればこのグローバル競争社会を自分の活躍の場が世界に広 がるチャンスと捕らえる事もできる。
当然子どもの両親も幼い頃から、以前は習い事を受けさせた様に、このグローバル競争の社会で生き残る為に、子 どもに対して教育に力を注ぎ進学先と共に、将来子どもが就職をする頃には語学やその他専門分野のスキルを習得
するように心がけ指導するだろう。
一方、心配な面もある。それは両親の経済的な裕福度によって、子供が高等教育を受けられる機会に差が生じるこ とである。大学など高等教育を受けるには両親の経済的な負担が大きい。家庭が経済的に豊でなければ子供に充分
な教育の機会を与える事ができない恐れもある。
少子高齢化の進む我が国にとって、将来日本国を背負う若者が能力があっても高等教育を受けられなければ、我が国に とっても大きな損失である。昔は優秀な学生には飛び級や学資支援制度があった。しかし、最近では生活に困窮し
た家庭の子弟が進学するための学資支援制度も充分では無い。
確かに、あのリーマンショック以降国内成長は滞り、更に昨年の東日本大震災被害により国内の雇用が減って企業の正規社員と非正規 社員との給与格差に加え、完全失業率も4.5%台と高止まり(欧米の8〜9%台に比べればまだ少ない方だが)
しており、この数ヶ月は全国的にも生活保護手当受給者の数が急増している。
政府は、少子高齢化する中で育児、教育、年金、社会保障など大きな課題を抱えているが、憲法第25条で定める 「国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」を守るためにも最低限度のセーフティーネット整
備は何よりも優先して実現して欲しい。国は社会保障に係る歳出の無駄を省き、効率化を図ると共に、重要なのは如何に国の歳入増加を図るかにある。国内産業を活性化し、雇用の増大を図るには今までの様な国の縦割り行政による硬直的な各種規制を大幅に緩和して、海外からの日本市場への進出促進と、高齢化による労働人口減少に対して、或る条件の元に外国人の移住も緩和して、有能な外国人人材が活躍できる場を整備する事によって、国内市場を刺激活性化させる国の産業政策も必要である。また前述の通り、日本の若者も積極的に海外の市場に打って出て、海外での勤務経験を通じて国際感覚を磨き、その個人的な能力を高めれば、国内や外国企業への転職も自由度が増して、収入を増やすことも可能であろう。
日本の若者も、若い内には海外市場で働き経験を積んで、国内で起業家を目指す事も可能であり、また老後は日本に戻って年金生活を送る中で、地域のボランティア活動で社会貢献するのも一つの生き方となろう。
今や、外国でも日本の文化やお宅文化が”COOL JAPAN”として、多くの外国人に受け入れられている。これは、日本の観光産業にも大いに寄与することでもあろうが、より付加価値の高い産業を日本国内に創出するには、従来の日本人だけによる商品開発や製造業を担う以外に、積極的に外国人を受け入れて彼らの持つ感性や能力を取り入れて、グローバル市場に適応できる日本の産業を再構築していく必要があるのではなかろうか。最近の例では、お隣り韓国が日本の一歩先を行き、商品の品質も日本製と同等、むしろその市場のニーズを掴んだ商品投入により、商品価格、品質面でも日本を追い越して市場のシェアーも日本を上回っているいる分野も出てきている。お隣り韓国企業の世界市場戦略を再評価して、相手を上回る戦略のもと拡大する世界市場で日本企業が稼ぐ体制づくりが求められる。
また、日本の将来を考えると、今我が国の借金はGDP比200%、国債依存度は49%(今年は1000兆円を 越える)の膨大な負債問題を放置できない。日本が今こそこの問題に大胆な手を打たなければ、欧米の金融危機と
国際のデフォルトの経済的な深刻さ以上に、日本は経済的な大打撃を受けるだろう。
民主党は政権与党として、今 まで避けてきたこの問題解決のため野田内閣は、国民に痛みを共に分かち合って欲しいと求めている。消費税2015年10%への段階的引き上げと社会保障の一体改革、行政改革を共に進めようとしているが、党内の意見の不一致に
加えて野党側自民党や公明党の消費税と社会保障に関す事前協議には応じられないと強く突っぱねている。
しかし 消費税引き上げについては元政権を担っていた自民党や公明党もその必要性や消費税増額の10%も何ら変わって いないのに、ここで政局がらみで反対するのは国民に到底納得されないのではないか。自民党若手や地方議員の中からも
この様な反対のための反対は自民党執行部に対して強い批判が出ているようだ。
今年は、野田首相にとっても政治生命をかけた重要な政策決定をこの通常国会で法案提出を図り、何としても国会で通過さ せなければならない。与野党も無益な政争を繰り広げるのではなく、我が国の将来を見据えた重要法案の国会決議
を実現して欲しい。
コラム担当:S.K
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