平成27年4月20日(月)午後にNPO法人千葉県精神保健福祉ネット鎌ケ谷工房の高橋貴子所長にお会いして、日ごろの鎌ケ谷市内におけるNPO活動の内容についてお話を伺った。 この鎌ケ谷工房は新京成線初富駅に近く、丁度鉄道を挟んで鎌ケ谷市役所の反対側に当たり、二階建ての木造民家を現在施設として利用されている。
NPO法人 千葉精神保健福祉ネット鎌ケ谷工房は就労継続支援B型と言われる施設で、高橋所長さんのお話によれば、通所により就労や生産活動の機会を提供すると共に一般就労に必要な知識能力が高まった者は一般就労に向けて移行を支援する。こちらでは内職作業や農作業を提供して、最低賃金は保障しないが雇用契約を結んでいない事業所ではあるが工賃をお支払している。 私たちMネットは心の病に悩んでいる方々が地域で安心して暮らせるよう必要なサービスを共に考え開発し提供していくことを目的として平成14年11月に立ち上げている。現在は松戸市、鎌ケ谷市、市川市の3市で活動をしている。通所施設、自立生活体験の事業としてグループホームの運営、居宅介護事業としてヘルパーさんの派遣、あと相談事業を行っている。 この鎌ケ谷工房では、就労継続支援B型事業の鎌ケ谷工房と同じ場所でサポートネット鎌ケ谷が市から委託を受けた相談事業と指定特定相談(計画相談)を行っている。また、この近くに鎌ケ谷工房ぽぽは地域活動支援センターV型で今まで家にいた人々が少しでも外に出てきて人と一緒に過ごしたり、その方の目標に合った生活が出来るようにお手伝いをしている。イベントを楽しんだり、利用者さん同士おしゃべりしたり、自主製品を作ったり、野菜の販売をしたりして過ごしている。
精神保健福祉関係の事業を行う、Mネット鎌ケ谷支部の職員数は事業所別に、鎌ケ谷工房=3名、サポートネット鎌ケ谷=3名(所長を含む)、鎌ケ谷工房ぽぽ=3名 となっている。 このMネット鎌ケ谷支部(鎌ケ谷工房)を利用される方は、鎌ケ谷工房の登録者数=25名 鎌ケ谷工房ぽぽの登録者数=25名 サポートネット鎌ケ谷=相談を受けた件数が3,634件/昨年度 計画相談=40名/昨年 であった。 鎌ケ谷工房、鎌ケ谷工房ぽぽの利用者は、すべて通所の方でご家族と一緒に暮らしている方、一人暮らしの方など地域で生活されている方を対象としている。 職員の担当する職務は、鎌ケ谷工房では生産活動を行って毎月工賃を支払えるようにすることと一人一人の目標に合わせた生活や就労の支援、鎌ケ谷工房ぽぽでは憩の場やイベントの提供、手芸品や封筒などの自主製品の製作、鎌ケ谷工房で作った野菜や自主製品の販売等を行うなど人と関わることへの支援が主になっている。サポートネット鎌ケ谷では、精神障害の方の生活の中での困りごとの相談を受けたり、福祉サービスを利用するための計画相談(介護保険でいうところのケアマネージャー)を行っている。 市の委託を受けて、毎月「精神障害相談」日を設けて相談に応じておられますが、市民の利用平均は月に何件(年間何件)ぐらいですか? サポートネット鎌ケ谷の延べ相談数は年間3,634件/昨年度であるが、市役所内では月1回開催、この場所で鎌ケ谷工房とは別にサポートネット鎌ケ谷として電話を引いて対応している。相談受け付けは@電話相談=1,122件 A訪問相談=245件 B来所相談=174件 が昨年実績である。関係機関との連携も多い。 精神障害の方にとって鎌ケ谷市内には使えるサービスがとても少ない。事業所の数、事業所形態が限られている為に希望に沿ったサービスを利用できないこともある。昨年から鎌ケ谷市が通所の為の交通費を補助してくれるようになったので、これは有難い。他市の施設へも少しは通いやすくなった。 精神障害者に対する県や・国に対してどのようなことを望まれますか? 精神障害者の方を一般企業へ就労させるための就労支援を行っているが、精神障害の方は1週間で20時間以上30時間未満であれば、受け入れ側の企業では0.5人雇用実績としてカウントできる。ただ、実情は1週間20時間以上というのは厳しい方がとても多いので、20時間以下で働きたい方は、反対に障害者枠でお仕事を探せない厳しさがある。そのため、精神障碍者の方たちは、一般のアルバイト、パートに応募されるケースが多いのが現状である。短時間でも障害者が働けるようになれば働きやすくなるのかと思う。 鎌ヶ谷工房の目指す姿について 本当は、障害者を対象とした施設が無くてもいい世の中になるのが一番だと思う。障害の人だけが集まって過ごさなくてはならない場所が無くてもいいのが理想だ。現在通ってきてくださる方たちがいるので、その方たちの希望、目標に向かうお手伝いができればいいなと思っています。 鎌ケ谷市内の精神・知的障害の福祉施設はいくつあるのだろうか? 昨年市が発行した「鎌ヶ谷市障がい福祉マップ」によれば 就労系サービス=7か所、通所系サービス=7ヶ所、入所系サービス=7ヶ所、児童系サービス=5ヶ所 が現在鎌ケ谷市内の受け入れ施設である。 たまたま、この鎌ケ谷工房の高橋所長さんに取材をする中で、この施設に通っておられる精神障害を持つ方の、パソコン学習講座の場に見学を兼ねて立ち会うこととなったが、その時に感じたことを、最後に少し紹介をしておきたい。 施設運営についての高橋所長さんの説明 この施設に通われている障害者の方が出来る作業は主に次のようなものです。@農作業・受注作業 Aパソコン講座の学習などで、その他に、レクレーション・ミーティング、調理実習、スポーツ、季節の行事などに参加することが出来ます。 通常1日の活動として、障害者の方は通所されていて、午前9時30分から始まり午後3時30分には終了して、帰宅します。 取材中に筆者が感じた事 たまたま、取材当日には毎週月曜日の午後1時20分から始まるパソコン講座を受講される方の学習場面に立ち会うことが出来ました。通常は4名ほどの方が学習されているようですが、当日は女性2名の方が各自、自分が学習したい科目(WORDやEXCEL)を施設にあるパソコンと教材を使って、黙々と入力されていました。そして、操作の途中で何かわからないところがあれば、質問をされてそれに対して講師やアシスタントの方が教えるという形で1時間ほど講座が実施されます。 パソコンを教えるといっても一般の方とは違って、障害者の方への対応は、こうした経験のない素人にはどう対応していけば良いのかわかりませんが、質問の応対にしても一見すると普通の人と何ら違うところが見当たらず、一体どこが悪いのだろうかと思えるほどです。その後、高橋所長さんにこの事をお伺いすると、利用者一人一人がさまざまな生活のしずらさを抱えてる。この生活のしずらさが障害と言われるものだが、この点に配慮しながらパソコン講座やその他の活動を行っている、との事でした。 レポート:S.K
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