コミュニティビジネス講座(白井市)に参加して


 以前より当NPO法人でも行政と連携して何か彼ら団塊の世代に対して、地元で起業化したいと考えている人達に「起業支援」の情報を提供できないものかと検討していたが、お隣の白井市で地元NPO法人と行政が協力して開催している「コミュニティビジネス起業入門講座」が開催していると聞き、平成22年1月30日(土)白井市の保健福祉センターで開催されたこの講座に参加をした。

白井市の保健福祉センター 講師の星野氏 子育て検討グループ

 簡単にこの講座の内容を説明すると、白井市(市民活動推進センター)とNPO法人コラボしろい(白石の社会起業化グループがNPO法人を設立)が協力して開催したもの。この講座は全5回で12〜1月の間に開催された。講師は”しろいCB研究会”(コミュニティビジネス中間支援組織)他の星野隆史氏(コミュニィティビジネス認定アドバイザー)である。

 ・第1日目は「コミュニティビジネス」の全般説明と「いんざい産学連携センター」のインキュベーション・マネージャー小松原氏により印西市と東京電気大学との取り組みの説明がなされた。 
 ・第2日目は実際に「コミュニティビジネス」を既に行っている起業家の方の事例紹介 
 ・第3日目は「コミュニティビジネス起業入門カリキュラム」として、@事例紹介=NPO法人まえはら子育てネットワークの理事長(小手川京子さん)による事業紹介と起業化についての問題と解決策 Aグループ協議・演習で地域の(分野別)資源や課題事項を5テーブル(4〜5人程度/テーブル毎)に分かれて自由に討議し項目を抽出する。 
 ・第4日目は前回の課題討議の内容をまとめる。
 ・第5日目は起業化手法を参考に作成した、事業企画書をA0版の模造紙にチャートで描き発表する。その後(実際に起業化を目指す)個人による提案書の発表がある。こ個人の発表については、参加者からの総合的な質疑や、意見交換なども行われた。

 今回、筆者が参加したのは第3回目の「入門カリキュラム」に沿った講座と第5回目のテーマ別発表会である。

発表会の説明をする星野氏 高齢者グループの発表者 子育てグループの発表者
食グループの発表者 農業グループの発表者 NPO法人コラボしろい 細川理事長
コミュニティビジネスの説明
コミュニティビジネスの説明 発表を聞く参加者 発表会の様子

 第3回目では、初めてコミュニティビジネスについて各分野ごと(5分野=@高齢者 A子育て B食 C環境 D農業)にグループ討議を進めた。参加者は起業したいと思う分野に直接参加した訳ではないが、各分野ごと4〜5名ほどで1グループを構成する。(起業化を考えるためのアプローチ手法を学ぶ)

高齢者グループのメンバー 子育てグループのメンバー 農業グループのメンバー

 我々の場合は農業分野の現状や問題点、ビジネスチャンスなど自由に討議する中で、検討項目としては以下の内容で各グループ内で討議して、課題をまとめるた。
 @地域の課題
 Aプロジェクト名
 B活動目的(何のために)
 C活動内容(何をどのように)
 D協力者・相手(誰と・どこに)
 E活動のためのインフラ(人・物・金)
各グループごとに担当(進行役・記録・発表者)を決めて、グループワークを約1時間ほど進める。
グループワークを進める上でのポイントは3つ
 ・皆でアイディアを出し合う  ・意見を否定、批判しない  ・まとめていくプロセスを楽しむ
グループワークの最後に模造紙にまとめた内容を記載する。

 農業グループ発表者(岡本幸二氏)の発表内容(mp3形式の音声で発表内容を聞く事が出来ます。)

 農業と言っても地域ごとの特性もあって、白井市の農家と鎌ケ谷市の農家ではビジネスを取り巻く環境も違うという事が少し分かってきた。

 第5回目(最終回)は、前回各テーマ別のグループごとに討議して作成した発表会資料にに基づき、それぞれ各グループの代表者より、発表が行われた。その後少し質疑の時間が各テーマごとに設けられた。このコミュニティビジネス講座では、あくまでコミュニティビジネスを始めるための事前検討課題や、アプローチの仕方を学ぶためのものであり、これが即事業化に結び付くものでは無い。しかし、このコミュニティビジネス講座受講をきっかけとした地元での、人脈づくり(同じような起業を目指す人たちとの)が出来た事は今後の大きな力となっていくだろう。

横山 久雅子 白井市長の挨拶 交流会で懇談する市長 CB講座参加者の交流会

 最終回には、地元白井市の横山市長が会議の最初から発表・交流会の最後まで出席されて、参加者との意見交換など行っておられた。市長の挨拶の中でも、白井市のコミュニティビジネス支援活動にかける想いが横山市長から語られた。横山市長の挨拶の内容(mp3形式の音声で内容を聞く事が出来ます。)

 今回のコミュニティビジネス起業入門講座に参加をして感じた事は、鎌ケ谷市ではこの様な自立のためのビジネス講座開催など、行政が積極的に地元のコミュニティビジネスを起業化支援・育成する仕組みが整っていないのが現状である。
 地域経済の活性化や雇用機会創出をもたらすコミュニティビジネスに対する期待は、国内の長期にわたる経済不況と雇用環境の一層の悪化に伴う、失業者の増加と若者や中高年齢者の再就職環境が一向に良くならない状況の下で、地元で自ら就業機会を創出する必要性や、その活動支援体制や地域ネットワーク作りが今求められている。

 特に鎌ケ谷市内で5,000人以上といわれる団塊の世代の方たちが65歳(年金支給開始時期)を過ぎると、会社を大量に退職し年金生活に入って行く。社会経験が豊富で、技能・知識・経験が豊かなこの様な人材を街の活性化のため活かさない手はないと考える。
 60歳半場を過ぎても、仕事があって働いていれば生きがいにもつながり、健康で元気に毎日過ごすことができる。
 当NPO法人では、何とか市内在住のこの様なリタイヤー世代で、元気な内はまだまだ働きたいと望んでいる方たちの為に、市内で地域に密着したコミュニティビジネスを起せる環境づくりの手助けをしたいと考えている。今回の白井市でのコミュニティビジネス起業入門講座参加は、他市で先行して行っている取り組み事例を勉強して、地元鎌ケ谷に何らかの方法で導入できる環境整備のための、まずは情報収集の第一歩と考えている。コミュニティビジネス起業化に必要な情報収集や市民の要望などが集まった段階で、微力ではあるが行政や地元商工会にも働きかけ連携した取り組みができる様に進めて行きたいと考えている。
 
(レポート:S.K)