鎌ケ谷市内で女性史を自主的に学んでいるサークル「さくら草」が、市民を対象とした「家族が変わる お墓が変わる」のテーマで、公開講座を中央公民館の3階 学習室6に於いて2月24日(火)午前10時から正午まで開催した。今回の公開講座は家族に関わるテーマなので市民の関心も高く20名以上が講座に参加した。 当日の講座開催の模様については、「さくら草」の会員の方より投稿を頂きましたので、全文をそのまま掲載いたします。 さくら草の公開講座「家族が変わる お墓が変わる」が聖徳大学教授の長江曜子さんをお招きして開かれた。 昨年、市の男女共同参画セミナーの「篤姫」が大変好評でその折、先生のご専門であるお墓についての話をもっと聞きたいとの要望があり今回の講座となった。 ちなみに先生は”墓地の継続管理の研究”で博士号を取られ、又、石匠”あづま家”の社長さんでもある。
人は太古の昔から親しい人が亡くなると花を手向けてその死を悼んできた。宗教に関係なく葬送は文化である。日本はここ百年位の間にこの葬送文化が激変したといわれている。少子高齢化が進み、お墓を守ってきた家族も家制度が崩壊して大家族から核家族になり、現在は非婚化などにより一人世帯も増加傾向にある。又、地味婚同様に葬式も家族だけの小規模葬が増え、散骨や樹木葬、お墓の型も多様化してきている。 先生の研究によるとお彼岸等に都営霊園に墓参に来る率は65〜70%だそうで、これを多いと見るか少ないと見るかは見解が分かれるところであるが、地方はもっと多いそうで、これは都会では住居と墓が離れていることが原因の一つと考えられる。又、以前は家族全員で墓参していたものが年輩者のみになってきている点もお墓を継承するという伝統が薄れてきていると思われる。 少子化が進めばいづれ家族でお墓を守っていくことが困難になり永代供養ということになるだろうが、その点について良い例になるのがヨーロッパで、葬送も福祉の一環と考えられており、少子高齢化が日本より早かったヨーロッパでは墓の継承も限界があることを早くから認めており、墓地も20〜30年の有期限付での使用で、その後リサイクルできるようになっている。(勿論、継続することもできる) 特に北欧では墓地税を徴収するところや、都市計画の中にしっかり墓地が組みこまれているなどまさに”ゆりかごから墓場まで”の福祉制度となっている。墓地を整美する事が義務づけられており、スエーデンの美しい森林墓地は世界遺産ともなっている。墓地を美しくすることはまさに文化であり、そこは死者と生者との語らいの場所なのである。 丁度、講座が開かれた前日に映画「おくりびと」がアカデミー賞を授賞した。近年、人の死は人々の生活から見えなくなり病院で亡くなると早々と葬儀が行われ、いなくなってしまう。”生病老死”が人間の一生なのに生の部分のみ存在意義を認め、病も老いもましてや死は敗北であるという風潮がありはしないだろうか。 今回の”おくりびと”の受賞やお墓の問題は死も人生の大事な一部であり、死を悼むことが人間の一生を考えることになることを気付かせてくれたのではないだろうか。 私の実家の墓は金沢にあるので数年に一度位しかお墓参りに行けない。そんな人はお仏壇に手を合わせればいいのであり、それも無ければ写真でも、又、その人に関係ある品物があればそれを見て、その人を偲べばいいそうである。 我が家には母の手作りの日本人形がある。「幼い頃の貴女に似ている」(きっとそんなに可愛くはなかっただろうけれど)という母の言葉と共に母を思い出している。 私も何か遺しておければと思っているのだけれど・・・・・・。 (K.K)
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