芸能鑑賞事業
「能・狂言にふれてみよう」
〜子どもから大人まで 楽しめる能・狂言入門〜

 平成19年10月27日(土)午後1時30分より2時間余り能と狂言の入門編の催しが行われた。前夜からの台風が関東接近のため、当日朝から大雨で一般市民の方の参加も少なくなるのではないかと心配されたが、主催者側の心配を吹き飛ばすかのように、約300名弱の市民が会場である、鎌ケ谷小学校の体育館に集まった。

能の優美な舞 雷を狂言で表現する実演


 今回の芸術鑑賞事業は鎌ケ谷市教育委員会の主催で、地元のNPO法人鎌ヶ谷にぎ愛広場が開催準備に協力をした。
「能・狂言にふれてみよう」の案内資料によれば、簡素な舞台に最小限の表現、理想美を追求する「能」と、人々の生活を写実的にユーモアを交えて表現する「狂言」は、双方を合わせた「能楽」として。2001年ユネスコの第一回世界無形遺産に登録されている。この芸術鑑賞事業は。”能楽の見方について”の解説と実演(仕舞)、”狂言の解説と鑑賞”を行う、「古くて新しい」能楽の世界への入門編であると説明されている。

 「能」の始まりは、奈良時代。その頃、大陸より渡ってきた芸能のひとつに「散楽」(さんがく)」という民間芸能があり、これが今から650年ほど前から能・狂言として庶民の間に広まって行ったといわれる。
(注)能・狂言の由来をもう少し詳しく知りたい方は、下記のサイト(◆「和の心」  (毎週水曜日発行) メールマガジン)を参照してください。

 芸術鑑賞事業である「能・狂言にふれてみよう」は2部に分かれて解説と実演がなされた。
第一部は「能の見方」について解説と仕舞・・・・寺井 栄さん(能楽観世流シテ方・(社)観世会常務理事・シドニー大学客員教授) 寺井 千景さん
第2部は「狂言の解説と鑑賞・・・・附子 大蔵 千太郎さん 大蔵 基誠さん 吉田 信海さん

 第一部の能の見方については、寺井 栄さんと千景さん親子による、解説と実演が行われた。謡にあわせた能の舞や、能装束の着付けの実演、最後には華やかな能衣装をまとい女性の能面をつけた能の舞が披露された。鎌ケ谷小学校の体育館が一時、能舞台となって優美な能の舞いに参加した市民の皆さんも魅せられたようである。

能について解説する寺井栄さん 能のシテを舞う寺井栄さん 能・狂言を鑑賞する市民 早くから開演を待つ市民
翁の面 シテを舞う寺井千景さん お弟子さんの舞 若女(わかおんな)の面
能衣装の着付け(1) 能衣装の着付け(2) 能衣装の着付け(3) 扇の説明


 第2部の狂言は、一転狂言の衣装をまとい舞台に現れた大蔵 千太郎さんと大蔵 基誠さの兄弟と一門の吉田 信海さんが狂言の由来と、狂言を演じる上での舞台の約束事を観客である市民の方に説明を行い、その後「ぶす(とりかぶとの猛毒) 」という狂言を実演された。市民の方もさすがに狂言は時代を超えていても、ユーモアはわかりやすく、演技のそこかしこで笑いを誘っていた。

狂言について説明する大蔵兄弟 大蔵基誠さんの狂言実演(1) 大蔵基誠さんの狂言実演(2)


 レポーターの筆者も、狂言の舞台は以前見たことがあるが、能の舞台は始めてであり、優美な能の舞と場内に響き渡る謡いの声量には伝統芸術の深さを感じた。