新たな出会い・研鑚・社会貢献の場を求めて


                  気象の異常化とデフレの再来


    
      
                                          
 今年もはや、最終の12月を迎えようとしている。年を経るごとに、益々月日の経過は早まるようである。いったい自分は、この一年間何をしてきたのだろう。それなりにケジメをつけてやってきたつもりだが、いい加減な生活も過ごしてしまったようでもある。自分なりに今年一年の満足度を採点してみると、甘くつけても60%程度か。来るべき年は、少しだけ欲張って70%を目標としよう。

 異常人格者と呼ばれる若者が、益々増殖しているように思われるのは近年の特徴なのだろうか。今年もまた、せっかく与えられた大切な命を無理やりに、強引に奪われた多くの犠牲者が数多く見受けられたのは真に哀しい事実である。とても同じ人間の仕業とは思えぬ手段で、無残な強殺を実行する事件が目立った。そしてさらに、その遺体さえも無造作に遺棄されるような事件があまりにも多すぎ
たように思う。
 一方、うつ病などのために、家族や友人などにも別離の言葉も告げずに、自ら生命を絶つ自殺者が毎年3万人を超える。まことに痛ましく嘆かわしい年であった。加齢と共に、弱まるわが身ではあるが、何とか生命を維持できた者としては微力ではあるが少しでも、これらの方々に代わり世の為に尽くしていきたいものである。

 人間の営みの結果は、知らず知らずのうちに自然を破壊する。このようなことは自明の事柄であるにも拘わらず、地球は年々破壊され、そのツケは少しずつ現代を生きる人間に回されてくる。地球環境保全を考えぬ日々の営みの結果は、後世の人たちに多くの負の遺産を残すことになる。この負の連鎖を断ち切らねば人類に未来はない。地球最後の日がやがては訪れてくる。
 いま出きることを、一人ひとりが成し遂げていかねばならない。それが現代を生きる、我々の務めと、強く厳しく認識する必要がある。

 師走を前にしたこの11月末の新聞に、1枚のショッキングな写真が載った。豪州領マッコーリー島沖を通り過ぎる「氷山」とある。オーストラリア南極局がこの17日撮影されたものと発表されている。
 数百個もの氷山が、南極海からニュージーランドに向かって漂流していることがオーストラリア南 極局の調べでわかった。これまでの観測では、過去最大級規模の氷山の漂流とみ られる。
 
左の画像はクリックで拡大します asahi.comより

 同局の氷山学者ニール・ヤング氏によると、氷山の漂流は衛星写真で確認された。氷山はニュージーランド南島の約400キロ南方、マッコーリー島付近を北東方向に移動中。なかには幅200メートル以上のものもある。ニュージーランドに漂着するかどうかは予測できないという。

 約5週間前に南極海付近で大きな氷山の分裂が起きた模様で、細かく砕かれた氷山が一気に潮流に乗って漂流を始めたとみられる。漂流の原因について、ヤング氏は地球温暖化現象が影響している可能性を指摘。さらに詳しい調査を続けるとしている。ニュージーランド当局は、付近を航行中の船舶に注意を呼びかけている。

 地球異変は各地で起きている。身近な例をあげると、つい最近では、おっちゃんの「める友」である名古屋市在住のSさんが02年と09年の同時期に、ほぼ同一地点で撮影した紅葉の写真を送ってきた。二つを見比べると、その明白な違いに驚かされる。
 また、わが家の南面に生い茂っていた昨年までの栗の木は、今年は続々と枯れ木に変わり、豊かな栗の実を見せることは遂に無かった。枯れ死した木々に来年以降の収穫を諦めた農家は、下図のとおり見事に栗林を伐採してしまった。雑草もなくなった今、その景観は清々しく心地よいとも言える。

       

         
名古屋市 瑞穂区        マンションからの眺望
       2002年11月    2009年11月    2008年10月    2009年10月      

       

              
切り株だけを残して伐採された 栗の木
                          
上の4枚の画像はクリックで拡大します



  11月26日の【「鳩山内閣メールマガジン第8号】」によれば、 [色づいた葉を見て感じること]と題して財団法人日本花の会主任研究員・和田 博幸(わだ ひろゆき)氏がつぎのように述べている。

 「紅葉前線が日本列島を南下し、(中略)落葉樹は、冬を迎える前に最後のひと仕事をしているかのように紅葉の美しさを楽しませている。“もみじ”という言葉は、元来晩秋に草や木の葉が赤や黄色に色づくことをいい、「紅葉」や「黄葉」の字があてられた。歴史的にみると唐王朝との交流があった奈良時代には、黄色を貴ぶ唐文化の影響を受けた貴族たちは、コナラやクヌギなどの黄葉を詠んだ歌を万葉集に多く残している。
  やがて平安時代になると遣唐使が廃止され、この時代には日本独自の文化が育まれたといわれる。“もみじ”においても秋の野山を紅色に染めるカエデ類の紅葉が、コナラやクヌギの黄葉よりも好まれるようになり、貴族の間ではカエデ類の紅葉を愛でる習慣が定着し今に続く。平安時代以降の古今和歌集などの歌集では、“もみじ”は「紅葉」となり、カエデ類がその代名詞となった。

 カエデ類の代表樹種といえばイロハモミジが挙げられる。葉の裂けた数をイロハニホヘトと数えたことに名は由来します。現在は生物季節観測にも使われていますが、その記録を見ると近年は紅葉する時期が遅れる傾向にあります。

 つまりいつまでも秋が暖かいということです。
この50年で15日も紅葉が遅くなったというデータがあります。黄葉するイチョウも同様です。その一方で、春に咲く染井吉野の開花は早まっています。これは春の到来が早まったことを意味しています。

 昔、「リンゴはなんにもいわないけれど、リンゴの気持ちは良く分かる」という歌詞の歌がありました。樹木は何も言いませんが、紅葉の遅れや春の開花の早まりは、何か重大なメッセージを私たちに発しているように思います。気候変動が明らかに進んでいることを無言で訴えているように私には感じるのです。

 これらの現象は気候変動による変化の一部に過ぎませんが、その現象を私たちは敏感にとらえながら、今後の環境保全のことを考え、行動する必要があるのではないでしょうか。




   
デフレスパイラルが懸念される!  日本経済!

 先の総選挙においては、麻生自民党政権も政権交代を目指した民主党からも、「デフレ」という言葉は、殆ど聞かれることはなかった。わが国がデフレを宣言したのは平成13年3月である。当時の麻生太郎経済財政担当相が「持続的な物価下落をデフレの定義とすると、現在の日本経済は緩やかなデフレにある」と表明した。日銀も同年3月19日から18年3月までの5年間、金融機関が保有する国債などを買い取って資金供給する量的な緩和を行い、デフレに力を入れた。

 しかし政府は日銀の量的緩和を解除した後も「デフレ脱却宣言」を行わなかった。「再びデフレに逆戻りしない」との自信が持てなかったためと言われている。実際、物価の代表的な指標である消費者物価はマイナスに逆戻りした。10月30日に発表された9月の全国消費者物価指数は、前年同月比2.3%の下落で、7か月連続のマイナスを記録した。
 日銀は同じ日に発表した「経済・物価情勢の展望レポート」では、21年度がマイナス1.5パーセント、22年度はマイナス0.8パーセント、23年度はマイナス0.4%。物価下落は3年間続くとの見通しだ。
 「国際通貨基金は物価下落が2年以上続く状態をデフレと定義している」。日銀の物価見通しはこの条件を充分に満たす。

 政府は11月20日、明確にデフレ宣言をした。一方の日銀は「政府の認識と異なっていない」としながらも、「デフレには様々な定義がある」などと明確な返事は避けている。こん曖昧さではデフレ克服は益々困難になるばかりだ。物価下落による企業収益の減少や雇用の悪化などで、景気の本格的回復は遠のくばかりである。

 物価の優等生と言われる生卵は、各スーパーのお客誘引策の大きな目玉の一つである。スーパー各社が朝夕などに数量限定でミックスサイズ卵の安売りを行うのは、すでに日常化している。
 先日、わが家近くのスーパー(ヨークマート)が初めて、朝一番で10個入りの卵1パックを、78円で販売するとのチラシが新聞に入った。開店時間の午前10時前に行ってみると、もはや十数人の人々が集まっている。
 店が開くと、多くの人たちは一直線に目的の売り場に向う。驚いたのは、一人ワンパックと限定されているためか、小中学生の子どもまで動員して卵を求めようとする若い主婦が目立つことだ。

 不景気で給与もカットされるとなれば、毎日の食費も極力抑えねばならない。このスーパーが10月28日に、旧店舗近くに新店舗を開店した。もちろん大売出しである。予想していたとおり、当市内にこんに多くの人がいるのかと思うほどの人々が、車や自転車などで殺到した。

       

        
左から旧ヨークマート店 右3点は新ヨークマート店



 開店後数日は大変な客を呼び込んだヨークマートだが、いまは静かになっている。しかし新店舗は売り場面積も広く、惣菜や弁当類なども充実させた。新たな顧客の獲得を目指す狙いが見える。
 ついこの間300円台に突入したスーパーの弁当も、いまや200円台も珍しくない。よその店より高いと評価されれば、お客は来ない。まさに消耗戦である。値下げのツケは製造元に向うのは、また当然の理である。弱い業者は益々利幅を圧縮される。

 卵と並ぶ日常食品である納豆の値下げも激しい。当地でも、3パック57円のものがある。
8月に業界第三位であり、昭和26年創業の老舗・「くめ・クオリティ・プロダクツ(常陸太田市)」が110億円の負債を抱えて倒産した。品質には定評のあった主力商品も、店頭では40グラム入り3パックで48円まで落ち込んでいたという。大手スーパーのプライベートブランド(PB)商品も引き受け、シェア拡大を図ったが、結局は安売りから逃げられなかった。



        

        

            
驚くべき!!「くめ納豆」の品目の多さ



 ヨークマート2Fにテナントとして入ったのが「nojima電気」である。当初はコジマ電気と思ったら違っていた。このnojimaは首都圏の神奈川・東京などを中心に100店舗ほどの体制だが、千葉県内では4店目である。今後の新店舗展開のターゲットは千葉県かも知れない。

 当地鎌ケ谷では3年ほど前に、旧イトーヨーカドーの2Fにあったラオックスが、中途半端な商品構成に加え、まるで商売気がなく販売不振で撤退した。いまや、中国の電気メーカーに買収される有様である。また東武鎌ヶ谷駅近く、生協の隣りに独立の店舗を構えていたサトー無線(秋葉原)も、おそらく採算がとれずに閉店したと思われる。

 市内では、二つの大型電気店で釣り合いが取れていたと思ったら、創業50年というnojimaの参入
である。nojima鎌ケ谷店は半端なものではない。当地での覇権を目指す、本格的な店づくりである。 既存の大型店とは反対方向にあり、店の立地は良さそうに見える。しかし狭い市内では、大型店3店の並立は確実に競合しそうである。新たな需要の喚起よりも、限られたパイの奪い合いは必至と思われる。売れ行き一番と言われる、地デジ対応の液晶テレビの普及率は全国平均で70%弱と報道されている。残る30%をめぐって、激戦となるだろう。パソコンも当然安売り合戦である。
 これだけではない。エデイオンISHIMARUも、柏方面から当市内へ攻勢をかける構えを見せている。



 例をあげればキリがない。いろいろな商品やサービスの価格が低下している。デフレそのものは、消費者にとっては購買力が増すだけに歓迎されるものではある。特に生活必需品が下がるのは嬉しいことだ。しかし企業にとっては売上高が減少する。売れても利益が上がらない。赤字回避のために人件費などの固定費の削減を図らねばならない。
 
 家庭での支出は少なくなっても、支給される給与は減少する。リストラで失業者も増える。結果としては消費の力が減少し、負の連鎖に陥る。これがデフレスパイラルである。こうなると景気の回復などには大変なエネルギーを必要とする。11月の30日になって、やっと日銀も政府のデフレ宣言を追認した。いまや、政府・日銀一体となった、デフレ対策の早急な実行が求められている。                                      
 (C・W)