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      おかしなエリート官僚の仕事

  赤や黄色、そして白い花々の咲き乱れた5月も、間もなく過ぎ去ろうとしている。冷たい雨に閉ざされたり、ときには初夏の如き暑さにうだる日々もあった。
 「災害は忘れた頃に、やってくる」とは、昔からの言い伝えである。しかしながら、昨今の災害は「忘れないうちに、つぎつぎとやってくる」ようである。それらについては次月に回すことにして、以前から気になっていた事柄を書きとめておきたい。

 まず一つは7月1日から全国統一で、タバコの自動販売機では未成年者が購入出来なくなるシステムが導入されることだ。既に北海道や東北、そして九州・中国・四国地方では実施に移されている。残されているのは関東地方だけである。当鎌ケ谷市内でも、新型タバコ自販機の設置は着々と進んでいる。

 この目的は20歳未満未成年者の喫煙防止対策の一環と位置づけられている。タバコ自販機にICカードを接触させないと、タバコが買えない仕組みである。この仕組みは、社団法人日本たばこ協会など3団体が主体となって運営され、財務省が支援している。

 このICカードの申し込みに当たっては、運転免許証や各種健康保険証・年金手帳など本人確認に必要な書類のほかに、本人の顔写真を添付しなければならない。ところが、実際の新型タバコ自販機には、本人の顔を識別する機能はついていない。ICカードのみによる識別機は改修費用が10万円程度であるのに対して、顔識別機能を加えた自販機は数10万円になる。この改修費用は全て販売店持ちであるから、誰も好んで高価な自販機を導入しようとは思わないであろう。

 実際に近所の八百屋さんで聞いたら、新型自販機の購入費用は80数万円するそうだ。それで月間15,000円(5年間)のリース契約にしたそうである。 タバコ販売の利益率は、10パーセントと聞いたことがある。 この八百屋さんも、月に15,000円を回収するのは、大変なことと言っておられた。さもありなん、と納得した次第である。
 こんなことで、当地の街中でも顔識別自販機は殆ど見かけることはない。

 これを証明する如く、taspoのホームページからは顔識別自販機の説明は一切見受けることは無かった。何故写真が必要なのか、それにも殆ど触れていないのだ。にも拘わらず、taspoの申請には写真を必要とする。 ついこの間まで官僚であった人たちは、どうしても発想に乏しく、無駄なことを押し付けたくなるのかも知れない。
 taspoカードには写真が添付されるものの、それが実際に使われることはない。なのに、まったく不要なものを要求している。極端な話、他人の写真を貼っても、そのまま使うことも出来る。 儲かるのは、無人のボックス写真屋位なものだろう。
 写真は3か月以内に撮影したものとか、 パスポートサイズとか条件はつけているが、いずれも何らの歯止めにもならないし、また、何の意味も効果も期待できるものではない。

 こんなものを、巧みに拾い上げる人もいるから面白い。

 taspoに関連するサイトでは、
こんなものを商売にする人も見つけた。世の中、いろいろ考える人がいる。また、こんなものもあった。

 タバコの売り上げの80パーセントは自販機によると言われるから、未成年者の喫煙予防に自販機を狙った意図は分からなくもない。
 この
taspo(タスポ)→カードをクリックすると詳しい内容がわかります。
カードの写真は合成したものです。

 
taspoは顔写真さえ用意すれば発行手数料も年会費も無料だが、自販機並みに展開されるコンビニでは、いくらでもタバコを購入することができる。実際には、成年者からtaspoカードを借用すれば、自販機でも未成年者は容易にタバコは買える。 これに慌てた財務省は、免許証を挿入すれば、購入できるように変更しようとしたらしい。 しかし、今や新自販機を設置した販売店が切り替える筈もない。


  
   
     
まず見かけない写真認識自販機(左)    電子マネー機能はあるが..



 結論を言えば未成年者の喫煙は、こんな小手先の仕事では防ぐことは出来ない。それよりも、喫煙者による受動被害者の保護に動くべきだろう。神奈川県は公衆の場での全面的な禁煙を打ち出した。これにより、今まで手ぬるかった飲食店やパチンコ店でも喫煙は出来なくなる。
 このような毅然とした行政こそが、喫煙者を減らし受動喫煙の被害者も減少させ、結果的には医療費の減少に繋がるのではなかろうか。役所の中で喫煙できなくなった職員が、僅かな時間を見つけてコソコソと外でタバコを吸う姿は如何にも哀れであり、かつ見苦しいものである。こんな職員が存在する役所では、神奈川県のような大胆な発想は浮かばないことも、また、当然かも知れない。


 
30数年も前に米国に出張した際、ホテルで喫煙していたら近くに腰掛けていたご夫人から猛烈な言葉を浴びたことがある。何のことはない。禁煙ではなかった場所だが、タバコを止めてくれというわけである。
 はっきり物を言う欧米人や中国人などと異なり、日本人は鷹揚なのか臆病なのか、注意をする人などは滅多に見ることはない。このようなことが、タバコ片手に悠然と運転する若い女性や幼児を伴う女性の喫煙増加にも歯止めがかからない要因とみて、まず誤りはあるまい。

          

  
道路交通法の改正と自転車の通行

 ちょうど1年前にも書いたが、改正道交法がこの6月1日から施行されることになった。ここで、30年ぶりに自転車の通行区分が見直される。改正内容を周知徹底し、車、歩行者とともに安心して通行できる交通環境を実現していきたいものである。
 自転車は、車道でも歩道でも邪魔者扱いされがちだ。人込みの中を、猛スピードで通り抜けるようなマナーの悪さも目立つ。と、評判が悪い。だが、当地ではそれほど自転車が歩道を突っ走っている光景は見かけない。たまに、ふざけた小中学生が見られる程度である。だから、一律に自転車の通行状況を非難するには当たらないように思う。

 むしろ問題は「自転車は車両であるから車道を走れ」、と規定する道路交通法に欠陥があるというのが私の年来の主張であった。江戸時代からの道巾しかない道路を、疾走するトラックなどと一緒に走れるわけが無いではないか。法規を守らせたいならば、まずは「取り締まる警察官が見本を示したら如何?」というわけだ。ヨレヨレの年寄りが、率先して大型車と平行して走るわけには絶対にいかない。接触したら、真っ直ぐにあの世ゆきとなる。

 こんなことに、やっと気づいたのが昨年のことだ。実情を知ってか知らずか、役人のやることは何とも遅すぎる。今年の6月からの道交法改正では当初、歩道を自転車で走れるのは13歳未満の子どもだけだった。毎日のように自転車で買い物に出かける年寄りは、「車の通行量のおおい車道を走って、早く死ね」と、解釈していた。
 これが後期高齢者医療制度との関連かどうか分からないが急遽、70歳以上と身体障害者も全ての歩道を通行できることとなった。加えて、車道の幅員や車の交通量、道路工事などで自転車の車道通行が危険な場合にも、新たに歩道通行ができることとした。法改正を待たなくても、ほとんどの人たちは、車道と歩道の走りやすい方を通行している実情を、官僚はやっと認識したわけだ。通行実態を踏まえ、画一的だったルールの方をやっと見直しした。

 ここまでくると、実質的には自転車に関する通行基準は改正というよりも、新たな法律が制定されたと考えてよいだろう。現実に対応するのに、実に30年の年月がかかっていることが問題である。
エリート官僚たちの無策ぶりと、その行動の拙速と稚拙ぶりが明らかにされたことは、極めて喜ばし
い。心から、その実践と勇気とを讃えたい。
 一方、自転車にも道路交通法で定められた通行のルールがあるのだが、どれだけの人が承知しているだろうか。
 信号無視、酒酔い運転などには、懲役を含む罰則がある。夜間の無灯火などは5万円以下の罰金となる。これらの規定は従来通りだ。日常的に見られる違反だが、明白な犯罪であることも心すべきことである。

 近頃最も目立つのは、携帯電話でメールを見ながら、そしてより無謀なのはメールを打ちながらの走行だ。これは前を見ていないから、突然、人や自転車に激突する。これが一番の問題点だろう。街路樹や石塀などにぶつかるのは自業自得だが、人を傷つけてはいけない。
 携帯で電話するよりも遥かに危険であり悪質である。とくに、善悪の判断のできる筈の中高学生に多い。所属学校の指導力の欠如と本人の自覚の無さは、あまりにもひどすぎる。このような者に対しては、自転車に乗る権利を剥奪する位の条例があっても、おかしくないように思う。

 改正道路交通法で、まだまだ抜けているところがある。二つ取り上げてみよう。

 
1.歩道を自転車が走るに何処を走るべきか。

 これは知らない人が多い。規定では、歩道の車道寄りを走ることとされている。現実にこれを実行したら、どうなるか。自転車同士が衝突することになるのだ。こんな単純なことにも、考えが及ばない。あるいは、独特の曖昧さで現実から逃避しているのだろう。ふざけた話である。


 
2.横断歩道では、自転車は降りて渡らねばならない。

 法律によれば、横断歩道では自転車は専用の自転車道を走って渡ることとされている。少し前に、その自転車専用横断道を見たことがある。いま、そんなものは見かけることはない。そもそも歩道に専用自転車道がないのだから、これも意味をなさない文言である。横断歩道で自転車を押して渡っている人を、わたしは見たことがない。
 なぜに横断歩道で降りなければならないのか。このへんも逃げた点である。

 かように法律とは、厳密さからの逃げ口が用意されている。我々庶民は、あるときにはストーカーにもなり、痴漢にもなり、そして盗撮も行う裁判官や検察官、そして警察官に騙されぬ知恵が必要な国に住んでいることを知るべきかも知れない。



   災害は忘れぬうちにやってくる

 わが国では昔から怖いものの順番として「地震・雷・火事....」と、言われてきた。それが、いまや完全な死語と化した。雷や火事は局地的だが、地震は広範囲にわたり地面そのものが動くから極めて怖い。現在でも、その恐ろしさは正に筆頭株である。

 死者は10万人を超える?
 2008年5月2日18時30分(日本時間同21時)ごろ、ヤンゴンから約220kmのイラワジ付近に上陸したサイクロン。「死者は最終的に10万人を超える恐れもある」と報道されたものの、その後の詳細な報道は新聞各紙から姿を消してしまった。12日午後2時頃に発生した中国・四川省での大規模地震のためである。

 
四川大地震死者も10万人を超えるか
 
5月28日現在、既に死者は7万人に近く、行方不明者は3万人にも達しょうとする四川大地震で
は、ミャンマーと同様な犠牲者が予想される。自衛隊機が支援物資の補給に、中国へ派遣を要請されるという異例の事態になった。本件に関しては事態が変動中ゆえに、次月に詳しくまとめてみたい。
                                       (C・W)
         


          
ミャンマーのサイクロンと復旧に励む僧侶たち

四川大地震の震源地