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   どうなる 中国毒餃子事件




  今年の2月は特に寒さが厳しかったような気がする。3月まであと数日というのに、天気図は上記のような具合である。冬型の気圧配置なんだから、ストーブの暖かさが恋しいのは当然だろう。お天気お姉さんが毎日予報しているように、一日の最高気温が二桁にのると俄然「春」を思わせるが、一桁台の気温ではやはり真冬並みの寒さを実感させられる。古老の体感温度も、若いお姉さんたちと同じのようである。ならば、まあ暫くは我慢して様子をみるとするか。 しかし、三寒四温ならぬ、五寒二温や六寒一温からは早く開放されたいものである。これが「寒さにも暑さにも弱い」オッチャンの切ない願いでもある。

 関東の梅の名所、水戸の「偕楽園」では去る20日から梅まつりが始まった。3月31日まで行われる。予想される混雑に、今年は観梅はやめたと伝えてきた知人もおられる。
 年には誰しも勝てぬものなのか。「梅は咲いたが桜はまだかいな」と風流に謡われるように、日本人にはやはり桜が最も相応しいものかも知れぬ。
(上記写真をクリックすると、水戸「偕楽園」の梅林を表示)

 この寒いのに、気象庁では 「記録的な暖冬で、今年は桜の開花は平年より早い地点が多い」としている。しかし 暖かいから早く開花する、というわけでもないと言われる。桜は、夏頃に翌春咲く花のもととなる花芽(かが)を形成し、いったん「休眠」に入る。 休眠した花芽は、冬の低温にさらされると再び眠りからさめ、成長をはじめる。

 これを「休眠打破」と呼び、1年のうちで最も寒い1月から2月ころに起こる。1日の平均気温が3〜9度程度の日が2週間ほど続くと 休眠から目覚めるといわれ、休眠打破の後、気温の上昇とともに成長し開花する。低温の期間がないと、花芽は目覚めないので、鹿児島や宮崎など、今年はかえって開花が遅れ、地域によっては昨年に比べ一週間ほど遅い開花のところもある、と仰っておられる。厳しい冬の寒さがあってこそ、春の桜が美しく咲くのだそうである。 各々方はご存知であったでしょうか。もちろん、オッチャンは知らなかった...(ーー;)。 下図をじっくりと、ご覧ありたし。 


       



   どう決着するか   中国製冷凍餃子中毒事件

  1月末、こともあろうに、当鎌ケ谷市のお隣りの市川市の家族が中国製冷凍餃子による食中毒で入院・治療を受けるという事態が発覚した。一家5人のうち、女児(5歳)は1月22日夜、家族とともにギョーザを食べ中毒症状を発症した。意識不明で、手足もけいれんしていたという。医師は血液検査の結果から有機リン中毒を疑い、胃内部の洗浄や下剤投与などの治療をし、3日後にやっと意識を回復したという。

 これが発端となり、兵庫県・高砂市、さいたま市や千葉市、秋田市などで冷凍餃子を食したことによる食中毒症状が続発した。各県警などが調べたところ、ギョーザとパッケージの一部から有機リン系農薬「メタミドホス」が検出された。問題の中国製ギョーザは、大手商社「双日食料」が、中国河北省石家荘市の「食品輸出入集団天洋食品工場」(天洋食品)に発注し、天洋食品が加工から包装まで製造過程のすべてを行っていたものである。

 JTの子会社「ジェイティフーズ」がこの双日を通して天洋食品から輸入したものと判明した。両社は直ちに、市販用・業務用合わせ23品目を自主回収を行うなどの処置をとった。ここまでは日本側としては、素早い対応であった。

 中国製冷凍ギョーザに混入した有機リン系農薬成分「メタミドホス」の毒性については、食品安全委員会の農薬専門調査会幹事会は去る27日、人が一度に摂取すると健康に被害が及ぶレベル(急性毒性)を、大人で0.15ミリグラムになる数値に決めた。なぜ今頃なのかは分からぬが、また改めて基準を定めたものであろう。
 千葉市の母子が食べて中毒を起こしたギョーザには、1個当たり約1.8ミリグラムのメタミドホスが入っていたとされ、体重50キロの大人で12倍、15キロの幼児にとって40倍の毒性があった計算になる。これでは幼い子どもは、たまったものではない。

 かつて数年前、中国製の生野菜から農薬が大量に発見され、スーパーなどの店頭からも、かなりの中国製野菜が姿を消した。そして消費者の安心感を高めるために、ネギやジャガイモ、玉ねぎ、白菜などにも地元生産農家の具体的な名前まで表示する店も現れた。これは真に望ましい形である。ところがそれと同時に、生産地の表示なしの同一商品も売られている。価格もちょっは安い。これらは中国製の野菜というわけか。何時の間にやら復権してきたようであり、はっきり、中国産と表示されているものもある。

 うなぎも昨年、発ガン物質の問題から、輸入の基準が厳しくなった。旨さや鮮度そして安心感からも日本産のものは、中国産に比べれば2倍近くもする。季節に相応しいうなぎも、高価な日本産うなぎには手が届かない人は多い。土用の丑の日でも、中国産うなぎのほうが売れていたりする。危険性をまるで知らなかったわけではないと思うのだが。
 いまや、日本の食糧自給率は40パーセントにも届かない。年々さがる一方だ。輸入食品なしには日本人は餓死する。庶民としては、やむを得ない選択であったというしかない。



          

      居酒屋定番の枝豆も 見た目は和風枝豆料理も 加工豆も みな中国産です


   

  その後、全国各地でメタミドホスによる餃子中毒や、類似する発症例が多発した。すでに新聞などで大きく報道されたものだが、この種の事件はつぎつぎと出てくるから、目が離せない。山東省の日系企業(山東仁木食品および清清仁木食品)が製造したニラ肉まんと冷凍とんかつからも、有機リン系殺虫剤が検出された。
 2社とも「ニッキーフーズ」(大阪市)のグループ企業である。中国側は、山東仁木食品が製造した業務用冷凍食品「青島ニラ肉焼まん」から有機リン系農薬成分のメタミドホスが、同省の清清仁木食品が製品する冷凍食品「レンジDEロールソースかつ(アスパラ入り)」から基準値を超える有機リン系農薬ホレートが検出されたことを受け、これらは全て日本企業の管理下で行われていた、との発表もしている。

 日本政府側からは、山東省の「宇王水産食品」が輸出した冷凍サバからは、有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が検出され、さらにこの27日、中国産人参から基準値を超える農薬「トリアジメノール」が相次いで検出されたとして、食品衛生法に基づく検査命令を出した。これにより、中国産の生鮮ニンジンや、ゆでニンジンなどは当面、この農薬の残留検査に合格しなければ輸入できなくなる。

   
生協は発足の原点に戻るべき

 オッチャンは、この事件が報道されたあと近くのスーパー数店を巡って、店の状況やら報道に対する店の対応状況などを見てまわった。事件が表に出てからはや1か月近くになる。それぞれの店の対応は、対象となった冷凍食品の扱い点数や、事件と全く無関係なところとは、当然大きく異なる。
 冷凍食品は、定期的な半額セールにより多量の在庫を捌いていたものと推測する。大量仕入れによるコストダウンである。いまや4割引きでも5割引きでも、客は集まらない。これまでボンボンと籠に入れていた食品も、一つひとつ裏をみてから籠に入れるおばちゃんが多い。

 天洋食品と最も関わりの深かった生協が、昨年のミートホープと同様に、これら中国冷凍餃子などが自社ブランド商品にも拘わらず、品質管理に最善を尽くしていたとは言えぬ点が真に生ぬるい。要は肝心なところで、食品の安全チェックが手抜きされている。「安心・安全」を標榜する生協であるがゆえに、余計に情けないおもいである。

 日本生協連は、中国の60の工場に視察団の派遣を始めた。中国で製造から最終包装までしているPB(プライベイト)商品は、「手作り餃子」をはじめ145品目もある。これらの原材料の管理や防虫対策の薬剤の使用状況、製造工程を点検し、結果を公表する。生協連のPB商品は、昨年も「ミートホープ」(北海道)による偽装牛ミンチ事件でコロッケが自主回収に追い込まれた。地方の生協独自のPB開発に限界があることも、商社の輸入食品に依存したPB商品の品揃えが食の安全軽視に繋がっているのではないか。全国にある約160の地域生協のうち、約60の生協が「手作り餃子」を販売し、そのうち少なくとも43生協が偽装牛肉コロッケも扱っていた。

 「手作り餃子」の約5割は、「コープネット事業連合」(本部・さいたま市)に加盟する関東などの7都県の生協で販売していた。同連合は日本最大の約329万人の組合員を抱え、スーパーに負けない低価格路線が売りものである。ライバルはイオングループのPB「トップバリュ」だという。
 (PB)商品は、小売業者が独自に、あるいはメーカーと共同で商品を開発し、専用のブランド名で販売する商品である。生協は、絶対に責任を他に転化することは出来ない。



   
CО・CPブランドの生協餃子   JTブランドのイトーヨーカドー餃子

(上記2冷凍食品をクリックすると、発売元の食品回収告知記事が表示されます。)

 現時点では生協にもイトーヨーカドーにも、冷凍食品売り場に「天洋食品」に関係なく餃子と名の付く商品は当然のことながら何も置かれていない。元々ヨーカドーの冷凍食品にはプライベイト商品はなく、ニチロや日清食品からの仕入れ商品だった爲に、天洋食品のみを対象に回収の呼びかけを行っている。これは事件直後から4品目で変わらないままである。

 一方生協では、冷凍食品はプライベイトの天洋食品が主力だったために、対応に苦慮した様子が窺われる。当初に発表した2品目の回収が現在は11品目に拡大している。
(上記の両社の餃子の写真をクリックすると、対象商品は分かります)だが、多くの中国製冷凍食品は置かれたままだった。「和風おつまみ」とか「筑前煮」とか、「3種の和食」など如何にも国産らしい名称であった。これでは、まだまだ反省は足りぬとオッチャンは思った。28日のYomiuri Onlineによれば、下記のとおり流されている。
  


   1都7県の生協、「中国製」全冷凍食品の販売中止へ

  関東・信越1都7県の生協でつくる「コープネット事業連合」(さいたま市)は、中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、消費者の不安が高まっているとして、原則すべての中国製冷凍食品の販売を3月から当面、中止する方針を決めた。凍食品以外でも、春雨など一部の中国製加工食品の販売を見合わせる。


 
    
日中は 何処で大人になれるかが 決め手か

 ここまでは、日本国内での問題である。さて、この先の問題処理はかなり難しそうである。事件の発端となった殺虫剤「メタミドホス」はどのようにして、食品や商品の梱包内部にまで注入されたのか。製造工程での誤りか、悪質な人間による人為的な作為なのか。はたまた、それはどのような時点で実行可能だったのか。

 現在、日中両国の警察当局の相互協力が約束され、実施されつつあるように見える。外交関係者も難しい局面に向かい合っている。実態は、「自国内部工場での警備は完全であり、有害物質の混入されることはありえない」との主張で双方ともに妥協の様子は見受けられない。妥協すれば、自国の管理や衛生面での失態に繋がりかねず、国際的にも立場は弱くなる。

 千葉の落花生と言えば、全国的にも名産である。美味ではあるが価格は高い。それで、どうしても安い輸入品の流通が多くなる。年間消費量12万トンのうち 90パーセントは輸入品であり、そのうちまた90パーセントは中国産という現実がある。それは、いろいろな形に姿を変えて我々の食に供されている。スーパーで売られている食品の40パーセントは中国産とも言われている。

 ここは、日中両国が大人の立場に立って、解決に向うことが望まれるところである。お互いを非難し、自国の立場を有利に運んだとしても、結果は両国民にとっても決して良い事ではなく、食品の安全性を保障するためにも徹底した原因究明と再発防止策が必要である。
 2月28日の報道では、中国の警察当局が中国側には冷凍食品の農薬混入の原因となる痕跡は無いと発表され、日本側警察当局との見解は大きく異なっている。日本は成熟した大人の国である。中国はせいぜい高校生程度の成長まっさかりの国と考えるしかない。今回の事件を両国の警察当局がどう決着させるのか、日本側も中国当局の発表に感情的にならず、科学捜査で物的証拠に基づく原因究明を粘り強く行い、両国の警察当局が連携を保ちながら、早く原因究明を図っていただきたいものである。お互いに歩み寄り一刻も早く問題解決に努める事が両国に必要とされるのではなかろうか。          
(CW)