「月日は百代の過客にして、行きかう人もまた旅人なり」。人それぞれに月日は流れ、今年もまた12月を迎えることとなった。これといって大事もなく、オッチャンが40年近く勤めさせてもらった会社も、退職後8年を過ぎた今、風のたよりではこの11月には遂にその名前も消え、後輩たちも散り散りに霧散したようである。まことに残念なことではあるが、これも時代の趨勢なのかも知れない。
毎年この時期になれば喪中の挨拶状も多くなる。その手紙の片隅には、「永年のサラリーマン生活を休止し、ただ今自由な生活を満喫しております」などと、書かれていたりすることがある。「これ、本当なのかなあ」と、その後輩の年齢を計算してみたりする。ふと寂しさも感じるが、我々の人生などは長い地球の歴史から見ると、一粒の米のような存在に過ぎないことをつくづくと思う。
猛暑日の続いた異常な今年の夏も、10月を迎えると山々には冠雪があり、急速に気温も低下し北海道などは一気に冬の様相に変貌した。本州各地も感覚的には同様であったが、その後爽やかな秋らしさも取り戻したようである。
11月も末の27日になって、NHKの朝の番組では市街地の紅葉の模様を放送していた。大阪から電車で1時間ほどの箕面市である。ここは紅葉の美しさではかなり著名な土地らしい。市街地から3キロも続く様々な色模様の美しさに、オッチャンも認識を新たにさせていただいた。面白いのは、「もみじの天ぷら」である。これは黄色いもみじが原料となる。葉が下に落ちると色が変色してしまい、また美味しくないので黄色いもみぢの木を揺すり、落ちたばかりの葉をひろい集めて天ぷらにする。カリカリと歯ごたえもよく、見ているだけで如何にも美味しそうな味覚がした。一度は食べてみたいものである。
それにしても、大阪近辺の方だけではない。東京や埼玉など関東地方からも多くの人が訪れているのには驚いた。加えて朝早くから散策する、この人の多さはどういうことなんだろう。小学生たちの遠足も目に付いた。まさに雑踏である。
つい最近、日立市に住むメール碁の友人からは、つぎのような便りが届いた。下記のごとしである。その前に左記の画像をクリックしてみましょうか。
「月探索衛星かぐやからの月の極付近と、地球の映像は素晴らしいですね。科学の進歩を よそにして、近くの渓谷の紅葉と史跡めぐり、こんなに暇人がいるのかと人出の多いのに驚きました」。
「日本の人口1.3億、内75歳以上の高齢者が10%とか。どこもかしこも、高齢者であふれ高齢化社会を実感しています」......。
箕面市役所のホームページから抜粋 いかにも楽しそう 〜すべて拡大されます〜
話を現実に戻そう。個人的には何の変哲もなく、いつものような1年が過ぎていった。振り返って国政レベルを眺めると、わが日本国の政治面ではまことに奇妙な年であった。昨年9月26日、第90代の内閣総理大臣として安倍晋三氏が選出され、新内閣が発足した。
若き安倍総理は、「美しい国づくり」とか「戦後レジームからの脱却」などという勇ましいスローガンを掲げてスタートした。年寄り軍団を排除した総理は、新内閣の誕生後まもない11月には電撃的な訪中を果たし、小泉政権以来こじれていた日中関係は修復へと向った。
出足は、まことに快調そのものであった。しかしながら、当初から「お友だち内閣」と揶揄された内閣の若き閣僚たちは、つぎつぎとボロをだして辞任する。そして閣僚の中から自殺者まで出した挙句の果てに、ご本人も突然辞任してしまった。7月29日の参院選挙で過半数を確保できず、大敗を喫したショックは予想外に大きかったようである。
身動きのとれなくなった総理は、参院の過半数を握る相手のガキ大将と手を組もうと思ったが、その相手に袖にされ、「隣りの一ちゃんが遊んでくれないよ〜」と泣きだし、最高権力者でありかつ最高の責任者たる一国の総理の職を、いとも簡単に、無責任極まりなく放り投げてしまったのである。
国の総理が所信表明演説を行ったあと、2日後の珍事である。開いた口がふさがらないとは、正にこのことだ。あとを受けた福田総理は、全党をあげての支援の元に登板である。衆参ねじれの国会では前総理と同様に苦しいが、余裕が感じられる。
談合政治や密室政治はお断り、と「晋ちゃんを苛めた一ちゃん」が今度は自ら転んでしまった。自党の意見も集約せぬままに、福田自民党との大連立構想に乗ってしまった。元々自民党幹事長までやった一ちゃんは、保守的人間の最たるものではないか。やりそうな話である。
そろそろ、長年の野党生活にくたびれたか。それとも飽きたのであろうか。はたまた、副総理にでもなりたかったのか。ある大手全国紙のオーナーでもあるナベツネなる人物が裏で操ったという話もある。
この連立構想を持って帰った一ちゃんは、自党幹部の総反発を食らってしまった。党内から不信任を突きつけられたと、一ちゃんは早々に記者会見で党首を辞めると発表した。ここまでは仕方がない。自分の蒔いた種なのだから、辞めて当然だろう。そして記者会見では「自党には政権をとる能力はない」などと、散々自らの党をこきおろした。つい昨日までは、次なる衆院選挙で「必ず自民党を倒す」と言っていた党首がこの様だ。
さらに驚いたのは、こんなガキ大将でも「居なくなったら大変」と、党幹部が総出で引き止めたら、アララと言う間に元の鞘に戻ってしまった。こんな日和見な大将を担ぐのも大変なことである。国益を考えない国会運営を求めて会期が延長されれば、一日あたり1億円もの税金が飛ぶ。壊し屋が政党を壊すのは未だ結構な話だ。だが、我々の生活やわが日本国だけは、絶対に壊さないことを切に願っている。
政治家がこの体たらくならば、官僚の中には世にも無神経で恐ろしい怪物がいた。4年間にわたり防衛事務次官を務めた守屋なる人間、いや怪物である。この怪物は旧防衛庁に住みつき、防衛庁の防衛設備課長だった1990年頃から防衛設備専門商社の甘い蜜を吸っていた。すなわち接待漬けになっていたのだ。ふつう、人間ならば他の人からご馳走になったり、無償での利益供与を受けたりすると、非常に気になるものである。
このお返しをせねば、と、しきりに気を回すことになる。だが怪物ともなると、そんなことはまるで涼しい風と受け流すものらしい。10年間に300回、1500万円ものゴルフの接待を受けようが、高級料亭で数10万円のご馳走をタダで食べても、何とも思わない。
怪物は、いくら食べても満腹にはならないのだ。夫婦連れ立って接待ゴルフ旅行に出かける。お金は一切支払わないから、いい亭主と結婚したと奥方も思われていたのだろう。お金は殆ど使わないから、数千万円も部下に預けて適当に投資させる。損すれば勿論、部下の負担にさせる。利益だけは手元に残るわけか。
毎週毎週、ゴルフに接待されても何とも思わないその図太さ。その尊大さ。誰が、何の見返りなしに接待などするものか。見返りが大きいからこそ、莫大な金額をかけてゴルフにも料亭にも、ご夫婦お揃いでお連れする。収賄罪なのは見え見えなのに、「これが刑事罪に該当するなら潔くうける」などと、国会の証人喚問でもぬかして平気な顔である。だから怪物なのか。逮捕される時期は刻々と近づいてきた。と思ったら、テレビで二人の逮捕が報じられている。怪物は常日頃、「(ずぐに辞めていく大臣などは)百代の過客だ」とほざいていたとの報道である。そして自らは、遂に「最悪人の過客」となったのである。
奥方は亭主とは別に、単独で何度も接待されていたという。これが偕老同穴というものか。まあ、怪物ご夫婦には、怪物たちにふさわしい、本当に臭い飯を提供して差し上げたいものである。
中国産食品の安全性が問題視されて以来久しいが、日本の食糧自給率をみれば中国からの輸入なしに日本人の食を満たすのは難しそうだ。農薬にまみれた野菜とか偽りの肉など、目に見えるものは購入を控えることは容易かも知れない。
しかし目に見えない加工食品は、なかなか判断が出来ないのではなかろうか。現実問題として、スーパーなどで目玉商品として「半額提供」などとチラシで宣伝される冷凍食品などは、大半が「原産地は中国」と表示されている。それに多くの主婦が群がって購入している。口に入れるものだけが注目されるが、世界中でも日本人が最もよく使う割り箸や爪楊枝は、遥か以前からその99パーセントが中国製品である。それを毎日我々は使っているわけだ。
こんなことだから、表面的な事柄だけに捉われていると、本質を見失うであろう。
今回のテーマは、「近頃日本で流行るもの」であった。狙いは「食の安全と管理」にあったのだが、遂に終わりになってしまった。今年、不二家に始まりつぎつぎと食品業界から偽装問題が摘発されてきた。毎日のように、食品各社の不祥事が報じられている。新聞へのお詫び広告もしかりである。何時、尽きるのかも分からない。
ある日のこと、米国・ロスアンゼルスに住む友人からのメールには、つぎのように記されていた。
しかし、日本ではいろいろのことが起こっていますね。
= この頃日本に流行るもの =
食品会社の最敬礼。あっちでホイ ! こっちでホイ !
賞味期限は延長自在。法律違反は朝飯まえ ! あっちでホイ ! こっちでホイ !
老舗の誇り今いづこ。品質第一今いづこ ! 消費者第一今いづこ !
コンシューマーは馬鹿でない。二度と買わんぞ偽商品 ! あっちでプイ こっちでプイ !
皮肉なことに、
このわが国の食品偽装事件続発に関して、中国や台湾などの各メディアは大きく伝えている。
不二家から船場吉兆まで…!「日本食品は絶対」安全神話が崩壊―中国(Record China)
2007年、10月から11月にかけて、中国国内でも日本の食品偽装問題が多数報道され、日本製品崇拝に陰りを見せている。「あの日本で……まさか」まさに信じられない、という驚きを隠せない様子だ。
(Record China)
「醜聞頻発」「安全神話幻滅」(新華網)、「日本黒心食品」(台湾ETトゥデイ)と、各メディアとも鮮烈な見出しをつけて報道しており、その内容も不二家から白い恋人、ミートホープにミスタードーナツ、赤福や船場吉兆に比内鶏まで、こと細かに記されている。
中国フードメイトでは「食品偽造の問題は、世界各国で頭を抱える問題」と報じている。中国疾病抑制センター栄養学博士の陳学存(チェン・シュエツン)教授は報道の中で、「中国人が最も関心を持つ食品安全問題だが、このような事件は世界各国―日本ですら起こりうるもの。
一連の日本の事件から教訓を得ようではないか」と語っている。
しかし、いずれの報道も日本への失望感を露わにしながらも、中国国内の現状については何ら触れていないのが、唯一の救いと言うべきか。
キーワードは偽物か ! 今年の一文字は「偽」か ! (C・W)
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