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**** 「美しい国 日本」について想うこと ****

  今月はこのコラムを担当されるコラムニストがお休みです。
                      
 マスコミ各紙やNHKなどの最近の世論調査では、安倍内閣の支持率が発足当初と比較して大きく下がっているようである。昨年からの県知事の不祥事が続き、宮崎県知事選挙では予想を覆し、無党派層や各党の支持によって元タレントの「そのまんま東」東国原英夫(ひがしこくばる・ひでお)氏が知事選で初当選を果たした。その後もマスコミの取材や県議会での答弁が連日大きく報道されるなど、宮崎県としては新知事の出現によって、地元のPR(農業や観光)に大いに貢献しているのではなかろうか。
 
 一方、知事選に敗れた保守政党では思わぬ敗北に、この後に続く地方選挙や参議院選挙への影響を考え、選挙対策に頭を悩ましているのではないかと思う。さらに重要なのは19年度の大きな地方選挙で4月8日(日)に行われる東京都知事選挙である。無所属で現石原都知事が再出馬するとの報道もあり、対する野党の大物候補者がなかなか決まらない状況では、無党派層も落ち着かないだろう。

 先日もある新聞の記事の中に、安倍内閣の支持率低下が著しいが、前小泉内閣の発足時と比較して実績面ではかなり成果を挙げていると評価をしていた。しかし、我々のような庶民感覚では「美しい国 日本」を目指すスローガンの下に教育改革や憲法改正、地方交付金の大幅な削減など与党の絶対多数によってどんどん法律の改正を進め、福祉医療政策が弱者切捨てになってもらっては困るのである。
憲法で定める 「第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」を国政を預かる者として遵守して欲しいと強く願うものである。

 先週の日曜日(2月25日)夜にNHKスペシャル「脳を鍛えて人生を再び~福岡・高齢者たちの挑戦~」を見た。

「永寿の郷」で、高齢者の脳機能が、文章の音読、簡単な計算を毎日短時間続けることで改善するケースが報告されて注目を集めている。この実践を共同で進めているのが東北大学の川島隆太教授。「脳は鍛えれば何歳からでも再生できる」という仮説のもと、5年前からのべ200名を超える高齢者が参加。認知症を改善するだけでなく、生きがいを取り戻した人も現れている。挑戦する高齢者たちの姿を追った。-NHK番組表記事より引用-

 番組の中では、脳梗塞で倒れた人や、痴呆症が出ているご老人たちのリハビリを、福岡の老人介護施設で普通ならとても回復は見込めないのではないかと思われるようなご老人が、施設のリハビリ指導員の指導と訓練によって数週間後には、かなりの症状の改善が見られた。音読や簡単な計算を繰り返すことによって脳機能が改善するという実証が、脳の機能解析装置を使って訓練前と訓練後の比較で、人間の感情をコントロールする脳の前頭葉部分が活発化するなど、治療法の効果を確かめられる医療技術の進歩にも驚いた。

 以前、老人介護施設でボケ老人を手錠で拘束し、檻に入れた介護施設の報道があったが、全く人間性を無視した暴挙である。自分の親を施設に預けた家族はどのような気持ちだったろうか。また、身近に高齢で痴呆症の出た親を抱える家族の苦労は並大抵では無い。お金持ちで高額な施設に預けることができる家族はまだいい。しかし、既に年金生活に入っている家族で資金的に余裕の無い家族はどうすればいいのか?特別養護老人ホームも入所希望者が多く、必要なときに利用できない現状では、家族はどうすればいいのか?全く救いようの無い状況を唯一救えるのが国や地方自治体の役割ではないだろうか。
 団塊の世代が2007年から定年を迎え始め、日本の高齢化は益々加速していくこの時期、将来の超高齢化社会に対して国は国民にどう対処しようとしているのだろうか?

 明治中期にラフガディオ・ハーン(小泉八雲)が書いた「神々の国の首都」には、外国人が見た美しい日本、礼節を守る日本人が描かれている。それと比べて現代は、何事も全て金・金の世界である。極端な見方をすれば社会人の評価も”どれだけ稼いだか”、”どれだけお金を持っているか”その為には手段は問わないに尽きる。このような”市場経済第一主義”で本当に日本人は心豊な生活が送れるのだろうか?子供達の”いじめ”問題や会社での”過労死”も大きな問題であり、最近は”職場でのいじめ”も問題化しつつある。
 安倍内閣の言う「美しい日本」とは、まずこのような社会的弱者に対するセーフティーネットを広げ、国民が安心して暮らせる日本を目指すべきではなかろうか。

 日本の国際貢献でも、日本が率先して京都議定書で定めた環境基準(二酸化炭素の削減目標)を達成し、産業界もこの優れた環境技術を発展させることによって、企業自身の発展の道を開くことができ、また環境立国のモデルとして環境技術で世界に貢献することが出来る。それも「美しい国 日本」の目指す道ではなかろうか。
 

(S.K)