新たな出会い・研鑚・社会貢献の場を求めて

****残り1枚のカレンダー****


  今年も余すところ、あと1か月となった。東証一部に上場する企業の9月中間決算が続々と発表されている。11月18日までに決算を発表した813社の売上高は、前年同期比6.6パーセント増、経常利益は同33.2パーセントの増加となった。

  前年同期に比べて売上高が増えた企業は77パーセントなのに対して、減少は23パーセント。業種別では、30業種中29業種が経常利益を伸ばした。唯一の減益は競争の激化している通信業界である。通期業績予想では、前年同期比で売上高で5.2パーセントの増、経常利益が20.2パーセントの増加。経常利益の予想を据え置いた企業が48パーセントで、上方修正企業の37パーセントを上回った。このことは同一業種でも、企業間における体力差や、規模拡大の差別化が進んでいることを如実に示しているようだ。

  イラク情勢は依然として先行きの展望が開けないまま、原油価格の高騰が進み、円高ドル安の傾向に拍車がかかっている。各社ともに通期見通しは慎重だが、長く続いたリストラによって体力も取り戻した。一時1ドル=100円をつけた円相場は、100円突破も視野に入っている。景気を引っ張ってきた輸出企業にとっては、収益悪化の要因になりかねないが、中国や北米などに拡大した海外生産が円高対応力を高めており、利益の出やすい体質に転換されてきたとの見方が強い。

  乗用車販売では、三菱を除く各社が増収増益となった。ところが、もう全てのウミを出し終わったと思われた三菱自動車は、11月になっても最新型のハブが亀裂するなど、2万台ものリコールを申請し、同型ハブを使用した大型トラックを出荷停止にせざるを得なくなった。
  超優良企業として君臨した三菱自動車も、いまや存亡の危機にあるといっても言い過ぎではあるまい。顧客に偽りを言い続けた三菱は今、そのツケを嫌というほど感じているに違いない。入社時に三菱のトラック設計部門に採用されたオッチャンの従兄弟は、今年定年を迎えているはずだが、いまだに辞める気配がない。どうもこの不祥事の後始末に追われ、辞めるにやめられない状況らしい。ストレスで厳しい毎日をすごしているとも聞いている。
 
  家電業界も好調を維持している。薄型テレビが好調に売れているようだ。DVD録画再生機の売れゆきもよさそうである。アテネオリンピックを契機に売上が伸びたものと予想される。DVD機の売れゆき好調を示す一つの兆候がある。
  これまで、家電大型店の主要な売り場に目立って置かれていた、パソコン向けのCDーRやCDーRWが店内の奥深くに引っ込み、変わってDVDーRやDVDーRWなどが大きな顔をして並んでいる。売れ筋商品を目立つ売り場に置くのは当然である。
  こんなことでDVD機の販売が進んでいることが分かる。その一方で、ビデオテープの値下がりが著しいようである。わが家も、ここ数年ビデオテープを買ったことがない。必要なときに、山ほどもある録画済みテープを取り出して使うありさまだ。

  デジカメの売れゆきが鈍ってきた。これは普及率が高まった証でもある。デジカメは既に20社が参入し、この4年で3.5倍も売れた。その勢いに変化が出てきている。新商品が相次いで投入されるが、価格が下落しつづけている。二年前に買い換えたわが愛機も、同じ機能の商品が購入時の半値近くになってしまった。
  大不振のメーカーもあり メーカーによっては180億円もの大赤字になっているところもある。打開には新商品の開発しかない。そんなことで、音楽つきのデジカメも登場した。ビデオカメラ並みの動画を再生するものもある。製品数を減らし、高級化路線への歩みも急ピッチである。

  大富豪の驕りによる事件が明るみにでた。コクドの堤会長による西武鉄道株の売却である。衆議院議長も経験した堤康次郎氏によって創業され、生まれながらに帝王の堤会長は、西武鉄道グループに絶大なる権力をもち君臨した。女子事務員などは、皇帝の侍女並みに奉仕していたとも言われている。
  奢れる者、久しからず、か。会社経営者なら、誰もが気づくようなやり口でボロをだした。明らかなインサイダー取引である。役員なら誰でも知っている。長くトップに居座ると、そんなこともやってしまう。売却した株は値下がりし、各社から訴訟され、買い戻しを求められている。西武鉄道は、買い戻しに応じないわけにはいかないだろう。

  だが、企業はまだ助かる余地がある。この悪質きわまる所作による最大の被害者は、西武鉄道が上場廃止になることによって、所有の株式は大きく値下がりし、おまけに値下がりした株の売却も不可能になった個人株主なのである。このあたりは、どこのメディアも一切触れていない。弱者をないがしろにしたコクド・西武グループは、いずれ数十倍のしっぺ返しをうけるであろう。 
  それが世の習いでもあり、掟でもある。




 先日、衣料品チェーン店を展開するユニクロが「低価格路線から脱却する」と、全国紙1ページ全面を使っての広告を出して話題を提供した。
すわ安物?からの転換か、と思ったらそうではない。真の意味するところは、単純に、これまでの路線を踏襲するのではなく、新たな顧客を開拓するための戦略を打ち出したものと言えるだろう。
 
  若き創業者から、さらに若い社長へとの交代を果たし、更なる進軍への布石がそこに見られる。新しい試みも、時間を経ればすぐに古物品と化する。仕事とは、既存のことを受け継ぎ進めるだけでなく、その時代にふさわしいニーズを開発しお客に提供することと思う。ユニクロはこうして変身を遂げていく。

  全国展開を進め、確固たる地盤を確保したかにみえる100円ショップもまた、変わりつつある。当初は一律に100円商品のみの構成であったが、よくよく眺めれば、いまや200円もあれば、300円、600円、800円などの商品もとり揃えつつある。100円で、よくこんな物ができると感心していたものだが、そこに留まることなく、新たな商品づくりに余念がなかったわけである。
  一定の顧客を取り込んだ今、200円でも600円でも、他店に比べて売れるとの綿密な調査を進め、負けぬとの確信をもち新商品を開発したものといえる。

  理髪店には組合があり、組合員の中ではこれまでズーッと理髪料金は固定化されている。しかしこれも、価格破壊に押されている。今までの価格を維持しているだけでは、顧客が離れていくことを知ることになった。
  協定価格の半値で開店する非組合員の店が続く。さらには遂に、その半値の店も出現した。一般的に理髪店では調髪し、顔のひげを剃り洗髪し、リキッドなどで髪を整えるのが当たり前だった。近頃そんな常識をやぶる理髪店が当地・鎌ケ谷にも生まれた。1000円ポッキリで10分もあれば終わってしまうのだ。

  店内では髪を切り、生え際を整えるだけだ。カットされて頭に残った髪の切れ端などは、掃除機のホースのようなもので強力に吸い取ってしまう。ひげは自分で剃れるし、頭は入浴時に洗えばよいというわけだ。定年になって街に住む、高齢者が必要以上のお金を支払う必要はない。このようにして、新たな顧客を見つけていくことが大事なことかも知れない。もちろん、継続して来客となることを期待し、帰りには50円引きのチケットをくれる念の良さだ。

  そこで驚いてはいけない。毎日のウォーキングで更なる店を発見した。なんと、950円の理髪店である。一見して古い家屋の店であるが、そんなことは関係ない。これもまた、いずれ古いしきたりに拘るお店からお客を吸引していくのだろう、と思った。

  まだまだ、工夫した店もある。コンビニやスーパーなどでは、大抵はコピー機が置いてある。もちろんコピーで利益をあげる目的ではない。白黒で一律1枚10円とされており、来店するお客へのサービスのためである。ところが、あるスーパーでは1枚5円で提供しているのを見つけた。だだし、一回10枚以上との条件がついている。用紙はおなじ。10分で1万枚を印刷するという。
10枚という条件をどう捉えるか、これもお客のニーズを探るひとつの試みとして面白い。

  今年は多くの台風が上陸し、たくさんの方々が被災された。また、新潟中越地震では大きな災害をもたらせた。山崩れで川がせき止められ、農地が天然ダム?と化してしまった。天然ダムとは何事か。被災者の気持ちも考えぬ名前は誰がつけたのか。今、名前を変えようとの話が持ち上がっている。

  いずれにしても、大雨で植えた野菜の種も流されてしまう。そんな悲しい話もあり、野菜の価格が高騰した。とりわけキャベツや白菜、ネギなどの被害が大きかったようである。白菜などは6分の1の大きさにカットされて売られる。一人住まいのお年より向けだったものが、当たり前の大きさになって、売られている。

  先般は8分の1にカットされたものを見かけた。とにかく安くするための方策だ。「この際は、冷凍野菜がお奨め」などと、堂々と店側では宣伝する。惣菜類の小型化はもはや通例になっていたが、生野菜も切り刻んだサラダが売られる。
生産者の顔写真も添付し安全性をPRしはじめた。鎌ケ谷に隣接する中堅スーパーが一軒店じまいし、新たに同じような規模のスーパーが開店した。ここでは安い野菜が人目を引いた。

  それぞれの野菜には、生産者である農家の人たちの顔写真がついている。ほぼ他店の半値での開店大売出しには、多くの人たちがつめかけた。「食」の安全性が問われる今、生産者と消費者との繋がりを図る試みは成功を生み出す予感がする。

                                                        
(C.W)