新たな出会い・研鑚・社会貢献の場を求めて
****残り1枚のカレンダー**** |
先日、衣料品チェーン店を展開するユニクロが「低価格路線から脱却する」と、全国紙1ページ全面を使っての広告を出して話題を提供した。すわ安物?からの転換か、と思ったらそうではない。真の意味するところは、単純に、これまでの路線を踏襲するのではなく、新たな顧客を開拓するための戦略を打ち出したものと言えるだろう。
若き創業者から、さらに若い社長へとの交代を果たし、更なる進軍への布石がそこに見られる。新しい試みも、時間を経ればすぐに古物品と化する。仕事とは、既存のことを受け継ぎ進めるだけでなく、その時代にふさわしいニーズを開発しお客に提供することと思う。ユニクロはこうして変身を遂げていく。
全国展開を進め、確固たる地盤を確保したかにみえる100円ショップもまた、変わりつつある。当初は一律に100円商品のみの構成であったが、よくよく眺めれば、いまや200円もあれば、300円、600円、800円などの商品もとり揃えつつある。100円で、よくこんな物ができると感心していたものだが、そこに留まることなく、新たな商品づくりに余念がなかったわけである。
一定の顧客を取り込んだ今、200円でも600円でも、他店に比べて売れるとの綿密な調査を進め、負けぬとの確信をもち新商品を開発したものといえる。
理髪店には組合があり、組合員の中ではこれまでズーッと理髪料金は固定化されている。しかしこれも、価格破壊に押されている。今までの価格を維持しているだけでは、顧客が離れていくことを知ることになった。
協定価格の半値で開店する非組合員の店が続く。さらには遂に、その半値の店も出現した。一般的に理髪店では調髪し、顔のひげを剃り洗髪し、リキッドなどで髪を整えるのが当たり前だった。近頃そんな常識をやぶる理髪店が当地・鎌ケ谷にも生まれた。1000円ポッキリで10分もあれば終わってしまうのだ。
店内では髪を切り、生え際を整えるだけだ。カットされて頭に残った髪の切れ端などは、掃除機のホースのようなもので強力に吸い取ってしまう。ひげは自分で剃れるし、頭は入浴時に洗えばよいというわけだ。定年になって街に住む、高齢者が必要以上のお金を支払う必要はない。このようにして、新たな顧客を見つけていくことが大事なことかも知れない。もちろん、継続して来客となることを期待し、帰りには50円引きのチケットをくれる念の良さだ。
そこで驚いてはいけない。毎日のウォーキングで更なる店を発見した。なんと、950円の理髪店である。一見して古い家屋の店であるが、そんなことは関係ない。これもまた、いずれ古いしきたりに拘るお店からお客を吸引していくのだろう、と思った。
まだまだ、工夫した店もある。コンビニやスーパーなどでは、大抵はコピー機が置いてある。もちろんコピーで利益をあげる目的ではない。白黒で一律1枚10円とされており、来店するお客へのサービスのためである。ところが、あるスーパーでは1枚5円で提供しているのを見つけた。だだし、一回10枚以上との条件がついている。用紙はおなじ。10分で1万枚を印刷するという。
10枚という条件をどう捉えるか、これもお客のニーズを探るひとつの試みとして面白い。
今年は多くの台風が上陸し、たくさんの方々が被災された。また、新潟中越地震では大きな災害をもたらせた。山崩れで川がせき止められ、農地が天然ダム?と化してしまった。天然ダムとは何事か。被災者の気持ちも考えぬ名前は誰がつけたのか。今、名前を変えようとの話が持ち上がっている。
いずれにしても、大雨で植えた野菜の種も流されてしまう。そんな悲しい話もあり、野菜の価格が高騰した。とりわけキャベツや白菜、ネギなどの被害が大きかったようである。白菜などは6分の1の大きさにカットされて売られる。一人住まいのお年より向けだったものが、当たり前の大きさになって、売られている。
先般は8分の1にカットされたものを見かけた。とにかく安くするための方策だ。「この際は、冷凍野菜がお奨め」などと、堂々と店側では宣伝する。惣菜類の小型化はもはや通例になっていたが、生野菜も切り刻んだサラダが売られる。生産者の顔写真も添付し安全性をPRしはじめた。鎌ケ谷に隣接する中堅スーパーが一軒店じまいし、新たに同じような規模のスーパーが開店した。ここでは安い野菜が人目を引いた。
それぞれの野菜には、生産者である農家の人たちの顔写真がついている。ほぼ他店の半値での開店大売出しには、多くの人たちがつめかけた。「食」の安全性が問われる今、生産者と消費者との繋がりを図る試みは成功を生み出す予感がする。