新たな出会い・研鑚・社会貢献の場を求めて
****** オリンピックも終わった ***** |
アテネオリンピックは、史上最大規模の警備に守られつつ29日に閉幕した。世界各地で激しい紛争が絶えない中で、対立する国々や民族間の争いが持ち込まれなかったのは、まことに幸いであった。4年に一度のスポーツの祭典は、この日を目指して切磋琢磨してきた選手たちの成果が花開く場所でもある。選手たちがトラブルに巻き込まれず、競技に専念できたことは良かった。
アテネでは、日本選手の金メダル獲得数が東京オリンピックを超え、過去最高となった。柔道などで女子選手の活躍が目立ち、それが毎日華やかに報道された。その事実そのことはまことに喜ばしいが、そうそう浮かれてはおれないことも事実だろう。確かに獲得した数は増えた。しかしメダル獲得競技が極端に偏っていることが心配だ。世界で競うにはほど遠い競技もある。まだまだ米中両国に遠く及ばない。
2008年の北京オリンピックでは、面子にかけて中国はメダルラッシュを狙うだろう。中国や北朝鮮など共産主義国家や一部の国では、金メダルを取れば住宅を与えられたり、一生食うに困らぬ賞金などが手に入る。従って、負けたときの悔しさは日本人の比ではない。エサで釣るのは好ましくないが、合理的な練習が進んでいることも、また事実である。
人並みに思えば、あの小さな身体で世界制覇を果たしたマラソンの野口みずえが印象に深い。他の競技が比較的短時間に全力を集中するのに比べ、マラソンは遥かに遠い先を見据えながら2時間以上も走り続けねばならない。多くの有望選手に囲まれながら、自分のペースで走ることそれだけでも大変だ。体力の消耗は激しく果てしなく限界に近づく。
ずいぶん昔のこと、東京で行われた国際マラソンを見にでかけたことがある。スタートして間もなくの地点で、主催新聞社からもらった旗を振って声援を送った。選手は一団となって走りぬけていく。我々からみれば、自転車で一生懸命こがなければついていけない。とにかく早い。
選手が過ぎ去ったあと、ゴールの国立代々木競技場近くで選手たちを待っていた。やがてトップグループがやってくる。驚いたのは、そのスピードだ。スタート直後の状況とまるで変わらない。あっというまに視界から消えてしまった。テレビで見るより遥かに早い感じがする。女子マラソン三人の選手は優勝者はもとより、みな見事な走りを見せてくれた。多くの人たちに感動と勇気を与えた。上位で入賞した選手はもちろんだが、派遣選手選抜決定の過程に不透明な点があっただけに、一番ホッとしているのは体協関係者かも知れない。選抜されなかった高橋尚子選手も当然、喜んでいるものと信じる。
我々はスポーツを通して多くを学ぶ。厳しい競争を戦った勝者の言葉に感動と共感を覚える。
いろいろコメントされた中で一つだけ取り上げれば、「可能性を追求するものほど、より頂点に近づく」 ということである。
まず、「必ず勝つ」という気持ちが最高に強くなければならない。そして「勝つための方策を徹底的に練る」。そして「可能性実現への精神と身体の鍛錬」であろう。メダルを獲得した選手たちは一様に、「指導してくれたコーチや応援してくれた日本のみなさまに感謝する」と述べていた。
ここに日本人的な美徳を見る思いがする。まことに立派なコメントである。これまで日本選手の代名詞のようだった「プレッシャーに弱い選手」は少なくなったと思う。
でも本当は、アトランタで有森裕子選手が語ったように、ここまで頑張りぬいた「自分をほめてやりたい」のが偽りのない自分の気持ちと理解する。
水泳の北島選手のように、「人に負けないほど練習した。だから絶対に負けない」。次は、こんな言葉を皆さんからいただきたいものである。
(C.W)