新たな出会い・研鑚・社会貢献の場を求めて
****** 雇用のミスマッチ ******
バブル経済が破綻し、「価格破壊」という言葉が流行した時代があった。競合相手が考えられぬほどの価格を得意先に提示してくる。対抗するためには、こちらも価格を下げねばならない。イタチゴッコがつづき更に値段は下がる。さっぱり物が売れない。たまに量を捌いても単価が下がっているから、売上高の増加には繋がらない。当然ながら、どうしても利益の出ない状態が続く。
40年近く勤めた会社にも、倒産の危機が日ごとに迫っていた。そんな会社が他社と横並びの、リストラと称する体の良い社員の解雇などに懸命に励んでいた。早期に退職を決めた社員たちがボチボチと私のところにも挨拶に来る。早く辞める人間ほど優秀でもあった。また退職後の設計も出来ていたに違いない。しかし大半の人たちは、僅かな退職金を手に不本意ながら辞めていった。運良く会社に留まっても、給与の一段の削減と賞与のカットが待ち構えていた。まさに去るも地獄、残るも地獄であった。
幸いにして、私が辛くもこの網の目をくぐって円満退社し、会社に出勤する義務から解放されてから、早いもので4年になる。毎日朝早く家を出て、帰宅前には居酒屋に寄って社長を血祭りにあげ、一杯機嫌で帰ってくる。そんな千葉都民の生活を20年も送ってきた。そんな会社だったから、取引先が休みの土曜日もせっせと無意味な出勤をしていた。満員電車も飽き飽きしていたが、普段の日と異なり乗客の大半が親子連れの行楽客などで、華やかな雰囲気に溢れたガラガラの電車にスーッ姿で乗るのは、何とはなしに恥ずかしさを感じ、身体を小さくしていたようでもある。
今、大企業の九月中間決算業績の発表が行なわれている。押しなべて3年前のITバブル期並みに匹敵する好決算と言われている。しかし、かつての私の仲間たちはどうか。自分の希望する職場とは遥に遠いところで、やっと飢えを凌いでいるに過ぎない。企業の業績回復とは裏腹に、失業者の改善は進まないのだ。
政府は、年齢や性差を超えた求人を指導していると聞く。だが現実はハローワークの主導のもとに、表面上だけは年齢などの差別求人は行なっていないように見せているとも聞いている。
私たちは、立ち上げたばかりのこのKAISネットワークを充実させながら、鎌ケ谷市内に住む人たちと市内の企業間の求人と求職の雇用ミスマッチの減少と解消に向け、少しずつでも活動を前進させ、安定した生活基盤の確保に寄与したいものと願っている。
'03/11/20
(C・W)