第3回 歴史と文化財講座



~龍馬が活躍した時代 郷土の歴史と幕府の馬牧~



 平成23年1月22日(土)中央公民館3階 学習室2に於いて、当NPO法人が主催し市教育委員会後援による第3回 歴史と文化財講座を開催した。今回のテーマは昨年のNHK大河ドラマ”龍馬伝”にちなんで、江戸幕末頃の郷土史にスポットを当てた歴史講座と文化財講座を開催した。

講師の立野 晃氏 郷土の歴史に高い関心を示す受講者 幕末に活躍した郷土の志士を紹介

 講座の内容は2部構成で、第1部は「戊辰戦争と草莽の志士 渋谷総司」と題して、龍馬と同じ時代に生きた郷土の志士について、市の郷土資料館 学芸員の立野 晃氏から渋谷総司の人物像や江戸幕末の時代背景の下、何故この様な人物が郷土から輩出し戊辰戦争の中で非業の死を遂げたのかなど、資料をもとに歴史講座が行われた。

 渋谷総司の故郷と生家(下総国葛飾郡佐津間村)名主渋谷家のこと、渋谷総司の生涯として①誕生から薩摩浪士隊時代のこと ②戊辰戦争が始まり、総司が赤報隊員となって活躍した時代、そして最後は官軍から逆賊として赤報隊幹部(8名)が斬首された悲劇の顛末。③名誉回復の復権運動などが途中色々なエピソードを交えて講師から説明があった。講師の巧みな話術と豊富な学術的な知識もあって1時間半あまりの講演も長さを感じさせない程であった。2018年には明治維新から150年目に当たるので、郷土の志士として何か記念行事が行われるのではないかと最後を締め括った。


 途中10分ほどの休憩の後、第2部の文化財講座「江戸幕府の馬牧 ~国史跡下総小金中野牧跡~」について市職員(元学芸員)の後野 真弥氏より講座が行われた。

 「下総小金中野牧跡」は、江戸幕府が軍馬供給のため直轄して設置した小金牧の一つ中野牧野遺跡である。現在の鎌ヶ谷市内国道464号線に沿った初富本町2丁目(貝柄山公園北口の付近)に国史跡下総小金中野牧跡がある。国史跡は2箇所に別れている。。捕込と初富小学校の校庭脇にある野馬土手である。「残った牧跡には捕込(トッコメ)・野馬土手が史跡として保存されており、江戸幕府の牧としては現在の流山市から松戸市、鎌ヶ谷市、船橋市、印西市にわたる小金牧五枚と隣接する佐倉牧七枚と巨大な放牧地があったと説明された。

 講師の説明は、パワーポイントを使った視覚的なもので、当時の牧跡を示す地図や、絵図、野馬土手の発掘現場の写真などを多用し参加者の理解を深めた。
 この牧跡が昭和42年3月国の指定史跡「小金中野牧の込め跡」となって、現在の船取線(県道8号線)の路線変更が行われた経緯を聞いた。
 市内に僅かに残るこの牧跡にも、当時の村人が野馬土手の構築や野馬捕りや捕込の規模、八代将軍 徳川吉宗の頃の中野牧を幕府直轄牧として最重要視した、牧制度など説明があって郷土の歴史に関心の高い市民にとっては、大変興味深い話しであった。

講師の後野 真弥氏 江戸幕府の馬牧について説明 郷土の野馬捕りや捕込について語る

 今回の歴史と文化財講座への参加者は34名と初めて参加される方も含め毎回参加者は増えている。またレピーターの方も増えて、独自に郷土史を学び講師への詳細な質問をされるなど、多くの市民が郷土史に興味を持っておられることが実感できた。

講師の話を熱心に聞く参加者 ご年配の参加者も多い 休憩時間に用意された茶菓

 アンケート結果でも、今回の講座参加には皆さん満足され、次回開催の期待と新しいテーマの選択や、郷土の歴史に沿った”まち歩き”や博物館見学などの要望もあって、主催者側としても次回開催のテーマや講師候補者選びに頭を悩ますところである。

(レポート:S.K)