鎌ヶ谷市及び柏市の歴史と文化財について
当NPO法人としては、初めての地元鎌ヶ谷及び柏市周辺の古代遺跡や発掘調査結果に基づくセミナーを、中央公民館3階の学習室3に於いて平成20年11月15日(土)AM10:00~PM0:00に開催した。このセミナーの主催はNPO法人 かまがや地域情報の窓、後援は市教育委員会である。 市内には、地元の歴史や文化財などに興味を持つ市民の方々が多いと聞いていたので、地元の郷土史を調べる事に関心の高い市民の方を対象としたセミナーで、副題を「発掘調査を通じて浮かび上がる原始古代人の生活」と題して開催した。当日の参加者は17名+関係者(講師を含む)4名の21名であった。 今回の講師は、鎌ヶ谷市については、現在市教育委員会の職員である後野真弥さん(元郷土資料館の学芸員をしておられた)と柏市については、柏市埋蔵文化財発掘スタッフをしておられる里見彰夫氏に講演をお願いした。
最初に、市職員の後野さんから、市内の遺跡及び鎌ヶ谷市の発掘調査について概要説明がなされた。その後市内でも遺跡の規模としては大きい「中沢貝塚」の出土品や大型貝塚がどのような意味合いを持つのか等、途中に縄文人に関するクイズも交えて説明がなされた。市内には130ヶ所程の遺跡があり、旧石器時代の遺跡が7ヶ所と縄文時代の遺跡が多数発掘されているとの事。当時日本全国の縄文人の人口は26万人(縄文時代中期で人口が一番多い時期)ほどいたと説明があった。また、鎌ヶ谷市内では、どうゆうわけか弥生人の住居跡が見つかっていないと言う興味深い説明も聞かれた。 続いて、中沢貝塚について、貝柄山公園西側台地に直径130mほどの大型貝塚が発掘されたと説明があった。この貝塚から発掘された多くの出土遺物から当時の生活様式なり、祭祀が行われた様子など、興味深い話がパワーポイントを使ったビジュアルな解説で参加者にも理解しやすかった。
続いて、里見講師より「柏市域の歴史と文化財について =遺跡を通して古代社会の一旦を探る=」と題して、柏市域の遺跡の概要について話された。柏市は鎌ヶ谷市に比べても発掘された遺跡も多く、柏市内の遺跡(埋蔵文化財)の包蔵地帯を地図で説明された。市内の古墳遺跡についてもその代表的な花野井大塚古墳を事例に、当時この地域でもヤマト政権の拡大に伴ってその影響がこの地にも及んでいたことが説明された。 また、柏市の古代遺跡の中でも特筆すべき事柄として、この地域では砂鉄が豊富に採れる水脈が(河川や沼など)近くにあって、製鉄遺跡が数多く発掘されているとの説明もあった。製鉄遺跡については花前製鉄遺跡を事例に当時の製鉄の製造方法と工人集団などの存在についても説明があった。ついで、古代律令国家の進展と共に柏市周辺にも官道が整備され、古代柏の中心地となった中馬場遺跡(現在の北柏駅周辺)から発掘された短甲(よろい)、鉄剣、古墳などについて説明された。
講演内容は前半の鎌ヶ谷市内の遺跡(縄文人の住居跡や出土品)の説明に比べて、後半の柏市域の埋蔵文化財や遺跡については、少し縄文時代から後の弥生時代や飛鳥・奈良時代を中心に講演がなされた。併せてここ最近整備された柏市の郷土資料展示室についても写真で紹介された。
今回の「歴史と文化財」セミナーに参加された、市民の方々のアンケート調査によればこの講演に参加して「良かった」「説明もわかりやすかった」と概ね好評であった。参加者の意見の中には ① ”自分の暮らしの近場でも縄文・弥生時代の先人が生活していた事に歴史を身近に考えさせられた。” ② ”鎌ヶ谷の歴史については各種講座に出席しかなり勉強したが、隣接市域については知らなかったため、大変参考になった。” 等の意見が寄せられた。” 当NPO法人としても、「古代の歴史と文化財について」の今までとは分野の違う初セミナーであったので、どれくらいの市民の方が関心を持って参加されるか一部不安なところもあったが、開催してみて分かった事は、このような郷土史や古代遺跡について興味を持ち勉強されている市民の方が多い事がわかった。 次回開催の際には、セミナーのテーマ、開催場所、講演時間なども検討し、一般市民の方のみならず市内の小中学生・高校生なども対象としたセミナーを開催したいと思います。 (レポート:S.K) |