博物館内部は当然のことながら撮影は禁止なので、残念ながら細部については記憶の彼方へ去ってしまった。中国4000年にも及ぶ悠久の歴史と、現代までに残された多くの資料に圧倒されたということしか、はっきりとは覚えていない。
中国人民の生誕からの長期間にわたる生活用具や当時に作れた陶磁器などが各区画ごとに整然と展示されている。上海博物館が誇る収容物には、3000年前から近代におよぶ多数の貨幣が所蔵されてある。興味をひいたものに中国独特の芸術といわれる印鑑がある。これも3000年も前から作られていたというから、さすがに印鑑の中国だ。
出来るだけ大雑把にみたつもりが2時間以上もかかってしまった。中国歴史に造詣の深い方ならば、丸一日は出て来られないだろうと思った。我々単純な二人はといえば、情けないことに最後はすっかりくたびれてしまい、すっかりボーッとして出てきた。

発展する浦東地区を見る
夕食を摂ったあとは再び外灘に戻ることにした。外灘から運河を越えて向かい側の浦東地区に渡るには二通りの方法がある。一つは渡し舟に乗っていく。もう一つは地下に潜り運河の下に彫られた隋道をくぐって渡るのである。
目と鼻の先までを船に乗っても仕方が無い。それで隋道経由で行くことにした。歩道はない。円筒形の可愛らしい電車に乗らねばならない。観光客用にと作られたものだから、隋道の中もきらびやかで、進行方向には、赤・青・黄色などのライトがキラキラと交差し点滅して観光客を喜ばせる仕組み。因みに、この僅か5分程度の電車代は20元ほど。物品の安い上海では結構立派な料金であった。
浦東地区は今上海で最も発展している地区だ。巨大な高層ビルが聳え立っている。日本企業が群れをなして投資しているところでもある。工場も続々建設されている。

派手な2階建てバスとリャカー
我々遊覧組は、やっぱり上海でも著名なテレビ塔に向かうことになる。夕闇のせまる頃が外灘の光景が最も輝く時間帯である。運河沿いのビルにはネオンが点灯され始め人々の心を感動の中に導いていく。
(続く)