平成25年5月13日~14日、所要で福島県郡山に行くこととなったので帰りは磐梯熱海温泉で1泊することした。 2011年3月11日の東日本大震災以来、気になっていた福島を訪れる機会が出来た。行は鎌ヶ谷から松戸の外環三郷西ICから川口東ICで東北自動車道に入る予定であったが、車の中で話をしている内に東北自動車道に入る路線変更を忘れて通り過ぎてしまったので、急いで一旦一般道に降りて、再度川口東ICに戻り、高速道路に入りなおす。高速に入ってしばらくの間は晴れていたが、宇都宮を過ぎたあたりからだんだん曇り空が広がりがした。東北自動車道の白川を過ぎたあたりから、天気は良くなり郡山に近づくにつれ快晴となった。 我が家の愛車ホンダフィットのハイブリッドは、さすがに高速を走っても燃費が良くなって24Km/L程度まで通常の市内走行より向上した。
高速道路の途中のパーキング安積では、芝桜がきれいに咲いていた。その日の午後は親戚の墓参りの所要を済ませて、帰りに須賀川市の牡丹園に立ち寄った。首都圏に比べて気温がまだ福島では低いのか園内ではまだ桜が咲いていた。さすがに須賀川の牡丹園は規模的にも大きく、たくさんの牡丹がきれいに咲いていた。園内では写生をする市民も何人か見られ、この時期の牡丹の花を楽しんでいる様だ。
夕方には、所要も終わってその日は磐梯熱海温泉で1泊するため、高速で約30分ほどのところにある旅館に向かった。 今夜の宿は磐梯熱海温泉の金蘭荘花山。宿泊に際し事前にネットで磐梯熱海温泉の旅館を調べたところ、価格もリーズナブルでかけ流しの天然温泉と露天風呂と、創作料理や和食膳が評判の旅館であった。 それと、実は1ヶ月前にこの旅館に予約し宿泊予定であったが、その2日ほど前から体調を壊して旅行が出来なくなって、やむを得ず宿泊をキャンセルする事となった。当然キャンセル料は取られる事を覚悟していたが、旅館のフロントではこちらの事情を考慮していただき、キャンセル料を免除してくれた。これは次に行くときには必ずこの旅館にしようと決めたが、これも旅館側の行き届いたサービスの一つだろう。 夕方の5時過ぎに旅館に到着、フロントでチェックインを済ませ、ロビーで客室への案内を待っている間に、抹茶のサービスもあった。 当日は、休日の翌日の月曜日ということもあって、宿泊客は少なく3組ほどでなかっただろうか。そのためか旅館は貸切状態だ。 客室に案内され、室内で少し寛いで浴衣に着替えている最中に、ドアの呼び出し音が鳴った。何だろうと思って”どうぞ”と声をかけると仲居さんがワインボトルを持って入ってくるではないか?これは宿泊客に対する旅館からのサービスということで地元産のブドウを使ったワインをサービスしてくれた。思いがけないワインサービスに気をよくしたところである。
さっそく案内された8畳ほどの和室から、浴衣に着替えて温泉に入浴。泉質は透明な単純アルカリ泉である。室内の大浴場と隣接する露天風呂を貸切状態で堪能した。露天風呂からは清流の音と、目の前に広がる新緑の緑が鮮やかだ。 温泉に入った後は、お楽しみの夕食だ。夕食は2階にある「竹灯りダイニング」で室内に流れる静かな音楽と共に、室内の壁面に飾られた竹細工に明かりを灯し幻想的な雰囲気を醸し出している。この旅館の売りの一つに「創作料理コース」もあるようだが、今夜は和会席料理をいただく。一般的に旅館に宿泊して夕食となると、とにかくたくさんの料理とボリューム感が常だが、我々の様に歳をとるとボリュームよりも季節感あふれるお料理と質を重視したい。その点では、先付から始まる和会席コースは十分満足のいくものだった。女性客にも十分満足いく内容ではなかろうか。
1時間ほどのゆっくりとした夕食も終わり、部屋に戻ってしばらく休んでいたがチェックインの時にもらった「竹灯りコンサート」のチラシがふと目に入って、午後7時30分ごろから始まるCDコンサートを聴きに、2階ロビーのコンサート会場に行ってみた。 夕食の後、部屋に戻る途中で階段から見えたコンサートの準備で竹の筒に蝋燭の灯りを入れている旅館のスタッフの方がいたが、コンサート開始時間になっても、この夜ばかりは宿泊客が少なく、結局観客は我々2人だけだった。旅館側の説明によると、窓際の竹細工は3・11の震災後より作り始めたもので、震災から半年を経た日の夜から毎夜、被災された方々の鎮魂とこれからの復興を祈願して灯りをともし始めたという事だそうだ。一般家庭で音楽が好きでも大きな音で周りを気にせず音楽を聴くことはできないが、旅館のロビーを使って高級アンプと音響設備でCDコンサートはなかなか聞きごたえのある体験だった。ちなみにその夜のプログラムは14曲ほど、朧月夜/中島美嘉、語り継ぐこと/元ちとせ、未来からのメッセージ/三浦明利など。 翌朝は、朝風呂だ。室内の大浴場と露天風呂を楽しみ、昨夜と同じ「竹灯りダイニング」で朝食。何故か旅館の朝食は食が進んで2盃飯を食べてしまった。被災地の福島県は原発事故による放射能汚染と海岸地域は巨大津波による大災害を受け、いまだ避難生活を続けている人も多い。また、放射能汚染で県内の観光客も一時は激減して、今もって震災前の水準には観光客が戻っていないと聞く。たとえわずかな事でも、県内の復興支援に役立てればと今回磐梯熱海温泉に1泊したが、旅館の仲居さんなどに話を聞くとリピーター客も結構来てくれているそうだ。また、今回の様に旅館側もいろいろと宿泊客が楽しめる創意工夫(美味しい料理や館内の音楽設備の充実、ロビーを活用したコンサートの開催など)を施して、旅館経営に努めている姿は復興地域の人々に勇気を与える。
2日目はこの旅館を後にして、猪苗代湖に向かった。今朝は霧の注意報が出てもしかしたら、猪苗代湖が見えないのではと心配したが、幸いにもその日の朝は快晴で、湖面が遠くまで見渡せた。この辺りは都心に比べても気温が低いのか、桜が満開の状態だった。ひと時この猪苗代湖の景観を楽しんだ後は、磐越自動車道(高速)からいわき市に向かう。いわきJCTで降りて小名浜港に向かう。ここも大震災時の津波で港や周辺地区も大きな被害を受けたところ。アクアマリンふくしまも大津波で水族館は大被害を受けたが今は復興されて水族館を楽しめる。その近くにあるいわき・ら・ら・ミュウ、いわき市観光物産センターも同じく復興されて、観光客も戻りつつある。しかし、復興されたとはいえ、まだあちこちに津波被害の痕跡は残っている。ら・ら・ミュウのすぐそばにある小名浜潮目交流館も復興されて、お土産店舗やレストラン等が営業している。たまたま、昼食をとるため入った2階のイタリアンレストランは地元産の魚介類を使った料理がとても美味しかった。 昼食の後は、国道6号線を走り、途中から海岸線沿いに霞ヶ浦方向に向かった。今まで快晴に近かったのに、高萩や日立付近から道路が霧に覆われ、海岸線は真っ白でほとんど何も見えない。途中休憩でアクワワールドに立ち寄ったが、ここも外は霧が立ち込めて何も見えず、テラスに出ても海から冷たい風が吹いてきて寒くておられない。結局この霧の現象は鹿島市近くまで続き、ようやく鹿嶋市を過ぎるころから晴れてきた。その後は香取市を経由して、利根川沿いを国道365号線を上って印西市を経由して我が家のある鎌ケ谷市に向かった。今回のトータル走行距離は660Kmほど。エコカーの燃費も24.6Km/Lとかなり改善。わずか1泊2日のドライブだったかかなり充実した旅行が出来た。 (投稿:M太郎)
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