鎌ケ谷スカイビュー
                                                      ライター千遥






十数年前までは、
わが鎌ケ谷市に住む大半の人々は、当地から富士山が見えることを知らなかった節がある。
かく言う筆者も、市役所屋上で西方に微かに見える姿を見るまではあまり関心もなかった。

しかし200年も前から「木曽路名所図会」の中で、当地の状況は知らされていた。
下図は2001年、
筆者が地域新聞に寄稿した記事の中から、該当する部分をトリミングしたものである。
市役所市民課横の待合所壁画に、大きく描かれていたのだが、意外と気付かない人が多い。





 
この市役所屋上から、
今や東京名所として欠かせなくなったスカイツリーと真白き富士山がセットで見える。
この景観に目をつけた役所の若手が、
絶好のPR材料としてテレビ局や新聞などのメディアに働きかけたようだ。

これを聞きつけた近隣の市町村から、多くの方々が公開されている市役所に押し掛けてきた。
先日、暫らくぶりに市役所を訪ねたら、玄関を入った正面に「ようこそ鎌ケ谷市へ」などと
巨大な看板があった。「屋上へは、こちらのエレベーターを」等と書かれたポスターも目立つ。
一体、誰のための市役所なのか。自分の目を疑ったものである。
しかし、何が幸運を呼ぶか分からない。当市は、日ハムの斎藤入団以来の大騒ぎとなった。
これでまた、知名度だけは上がったことだろう。



上記は朝早くから市役所前に並ぶ人たち(冨田ます子さん=後述=の提供)



遥かに見えるスポットを狙うカメラマンの方々(提供:富田さん)


市役所では、屋上からの富士とスカイツリーの写真コンテストを2月から3月末まで
実施し、優秀作品を表彰した。受賞こそしなかった作品も、市役所ロビーで展示していた。

しかし実は、それ以前の平成22年から市内の各地から定点撮影しておられた方がいる。
その撮影者は、筆者が通う近くの歯科に飾られている見事な写真から分かった。

歯科の事務の方に頼んで、やっと撮影者にお会いすることが出来た。



撮影者ご本人は、何と我が家から5分ほどのところにお住まいだった。
その方・柳澤康夫さんに、東部学習センターでお会いした。

そして、平成23年から24年までの鎌ケ谷ビュー3枚の画像を入れたCDをお預かりした。
家で中身を見たら、驚いた。何と一枚の写真で13GBもある。300mmの望遠レンズを
使用して撮影したと仰る。従って、これを130KB程度に縮小しても何ら写真の質は落ちない。

柳澤さんの主たるボランティア活動は、年間を通じて実施するパソコン講座のように思える。
去る4月15日、市の広報紙「かまがや」にも大きく5月の予定が掲載されていた。
その内容は多岐にわたる。
初めてのパソコン、インターネット、ワードやエクセル、デジカメの活用など幅広い講座を
担当されている。この講座は、まなびぃパソコン普及会(略称=MPF)と市教育委員会の
主催で行われている。このPC講座は10年間継続しており、受講者は述べ1万人は超える。

最近は、ビデオカメラ4台を駆使して音楽CDやブルーレイの作成に力を入れておられる。
現役時代は人事関係の仕事だったとのことだが、その頃から引退してからの構想を
持っていたに違いない。退職後に初めて海外旅行に行ったとき、デジカメもビデオカメラも
持参せず大失敗したと言われる。こんな経験が現在に活きているのかも知れない。
今年80歳を迎えた。海外旅行で訪れた国は22か国だ。遠いところから回ってきたと仰る。

ご紹介はきりがないので、柳澤さんの撮影された写真を観賞して頂きましょう。



                                                
これは本年3月に市役所屋上から撮影されたものです
           

柳澤さんは三脚は使わない。左肘をを固定させて被写体を狙うそうだ。

  

こちらは、東武鎌ケ谷駅近くのビルから撮影。富士山とツリーの位置が反対になる。

  

これは、未だ未完成のスカイツリー。工事用のクレーンが見える。



つぎは、ひょんなことから知り合いになった富田ます子さんの写真を見て頂きましょう。
富田さんは茂原市生まれの生粋の千葉っ子である。鎌ケ谷在住は44年になるとか。
未だ新京成も単線だったと仰る。年齢は私に近いから、そこそこのお歳の主婦である。

しかし旺盛な好奇心を持ち、絶えず技術の向上を目指しておられる。パソコンを立派に
使いこなし、デジブックというソフトを有料で使用して動画を作成するのが大きな楽しみ
でもあるらしい。この動画にはBGMも入れ、キャプションも入れることが出来る。
なかなか上手に作られるので、私はいつも楽しみにして次なる作品を待っている。

富田さんはデジカメを始めて未だ1年に過ぎないが、その熱心さには頭が下がる。
一眼レフのカメラは動画の作品を美しく撮りたいために購入したそうだ。

市役所屋上からの撮影は市の広報で知り、何回も通ったとのお話だけど、大勢の人の
中での撮影には随分苦労したとのこと。朝早く行って、しっかり場所を確保しておかないと
前方は人の頭ばかりで、何しに行ったか分からなくなってしまう。しかし目的を達成する
ための根性と粘りは素晴らしい。何事もそこそこで、次なる進歩の無い私とはまるで異なる。

センスは天性のものかも知れない。しかし、目標達成に向けた姿勢は大いに学びたいものだ。


遂に捉えたダイヤモンド富士



ここまで使った時間は、どれほどだろう。熱心さが好結果を生むのか。



 ご本人は不満足らしいが、構図も立派なものだ。 



夕日に浮かぶスカイツリー。



富士の彼方に沈む夕日



頂いたCDをよく見たら、こんな立派なものもあった。

〜今回は、これで終わりとさせて頂きます。柳澤さん、富田さん、有難うございました〜