今月のコラム「World Happiness Report 2018」


 あなたは幸せですか?と問われ、「私は幸せだ」と即答できない方が多いのでは。では、あなたの幸せは何ですか?と問われれば、「お金がいっぱいあること」、「美味しいものを食べる」などとなるのではなかろうか。それでは、あなたは自分の人生に満足していますか?と問われればどうだろう。

   今年3月14日に「World Happiness Report(世界幸福度レポート)2018」が発表された。このレポートは、世界156カ国について、評価基準に即して幸福度を国別のランキングにしたもの。フィンランド、ノルウェー、デンマークなど北欧の国がトップランクを占める。
 日本の順位は54位。前回調査(2016年)では、51位であったので順位を下げたことになる。アジアの国では、台湾が26位、シンガポールが34位、タイが46位、韓国が57位、フィリッピンが71位、中国が86位となっている。

 この調査では、①一人当たりの国内総生産、②社会的支援、③健康寿命、④社会的自由、⑤寛容さ、⑥汚職に対するクリーン度合い。の6つの評価基準を指標化しランキングにしている。日本の順が上がらないのは、④社会的自由と⑤寛容さの指標が低いことによる結果であるようだ。

 社会的自由は、人生の選択肢の自由という評価基準だが、全ての人たちがあまねくこうした自由を手に入れているとは言い難い。現下の社会的問題であり、克服しなければいけない大きな課題「子どもの貧困」がある。貧困によって高等教育を受けることができないことで、人生の選択肢が狭められていることは周知のとおり。現在、検討が進んでいる教育費の無償化などによる〝教育を受ける機会の平等”が加速・充実されることで「幸福度」は上昇していくのではないか。

 また、日本は同調圧力が高い社会だといわれる。いわゆる「k・Y(空気を読めよ!)」ということ。自分の主張とは違っていても、仲間やその場の雰囲気などを慮って、あるいは上司などの意向を忖度した結果、個々人の自律的な行動を妨げ生きづらさを感じ、幸福感が薄れていく。ときに同調圧力は、仲間内での「いじめ」となって現れることも多い。「いじめ」加害では、その個人の要因として、排他性や自己正当化、同調圧力などによって引き起こされるといわれる。「いじめ」が社会問題となっている昨今の状況をみても、寛容さ指標が向上しないのも宜なるかなと思える。

 「World Happiness Report」の分析では「より不平等が少ない国に暮らす人々の方が、より幸せであると感じる」ことが明示された。こうした示唆を端緒として、何を成すべきか、一人ひとりが真摯に向き合っていく先にこそ、幸福な社会の創造が実現するのではないだろうか。
                       
かまらさん