障がいを持つ子ども達の自立支援活動を行う

多機能型事業所きらら



 平成26年1月28日(火)に市内で障がい者を持つ子どもや成人の人たちの自立支援活動を行う、NPO法人きららを訪問しその活動内容を理事長の松村幸江さんからお伺いしたので、読者の皆さんにご紹介致します。


 ”きらら”設立の生い立ちについて

 障がいをもつ家族として、子供達は学校が終わって帰宅しても遊ぶ場所が無く、放課後は家庭でお母さんと子供達が夕食の時間まで一緒に過ごさなければなかった。子供にとっても母親にとってもストレスはたまる一方である。1998年(H10年)に佐倉市で障がい児の学童クラブが出来た。それが鎌ケ谷市の市内で障がいを持つ家庭の子ども達に対して、子供たち同士がどこかに集まり、放課後を一緒に遊びながら過ごせる場所が出来ないかと同じ境遇の父兄が話していたところ、市側より放課後の学童クラブについて相談があって、最初は市の中央児童センターの一室を借りて放課後の子ども達の遊び場提供と運営を始めた。その後は自分たちで独立した施設が欲しいという事で、市側より2005年に市の職員住宅の一部を借りて障がいを持つ子ども達の放課後クラブを始めた。

 最初の頃は、まだ保護者の手助けを受けながら、子ども達の放課後クラブ運営を行っていたが、その内ボランティアの方たちが参加してくれるようになって、子ども達と一緒に遊ぶ仕事を分担してくれて、活動はようやく軌道に乗った。
 2004年(H16年)6月NPO法人化を図って、支援費制度(デイサービス)による児童デイサービス事業を行うようになった。スタート時点の参加人数は障がいを持つ子ども達が10名、その保護者が10名であったが、その後職員2名を雇用するようになり、設立から4〜5年ほどで指導員だけでこのデイサービス事業も行えるようになって、保護者の負担が軽くなった。

 現在の「NPO法人きらら」の体制は、役員が理事3名、監事2名、正職員は4名(子ども担当)、2名(成人就労担当)とパート6名(2名づつ交代制)で運営している。
その他に、土曜企画として、お出かけなどで子供の世話をしてくれるボランティアの方も数名登録し、活動に参加してくれている。
 ・父母の会:障がいを持つ子どもの保護者が会員(31名)で構成
 ・障がい者(成人)の場合:本人がNPO会員(9名)となり、正職員(2名)の計11名で構成
 ・平成25年度のNPO法人きらら会員数は合計37名となっている。
 ・賛助会員:60数名と一般市民や企業の活動支援を受けている。

 NPO法人の活動内容について

 このNPO法人では@放課後等(デイサービス)とA就労継続支援B型(作業所 おんりい1)を運営している。
・きらら(デイサービス)に通所している子ども(小学1年〜高校3年)の数は22名である。
・作業所おんりい1に通所している成人(18歳以上)は9名である。

@デイサービス:
 障がい児童を放課後預かる業務で、活動日は月〜金(午後0時〜午後5時まで行っている。また土曜日は月2回(午前9時〜午後4時まで)実施している。デイサービスでは市内の学校(4校)とつくし特別支援学校に、授業が終わるころに子ども達を迎えに行き、こちらの施設に連れてきて、終了時間まで預かり子供たちの世話をしている。
 また、学校が長期休みの間(夏休み、冬休み、春休みの期間)は午前9時〜午後5時まで預かって、集団生活の適用訓練や、日常生活訓練の為、遊びと共に、職員やボランティアの方たちが子ども達に付き添って、お買い物や、交通機関の利用、宿泊体験などを通じて子供たちが日常生活に適合が出来る様に訓練・体験をさせている。

子供達が放課後集まってくる 指導員のお姉さんが見守る 思い思いに遊ぶ
可愛いイラスト 通所している子供達の誕生日を掲載 「きらら」の施設入口
絵を描くのが好きな女の子 子供達の遊び相手に 職員の皆さん

A就労継続支援B型(作業所 おんりい1):
 この作業所では主に農作業を行い、就労に向けた訓練を行っている。ここでは中学卒業(15歳以上から受け入れをしている)から高校卒業生(18歳以上)の方9名を受け入れている。
 成人の就労訓練を行うため、農作業(野菜作りと販売)の他に、ビーズを使った各種アクセサリー作り、手作りのシフォンケーキやクッキーなども製造販売を行っている。
 就労支援とはいえ、これら作業に参加する成人の障がいをもつ人たちには、労働に対する対価としていくばくかの給料が支払われている。

卒業生の就労実習の場 ビーズのストラップ等を製作・販売 細かい作業を行う男性
根気のいる作業を黙々と行う男性 ビーズ製品作りを見守る指導員 参加する女性には得意かも

障害を持つ子どもや家庭の課題

 市内でも障がいを持つ子供がいる家庭で、放課後子どもを預かってくれるデイサービス利用を待っている人は多い。また、理事長の話によれば障がいを持つ子どもの割合は、障がい者数の70%が男子であり、女子は30%だそうだ。NPO法人きららでのデイサービスで預かれる子供の数は、1日10名までなので、収容能力が不足している。市内でもこうしたデイサービス利用を望む父兄が潜在的に多い。市内でこのような障がいを持つ子どもを預かれる施設は3ヶ所(きらら、たんぽぽ、みちる園)で、市内で子供達を預かる受け入れ可能人数は30名程度ではなかろうか。

 この施設で子供達をお預かりする中で、気付く事は障がいを持つ子ども達はできるだけ小さいころから施設に預けた方が、施設側でもその子の性格も早く把握できて、子供に適した指導をできるので望ましいと理事長の松村さんは話された。大きくなってから途中で施設を利用されるようになっても、周囲の子ども達ともなじめず、指導員もどういう支援をすれば良いかわからない。小さいころから施設を利用している障がい児童は、周りの友達と一緒に遊ぶ事も出来る様になり、また世話をしてくれる指導員の方や周囲の大人との対人関係などで受け入れやすい。

 高校生までの障がいを持つ子ども達は、放課後はこの施設で自宅に帰るまで(2時間ほどの間)、ここで自由に遊んだり、近くを散歩したり、おやつなどの買い物体験をしている。また、土曜日には、お出かけをして、電車の乗り方や買い物体験などを通じて、社会の日常生活になじめるような取り組みをされている。日常生活の中で健常者の子ども達とも交流の機会を作って、普段の生活になれさせる訓練が求められている。それには、子ども達を見守る指導員の数が不足していて、常勤で働く職員の充足と一般市民のボランティア参加が求められる。

 高校を卒業をした障がい児たちの自立に向けた取り組みとして、主に農作業を中心に成人障がい者の方たちの就労支援を行っているが、就労継続支援B型では、障害重度の方もおられて就労支援体験だけでは一般企業に障害者雇用促進法に沿った、就職実績を作るのは困難である。NPO法人側だけでこの問題を解決するのは難しく、行政や国の細かい支援策が求められる。

 このように、成人の障がい者の方たちの市内就労が難しい環境の中では、今の所卒業生の行き場が無い。親の希望としては、子ども達が外に出て、楽しく働ければ良いと思っている方も多いが、保護者の高齢化によっていつまでも家族で支えきれるものではなく、将来的な不安を解消するためにも早く行政や国が、障がいを持つ子ども達の自立を促す支援策を打ち出すべきであろう。

 現状では、市内の障がい者受け入れ施設は完全に不足をしている。市内特別支援学級には子供の発達障害や、自閉症を抱える子供達が在籍している。

成人の農作業現場 小型の農機具も使って作業 イベントで販売実習体験を
施設の中でくつろいだひと時 皆と外に出て日常生活を体験 きらら手作りのお菓子を販売

「多機能型事業所きらら」の今後の展望について

 理事長の松村さんから今後の展望について伺ったところ、市内の障がい者受け入れ施設の不足に鑑み、きららの施設を大きくしたい。そして障がい児童が現状10名ほどの受け入れ枠を大きくして、困っている家庭を助けたい。また、出来ればグループホームの様なものを作り、障がいを持った成人の宿泊施設を作って提供したいと思いを述べられた。

 ただ、課題は施設の拡張や、グループホーム建設に係わる建設資金確保の点で県や市の融資制度の充実とNPO法人に関わる税制上の優遇措置が求められる。現状ではNPO法人も年度別決算の為、事業活動で得られた収益金に対する課税がなされて、グループホーム建設や、施設拡張のための資金プールが出来ない仕組みとなっている。

 NPO法人きららではボランティアを募集しています!

 @きららでは土曜日、また長期休業日(学校の夏休み、冬休み、春休み)の間は、どうしても子供たちを長時間預かる事となり、子ども達を見守る指導員の数が不足する。そうした中で不足を補うため、一般市民の方にこの期間、ボランティアとして活動を支援してくれる方の参加を歓迎している。

【きらら広報紙より引用】
 Aきららの趣旨に賛同し支援して下さる皆様のご入会をお待ちしています。
 ・年会費=1口1000円(何口でも)
 ・申込:直接「きらら」へご連絡下さい。

 Bボランティアを募集:ボランティアに参加しませんか?子ども達と遊んだりおでかけをしたり、バザーのお手伝いなど興味関心のある方は「きらら」までご一報ください。詳しい内容をお知らせします。

 C問合せ先:
 ・特定非営利活動法人 きらら
 ・多機能型事業所 きらら: 就労継続支援B型・放課後等デイサービス

 住所: 鎌ヶ谷市南初富3−1−2
 電話/FAX:047−441−0098

レポート:S.K