市民の健康増進、高齢者・障がい者の介護予防・機能回復に役立つ

地元NPO法人による「健康ボイストレーニング」を開催



  平成18年3月18日(土)午後2時より、鎌ケ谷市総合福祉保健センター6階大会議室に於いて開催された。主催は地元NPO法人の「感声アイモ」、共催は鎌ケ谷市NPO連絡協議会及び蘭の会、鎌ケ谷市・鎌ケ谷市教育委員会と鎌ケ谷市社会福祉協議会の後援を受けて実施された。
 日本国民の高齢化が急速に進む中で、高齢者の健康維持・介護予防や障がい者の機能回復に、腹式呼吸による発声法で有効性が認められる「健康ボイストレーニング」を、地元NPO法人「感声アイモ」がボイストレーニングの体験講座を行った。
 当日は、市総合福祉保健センターの会場には約150名近くの多くの市民が参加し、熱心にボイストレーニング講習を受けた。特に市では高齢者や障がい者の方々の介護予防や機能回復に役立つ、ボイストレーニングを本年度鎌ケ谷市市民活動補助金事業として社会福祉の観点から活動を支援している。また、今回の講座には社会福祉に関係する周辺市町から参考にしたいと担当部門の出席があった。
 開催にあたり、主催者の木村理事長、共催代表の五十嵐NPO連絡協議会会長挨拶に続き、来賓として出席された清水聖士市長、井上和夫教育長、県健康福祉部の飯田浩子副課長の皆さんから祝辞があった。

感声アイモ 木村理事長 ボイストレーニング会場 共催代表 五十嵐氏

清水聖士市長 井上和夫教育長 飯田浩子副課長



 最初に、「医学的に見た発声と介護予防」と題して、元大学教授で医学博士、現在は介護施設を経営されている、(株)こめつつじ代表の吉田昭彦先生から講演があった。 講演の中では、事例として女優の森光子(現在83歳)さんが何故あのように元気で舞台や演劇で活躍出来るのかを医学的見地からユーモアを交えながら解説された。高齢者の加齢に伴なう認知症予防に腹式呼吸法による「美しい日本語の母音など発声」訓練や日常の生活行動において出来るだけ機械に頼らず自分の手足や頭を使う事が、人間の脳を刺激し認知症の予防効果が上がると話された。

吉田昭彦先生



 続いて、「健康ボイストレーニング感声」について感声指導員の菅原三記氏が解説された。講師の話では、声を出すことで横隔膜と下部腹筋の運動を促し、従来の筋力運動ではなかなか出来なかった事も声を出す事によって可能にしたと説明する。年齢に関係なく自身の体調に合わせて出来るので、筋肉運動やジョギング・散歩・水泳と違いウエアも施設も必要で無く、いつでも途中で止められるので無理なく発声による訓練を行うことができると話された。菅原氏はマイクも使わず解説をされたが、あの広い会場の中でも講師の声はハッキリと聞き取ることが出来た。  

 この「健康ボイストレーニング法」は高齢者の介護予防だけでなく、身体障がい者の機能回復にも効果があった実例として、身体障害1種1級の川嶋青年が、自ら車椅子から立ち上がり宮沢賢治の「雨にも負けず」を、マイクも使わず不自由な身体全体を動かし懸命に大きな声で朗読した。会場の参加者は皆な川嶋青年の朗読に深く感銘を受けた。

指導員の菅原三記氏 健康ボイストレーニングの解説 熱心に聞き入る参加者 朗読する川嶋青年



 途中10分の休憩の後、「健康ボイストレーニング感声」の体験実習が行われた。トレーニングの指導は指導員の菅原氏と同NPO法人のトレーナー数名が発声の方法などを実際に示し、参加者全員が腹式呼吸法を学びながら、指先を発声に合わせて開いたり閉じたり、元気に「ハイ・ハツハツハツハーツ」と発声方法を訓練した。

ボイストレ-ニング体験実習 トレーナーと共に発声練習

 今回の市後援による「健康ボイストレーニング」は、高齢者や身体障がい者、児童などの健康維持、機能回復、社会活躍を促進する事業を通じて、市民の健康を守る社会福祉活動を、従来の行政や国任せでなく介護・福祉などの民間事業者やボランティア団体、NPO法人などが自分達でできる事は自ら行うという姿勢を評価し、行政も一般市民も活動を支援し、参加する事が地域社会の健康・福祉を支えて行く上で必要なことであると思われた。
                                                                      (S.K)