コミュニティビジネス起業入門講座に参加して


 平成22年1月16日(土)午後1時30分より4時まで、白井市の保健福祉センター3階(地域福祉センター)において開催された「コミュニティビジネス起業入門講座」に参加した講座内容と感想について述べてみたい。

 以前より鎌ケ谷市内の団塊の世代があと3年後に、65歳になって本格的に会社を大量に退職し、地元で年金生活を迎える時期になって、慌てて行政が彼らを地元に迎える準備をしてもとても間に合うものではない。

 当NPO法人(かまがや地域情報の窓)が市から「団塊の世代活動支援策」の一環としてホームページの運営・管理を受託し、彼ら向けのホームページによる情報提供を行っている。定年を迎え地元で年金生活を送る彼らが退職後も、今まで社会で学び・経験してきた知識や能力を地元で活かしてもらうための情報提供の一助として、このホームページが役立つようにとの思いから行政と連携して、ボランティア活動、NPO活動や介護・福祉活動に関わる団体・サークルなどを取材して地元の活動状況などを紹介してきた。

 しかし、中にはボランティア活動参加程度では飽き足らず、まだまだ身体が元気な内は地元で何かビジネスにつながる仕事を続けたいと思われる方もおられるであろう。また少ない年金受給額では生活にも困り、何としても働き収入を得なければならないと言う事情を抱えておられる方も、これから出てくるかもしれない。

 「かまがや我ら団塊の世代」ホームページの中にも、鎌ケ谷市団塊の世代活動支援計画があり、その4項目目に「就業と起業への支援」の項目がある。この中で「起業支援の実施」について、現在、市では起業支援策は実施していないため、起業支援のための会社設立手続などの知識等の提供を図っていくと記載されている。

 それでは、いままで鎌ケ谷市で「起業支援の情報提供」は行われたのであろうか。残念ながら団塊の世代に対する「就業と起業支援」の情報提供は少なく、余り有効に機能しているとは思えない。

 この様な状況の下、以前より当NPO法人でも行政と連携して何か彼ら団塊の世代に対して、地元で起業化したいと考えている人達に「起業支援」の情報を提供できないものかと検討していたが、お隣の白井市で地元NPO法人と行政が協力して開催している「コミュニティビジネス起業入門講座」が開催されていると聞き、この講座に参加をした。

 簡単にこの講座の内容を説明すると、白井市(市民活動推進センター)とNPO法人コラボしろい(白石の社会起業化グループがNPO法人を設立)が協力して開催したもの。この講座は全5回で12〜1月の間に開催される。講師は”しろいCB研究会”(コミュニティビジネス中間支援組織)他の星野隆史氏(コミュニィティビジネス認定アドバイザー)である。

講師の星野隆史氏 子育てネットワークの理事長小手川氏 事例発表をされる小手川京子さん

 ・第1日目は「コミュニティビジネス」の全般説明といんざい産学連携センター・マネージャー小松原氏により印西市と東京電気大学との取り組みの説明 
 ・第2日目は実際に「コミュニティビジネス」を既に行っている起業家の方の事例紹介 
 ・第3日目は「コミュニティビジネス起業入門カリキュラム」として、@事例紹介=NPO法人まえはら子育てネットワークの理事長(小手川京子さん)による事業紹介と起業化についての問題と解決策 Aグループ協議・演習で地域の(分野別)資源や課題の素材を5テーブル(4〜5人程度/テーブル毎)に分かれて自由に討議し項目を抽出する。 
 ・第4日目は前回の課題討議の内容をまとめ。
 ・第5日目は起業化手法を参考に作成した事業企画書をA0版の模造紙にチャートで描き発表する。その後個人による提案書の発表がある。

 今回、筆者が参加したのは第3回目の「入門カリキュラム」に沿った講座であったが、前半の事例発表では「船橋市の前原団地」で長年団地の子育てに関わってきたお母さん達が、自主的に子育て活動を行う中で2002年にNPO法人化を行い、2008年3月には自前の新園舎を建設するに至った、土地(借地)や建設費の調達など複雑な問題を、外部の専門家の方の協力を得ながら実現した活動内容の説明があった。理事長の小手川さんは普通の主婦。淡々と新園舎建設までの課題と問題解決の方法を話されたが、借入金(私募債)の返済まではまだ7年もあり、途中どんな不足の事態が起こらないとも限らないリスクを負っての事業である。彼女達の勇気と実行力に脱帽である。

分野別にグループ討議(1) 農業分野について討議するグループ
分野別にグループ討議(2) 子育てについて討議するグループ

 今回の講座で、初めてコミュニティビジネスについて各分野ごと(5分野=@高齢者 A子育て B食 C環境 D農業)にグループ討議を進めた。参加者は自分が関心を持つ分野に直接参加した訳ではないが、それも各分野ごとに別れ、その(我々の場合は=農業)分野の現状や問題点、ビジネスチャンスなど自由に討議する中で、農業と言っても地域ごとの特性もあって、白井市の農家と鎌ケ谷市の農家ではビジネスを取り巻く環境も違うという事が少し分かってきた。

 この講座の終了後、講師を務められた星野氏に「コミュニティビジネス起業入門」講座の狙いをお伺いしたところ、あくまで起業化を目指す市民の方への入門講座であって、実際に参加者の中から起業した方はまだ出てはいないとのことであった。しかし、白井市と協力して開催したこの講座への(定員25名ほど)参加希望者も多く、市民の関心の高さが感じられると話された。
 * コミュニィティビジネス起業入門講座の開催目的について、講師の星野氏にインタビューしました。
    マウスクリック録音した音声を聞く事が出来ます。


 鎌ケ谷市の団塊の世代当事者の方が、地元で起業化を目指すならば少なくとも事前に、市民ニーズや情報収集、いままでの知識経験を基にした事業企画書作りが必要であり、この計画書をたたき台として協力者の意見聴取や人脈ネットワークづくりを行い、起業化の実現可能性についてまず調査する必要があるのではなかろうか。
 これで、いけると目処が立てば具体的な事業化に向けた行動である。

 今回の「コミュニティビジネス入門講座」を参考に、鎌ケ谷市「コミュニティビジンス講座」開催の準備を平成22年度中に進める予定でいる。
 
(レポート:S.K)